55話 彼女達と婚約者(下)
★神宮寺真理(side)
「じゃあ、私から話すわね、傑っていうのは……」
私は話を聞いて絶句した。
私が思っていたのと180度くらい性格が違う……
悪琉さんが原因でそうなったのかと思ったらどうやら全然ちがって、悪琉さんと出会う前からおかしかったらしい。
「えっと、話をまとめると、愛さんと沙羅さんと春香さんの幼馴染の男性で、3人共優しい彼を信用していた。でも少しずつ優しくなくなって、酷い噂を流して、自分勝手になって、3人に迷惑をかけ続けてる」
「そうです」
「そして、何より事あるごとに悪琉さんの事を悪く言いまくっていると、そういう事ですね」
私は悪琉さんが凄く悪く言われていると聞いて正直凄く腹が立った。
「うん、そう言う事」
「私達も最近は関わらない様にしているのだけど、全然諦めてくれないのよね……」
「ほんとにね、それでさっきの沙羅ちの話に繋がるんだよね」
なるほど、やっと理解出来ました。
話を聞いた感じだと確かに傑さん、いや神谷何とかで十分ですね…神谷何とかは相当変な事を言っている事に気付いていないみたいですね。
ていうより、自分が正しいと思っているんですね。
「それで今でも3人の邪魔をしていると……」
「そうね、私達も迷惑してるわ……」
うーん、正直に言ってしまうと凄く邪魔な存在ではありますね……
「まぁ、傑君の話はここらへんにして、私は真理ちゃんのお話しも聞きたいわ」
「あっ、そうですね香織さん!それじゃ私が何で悪琉さんに婚約を申し込んだのかを説明しますね、実は……」
私は昔悪琉さんに救われて、悪琉さんの相応しい女性になる為に努力した事や雑誌を見てやっと見つけた事、実際に会ってみたら心から好きになれた事を話した。
勿論転生の事は話していない、その辺りは上手く話しを繋げて良い感じに話した。
「って事は真理ちゃんは小学生の頃からずっと悪琉の事が好きだったって事なんだね!!!」
「はい♪そうです」
「何それ!!!凄い!!まさに運命じゃん!!!」
「そうね、私も凄く素敵だと思うわ」
「私は聞いていてドキドキしちゃいました。本当に素敵です!」
「ふふ、まさか真理ちゃんがこの中で1番最初に悪琉君の事を好きになっているとは思ってもみなかったわね」
「実はそうなんですよね♪」
「真理ちゃん、真理ちゃん、それって悪琉は知ってるの?」
「いえ、悪琉君には内緒にしておこうかなって思っています」
「それはどうして?」
色々と理由はあるんだけど、今は単純に今の私と今の悪琉君とで仲良くしたいから、過去の話とかをしたらお互いに純粋に恋愛出来ないかもしれないから、出来れば話したくないんだよね……
「んー、昔の私はさっき話した通り今と全く違ったんですよね…でも私は変わったので悪琉君には変わった後の私だけを見て欲しいんです…それで弱い私は置いて来たので余り話したくないんですよね……」
「なるほど、つまり今の自分だけを見て欲しいと……」
「はい!そういう事になりますね♪」
「はぁー、でも良かったなー」
「何がですか?」
「真理ちゃんは悪琉の事が大好きって伝わって来たからぶっちゃけちゃうけど、実は私達、真理ちゃんの事を凄く警戒してたんだよねー」
「警戒ですか?」
「そうそう、親が決めた婚約って聞いたから、悪琉の事好きじゃ無いんじゃとか、私達と仲良くなれなかったらどうしようとか、いっぱい話し合ってたんだよね」
そんな事があったんですか……それは少し悪い事をしちゃったな……
「それは申し訳ありませんでした、そこまで気が回ってなかったです……」
「いえ、大丈夫よ、今は寧ろありがとうって言いたいわ」
「ありがとう?ですか?」
「えぇ、だって私達はもう真理ちゃんの事は完全に信用してるし、何より悪琉への想いは凄く伝わって来たから、もっと仲良くなりたいって思っているもの」
「うん、私も愛ちゃんと同じ気持ちです!」
「そうね、皆で仲良くしましょうね」
本当に4人共良い人ですね……
その上可愛いですし……
元々悪琉さんさえいればいいとか思っていましたけど、今では4人の事も大好きになっちゃったな。
大丈夫でしょうか、流石に幸せすぎるのでは……
「はい、是非これから沢山お話して、もっともっと仲良くなりましょう!」
「真理ちゃん、真理ちゃん、聞いて聞いて」
「はい、何ですか春香さん」
「悪琉ってば……」
それから私達は時間を忘れて悪琉さんについて語り合っていた。
「そうなんでね、流石悪琉さんですね!」
「そうなんだよー、悪琉って凄いんだよ!!」
「あのー皆?」
「どうしたのおかーさん?」
「盛り上がるのはいいんだけどね?もう悪琉君が出て行ってから1時間経ってるわよ?
「「「「あっ」」」」
すっかり盛り上がっちゃいました。
悪琉さんがずっと待っているのに……
「やばっ、私呼んでくるよ!!」
◇
「もう1時間経つけど……随分長く話してるな……」
でも、長く話せるって事は恐らく仲良くなれたって事だよな…
そうだったら嬉しいな。
「悪琉ー女子会終わったよーー」
春香の声が聞こえて来た。
無事に話し終わったみたいだな。
「よし!行くか」
そうして俺は皆の下に向かった。
(ガチャ)
ドアを開けたら皆が凄く仲良く話していた。
「えっと、仲良くなれたみたいだな?」
「はい!皆さん優しくて凄く仲良くなれました!」
「そうだよ、悪琉!真理ちゃんはもう私達の仲間だよ!!!」
そう言って春香は真理に抱き着いた。
仲良くなって欲しいとは思っていたけど…流石に仲良くなり過ぎでは?
一体どんな話をしていたんだ?
正直凄く気になるが……流石に女子会の会話を聞くわけにはいかないな。
まぁ、仲良くなる分には全然問題ないから細かい事は気にするのは止めよ。
「えっと、じゃあ、改めてこれからはこの6人でよろしくお願いしますって事で」
「はい!皆さん改めてよろしくお願いします」
「「「「よろしく(ね)」」」」
その後、俺達は6人で楽しく話した後、結局渡せていなかった鍵を愛と沙羅そして真理に渡して解散した。
ちなみに皆にはいつでも自由に出入していいと言ってある。
◇
その日の夜、俺は考えていた。
「とりあえず1つ大きな問題が解決したな……」
色々と考えていたけど、結果的に皆が幸せになれる感じでよかったな……
5人は想像の何倍も仲良くなってたし。
真理も凄く楽しそうだったし。
それにお父さんに真理と上手くやって行けそうって言ったら凄く喜んでいたし。
まぁ、それと同時に滅茶苦茶謝ってきたのは正直困ったけどな。
今回の婚約の件でお父さんとお母さんは俺の思ってる以上に責任を感じてたみたいで凄かったな。
俺も最初はすげー困ったけど、結果的に婚約を受けてくれて感謝しているしな。
それが無かったら真理と出会ってなかった可能性すらあった訳だしな。
もう少し気軽に真理に会えればいいんだけど真理の家は3駅超えた所にあるらしいから、なかなか大変なんだよな。
そう思ったら毎回来てもらってて申し訳ないな……今度からはこっちからも行くようにしないとな。
「それにしてもやっと一息出来るな……」
来週から夏休みだし、皆で何処かに行きたいな……
それに早いかも知れないけど愛と沙羅と真理の親にも挨拶に行きたいな。
まあ、それは本人に確認をとってから考えるか。
後、今気にする必要があるのはやっぱり神谷の事だよな……
最近は沙羅と問題があった訳だしな。
沙羅達には今は真理の事に集中して神谷は私達でどうにかするからって聞かなかったんだよな。
でも今はもう真理の事は解決したし神谷の事に首突っ込んでも大丈夫だよな?
「まぁ、ダメって言われても困るんだけどな……」
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