63話 共有と相談

 どうやら春香達から話があるとの事だったので俺達はグループ通話を始めた。


『それで、どうしたんだ?』

『今から話すんだけどさ……とりあえず先に言っておくと傑の事だから、真理ちゃんには分からない話になるよ』


 神谷の話か……

 何かあったのか?


『私は聞かないほうがいいでしょうか?』

『いいえ、聞いていても全然大丈夫よ』

『そうですか……なら少し気になるので聞いていますね』

『それで、春香と愛と沙羅の三人は知ってる事なんだよな?』

『うん……私達が一緒にいた時の事だから』

『とりあえず説明するわね』


 俺達は愛から傑の話を聞いた。

 俺は話を聞いて頭がこんがらがった。


『ん?神谷が金髪?不良と一緒に居た?どうなってるんだ?』

『私達もいまだに理解出来てないよ……』

『そうね、とりあえず金髪になって不良と一緒に居たって事以外何も分かってないわ』

『なるほど……』


 正直何て言えば良いのか分からない。

 流石に意外過ぎて……一体何があったんだ?


『それでね、私は先におかーさんに話して傑の両親と話そうって事になったんだ』


 神谷の親か……ゲームでは凄く子供思いで、春香達の事も滅茶苦茶可愛がってたな……


『香織さんは何て言ってるんだ?』

『おかーさんは立場的にも何を言うにも言いづらいから、とりあえず傑の両親と話す機会を作ってから考えましょうだって』


 まぁ、そうだよな……香織さんは大雑把にしか状況が分かってない訳だしな。

 それに大人だから下手な事は言えないよな。


『それでいつ話し合うんだ?』

『来週の土曜日になったよ』

『それって俺も行って良いのか?』

『んー、傑の両親には小さい頃からお世話になってて今一番状況が理解出来ていないだろうし、今回は元々知り合いの私達だけで行きたいかも』

『私も春香の意見に賛成よ』

『私もそうかな……いきなり初めましての悪琉君が言っても更に混乱するだろうし……』


 心配だけど、言ってる事は正しいな……

 俺も神谷は良く分からないしどうでも良いが、両親の事はゲームで知ってるが故に心配な気持ちがあるしな……

 滅茶苦茶良い人達だったし……


『分かった、なら今回は4人に任せるよ、でも大丈夫なのか?』

『うん!一応傑の両親には傑には内緒で会って欲しいって言ったら、分かってくれたから』

『そうか、なら多少は安心だな……』


 でも不良と仲良くなって、何をしようとしているんだ?

 春香達を諦めて、新しい生き方をしているだけ?

 いやでも簡単に諦めるとも思わない……夏休みの前の顔は諦めた顔じゃ無かったし。


『あのー、少し良いでしょうか?』

『どうしたの?真理ちゃん』

『その、不良と一緒になったって言う神谷さんは大丈夫なのでしょうか?話を聞いていた感じだと春香さん達は狙われているらしいですけど』


 それが一番心配な所だ……

 不良がどの程度の事をする奴らなのか……


『正直分からないわ……でも一緒にいた不良は結構有名な不良だったわね……』


 有名な不良?


『それって?名前とか分かるか?』

『えっと、確か斎藤……原斗?だったかしら』


 え?斎藤原斗だって?

 俺の転生前の記憶に残っている斎藤原斗か?


『えっと、それって一つ年上のオレンジ髪の人か?』

『そうだよ、知り合いだったりするの?』


 知り合いと言うか……転生前の悪琉が去年思いっきり喧嘩を売られたからボコボコにしちまってるんだが……

 でも、それからはかなり大人しくなってたよな……

 転生してからは会って無いが、その前は悪琉と会うだけで頭を下げて来てたし……


 これは偶然か?

 それとも俺に復讐でもする気なのか?


『悪琉?』

『あぁ、ごめん……』

『どうしたの?』


 あんまり暴力の事とかは言いたくないんだけど……

 隠す訳にも行かないか……


『えっと、実は俺が中学3年生の頃にその斎藤原斗って奴らに喧嘩を売られて返り討ちにしてるんだ……』

『『『『え?』』』』

『すまん、余り荒れていた時期の話はしたくないんだけど……』

『今更よそんな事……大体私も春香も悪琉が助けてくれた時に殴り合っているのを見ていたもの……』

『そうだねー、凄くかっこよかったよー、それに今の悪琉は私達を守る時以外に喧嘩なんてしないでしょ?』

『私は直接見た訳じゃ無いけど……二人に聞いてるから大丈夫だよ』

『ふふ、今の悪琉さんと昔の悪琉さんは全然違うって皆分かってるからそんな心配要りませんよ♪』

『そっか、ありがとう……』


『それでその後はどうなったの?』

『えっと最近は会って無かったから分からないな……でも二人の共通点で言ったら俺だと思うから……もしかして復讐の可能性もあるんじゃないかって思い浮かんで来たな……』

『んーそうなのかな?余りにも出来過ぎてないかな?それって』

『確かに、わずか1週間で二人が悪琉に対する復讐心で出会うには早すぎる気はするけど……』

『しかしその可能性があるならば、そう考えておくべきではないでしょうか』

『まぁ、そうだな……』

『とりあえず最大限の警戒をしつつ一人で行動をしない、人の少ない所には行かないって事で良いかしら』

『そうだね……私達は家も近いから皆で一緒にいやすいしね』

『まぁ、傑の家も近いんだけどね……』

『でも、流石に犯罪を犯すとは思えないわよ……って思いたいけど……』

『えっと、皆さんは余り大事にしたくないんですよね?』


 出来る事ならそうだろう。

 大事になれば傑の両親が大変な事になってしまう……

 3人はそれは出来るだけ避けたいのだろう……


『そうね……』

『そうですか……しかし私はその神谷さんに思い出なんて全くありませんので、皆さんに何かをしようとするようなら全力で対応しようと思いますがよろしいでしょうか?』


 神宮寺家は俺の家より警察などへの影響が圧倒的に強いはずだ。

 もし神宮寺家が動くようなら、神谷は何も出来ないだろうし……正直俺もそうしたい……


『何かをって言うと……犯罪行為に当たる事で合ってるわよね?』

『はい』

『そうね……そうならなけれいいけど……』

『その時は、ちゃんとした対応をするべきだと私は思うので……』

『ちょっと今は皆考えがまとまって無いし、続きはとりあえず傑の両親と話した後にしよっか』

『そうだね……』


『よし!とりあえずこの事は頭に入れておくとして、悪琉と愛ちゃんは明日の事に集中してね』


 暗くなった雰囲気だったが春香の一声でかなり和んだ。


『そ、そうね、今はそっちの方が重要ね……』

『そうだな……俺も愛の親に会うの結構緊張してるしな……』

『ははは、悪琉でも緊張するんだね!』

『当たり前だろ?俺も人間だ』

『じゃあ、今日はこの辺でお開きにしよっか』

『そうだな』


 また、大変な事になってるな……


 その後真理からグループLIMEが来て、真理が言った事によって、

ちょっと安心した。

 真理が居て凄く心強いな……

 よし!今は愛の事に集中しよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る