58話 沙羅とお泊り

 ファミレスで食事を終えた俺と沙羅は歩いていた。


「悪琉君!今日は本当に楽しかったよありがとう!」


 沙羅は笑顔だが少し寂しそうにそう言った。


「俺も楽しかったぞ、また一緒に遊びに行こうな」

「うん、そうだね……」

「なぁ、沙羅……」

「どうしたの?悪琉君」


 俺は沙羅の目を見つめて言った。


「沙羅さえ良かったら今日は俺の家に泊まって行かないか?」


 沙羅は目を見開いてから直ぐに恥ずかしそうにもじもじし始めた。

 俺はそれ以上は何も言わないで返事を待った。


「うん、いいよ……」


 俺は本当に大丈夫なのかって聞こうと思ったのだが、沙羅の顔を見て言うのを止めた。

 そう言う沙羅の顔は、スッキリしたような笑顔だった。


「それじゃ、帰ろっか」

「うん」


 そうして俺と沙羅は俺の家に向かった。

 今回は沙羅の方から手を繋いで来た。


 俺達はそれ以上話す事なく家に着いた。


「それじゃ、上がってくれ」

「うん、お邪魔します」


 俺は部屋に連れて行ってから沙羅を見た。

 やっぱり緊張してるな。


「そう言えばご両親には連絡したのか?」

「うん、あっ、でも流石に彼氏の家に泊まるって言うのは早すぎるかなって思ったから、春香ちゃんの家に泊まるって言ったけどね」

「まぁ、そうだよな……春香には伝えたのか?」

「うん!ちゃんと口裏合わせてくれたよ、それで頑張れって……」

「はは、春香らしいな」

「そうだね……」


 やばい、沙羅の緊張が伝わって来て、俺までドキドキしてきた……

 とりあえずこの空気を変えないと。


「あっ、そうだ!風呂先入るか?」

「あ、うん、そうしようかな」

「そう言えば着替え持って来てないから……俺の服でも大丈夫か?」

「う、うん、大丈夫だよ」

「分かった、じゃあ用意しておくから行って来ていいぞ」

「そ、それじゃあ、行ってくるね」


 はぁー、久しぶりだなこんなに緊張するのは……

 沙羅は初めてなんだから俺がしっかりとしないと……


「とりあえず、着替えだけ持っていくか……」



 服を置いて来て暫くして沙羅が戻って来た。


「あがったよ、悪琉君……」

「あ、あぁ」


 ヤバいシャツ1枚だと胸大きさが良く分かって目が遂いっちゃう。

 俺も早く風呂行こう。


「それじゃ、俺も風呂行ってくるな」

「う、うん、行ってらっしゃい……」


 お湯に浸かりながら考えていた。


 彼シャツは春香が良くやっていたから慣れていたけど、沙羅が着るとまた違った良さがあったな。

 それに春香も大きい方だけど、やっぱり沙羅は凄いな……

 沙羅は凄く緊張してそうだから、春香の時よりももっと優しくした方が良いよな……



「よし!上がるか」

 

 俺は少し緊張しながら部屋に戻った。


「あがったぞ」

「あ、うん、おかえり」


 沙羅がベッドの上に座っていたので、俺はその隣に座った。

 沙羅の顔を見るとやはり赤い。


「沙羅、顔が赤いけど大丈夫か?」

「う、うん、大丈夫だよ」

「ほんとか?やっぱり無理しなくて……」


 俺が無理しなくても良いと言おうとした瞬間、沙羅がキスをして来て口が塞がれた。


「大丈夫……だから、少し恥ずかしいけど……ずっと待ってたから……その……この時がくるのを……」


 沙羅は恥ずかしそうだったけど、そう言った後俺の事を真っ直ぐ見つめて来た。


「分かった。でもきつかったらちゃんと言えよ?」

「うん」


 俺はそれ以上言葉は必要ないと思い再びキスをした後、予め用意していたゴムを手に取って肌を重ねた。





「んんーー」

「悪琉くーん、むにゃむにゃ、ありが……とう」


 俺が目を覚ますと裸の沙羅が俺に抱きつきながらそんな寝言を言った。

 俺はこれ以上このままでいると大変な事になると思いそっと沙羅を離して起き上がった。


 それにしても沙羅は最初こそ恥ずかしそうにしてたけど、途中から凄い積極的になったな……

 春香より優しくとか思ってたのに、全然杞憂だったな……


「沙羅が起きる前に朝食の用意するか、そう言えば沙羅に作ってあげた事ないしな」


 よし!気合入れて作ろう!


 丁度朝食が完成した頃、もじもじしながら沙羅が二階から降りて来た。

 

「おはよ!沙羅、朝ご飯作ったから一緒に食べよ」

「あ、ありがとう」


 沙羅は少し恥ずかしそうにそう言った。


「ははは、沙羅ってば昨日あんなに積極的だったのに起きたら恥ずかしくなったのか?」

「うぅー、言わないでよ、いじわる……」

「恥ずかしがってる沙羅も可愛いな」


 俺はそう言って沙羅の頭を撫でた。


「もー、悪琉君ってば……」

「冗談だって、冷める前に食べちゃおうぜ!」

「ふふ、そうだね!」


 そんな会話をしたら、恥ずかしさが薄れたのか、沙羅はいつも通りになった。


「んー、美味しいよ悪琉君!」

「そうか?でも沙羅とか春香に比べたら全然だぞ」

「そんな事ないって、毎日でも食べれるよ!」

「ははは、そう言って貰えるなら作った甲斐があったよ」


 その後も会話を続けていたのだが、昨日よりずっと距離が縮まった気がした。


 俺達は朝食を食べた後、再び部屋に戻り話していた。


「そう言えば沙羅、俺と付き合ってるのはご両親には伝えてるって言ってたけど、その、大丈夫だったのか?」

「え?大丈夫って何が?」

「んーっと、ほら俺って見た目も不良っぽいしさ……」

「えっと、お母さんは私が好きになった人なら心配しないって言ってたし、お父さんは最初は少し心配してたけど、春香ちゃんと愛ちゃんも付き合ってるって言ったら理解してくれたよ」

「そっか、なら良かった」

「うん、それに真理ちゃんと香織さんとの関係も話したんだけど、ちゃんと理解してくれたよ」


 正直沙羅と愛のご両親が一番心配な要素だったからそれを聞いて安心した……

 反対されたらマジで困るからな……


「悪琉君って不良っぽい見た目気にしてるけどさ、なんで金髪に染めてるの?」


 そう言えば転生した時は黒にしようと思ってたんだけど、どうも金髪がしっくり来て結局また金髪にしたんだよな。

 やっぱり黒髪に戻すべきかな?


「沙羅的には金髪と黒髪どっちがいい?」

「んー、黒髪もカッコいいと思うけど金髪も好きだから……どっちがいいとかは無いかな?強いて言うとすればどっちも凄く好き!」


 沙羅がこんなに褒めまくるなんてな……


「そっか、なら4人にも聞いてみて考えようかな」

「うん!それが良いね!」

「そうだな」


 一息置いから沙羅が口を開いた。


「ねぇ、悪琉君……?悪琉君の前に座っても良い」

「勿論いいぞ」

「ありがとう」


 そう言って沙羅は俺の胸に頭をくっつけて座った。


「悪琉君、このまま、抱きしめて」

「うん、分かった」


 俺はそう言って沙羅を抱きしめた。


「なんでだろう、悪琉君といると凄く安心するんだよね」

「そうなのか?」

「うん今だって凄く心地が良いもん」

「なら良かったよ、それにしても沙羅もこういう事に結構慣れて来たんだな」

「うん、もう1番恥ずかし事もしたし……それを思ったら悪琉君と二人っきりの時は余り緊張しなくなったよ」

「それは、俺も嬉しいな。どんどん甘えてくれていいぞ」

「ならいっぱい甘えるね!まぁ、まだ春香ちゃん達が居る時はこんなに積極的には出来ないけどね」

「うん、今は二人っきりの時だけでも嬉しいよ」


 俺がそう言うと、俺に背中を向けていた沙羅が動いて向き合う形になった。


「悪琉君大好きだよ」


 沙羅はそう言って俺の口にキスをして来た。

 

 しばらくして唇が離れた後


「うん、俺も大好きだ」


 俺は沙羅に負けまいとそう言い返して再びキスをした。


 そんな感じで俺と沙羅のお泊り会は幕を閉じた。

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