54話 彼女達と婚約者(上)
「今日は真理と4人が家に来る日だな……」
うん、昨日真理と話した事によって以前までの不安は余り無いな。
正直今は真理だったら4人と上手く関係性を作れるんじゃないかと思ってる。
勿論俺も手伝うしね。
◇
(ピーンポーン)
「おっ、誰か来たな」
俺は玄関まで向かった。
(ガチャ)
「おー、真理か!」
最初に来たのは真理だった。
「はい!こんにちは!悪琉さん!」
「まだ真理以外は来てないけど、中でゆっくりして行ってくれよ」
「分かりました、ではお邪魔しますね」
真理がそう言って家に入ろうとした時だった。
「悪琉ー来たよーー」
春香の声が聞こえたので振り返ったら、春香と愛と沙羅と香織さんが4人で一緒に来ていた。
「真理、あの4人だぞ」
「は、はい」
俺がそう言って話しかけると、真理が振り返って4人を見るが、口がピクピクしていた。
もしかしたら緊張しているのかな?
「えっと、あなたが真理ちゃんであってるのよね?」
香織さんがそう訪ねて来た。
「はい!えっと、私が今回悪琉さんに婚約を申し込んだ神宮寺真理と言います、4人と会う事を楽しみにしていました。是非仲良くしてください!」
緊張していると思ったけど、いつも通り満面の笑みを浮かべながら4人にそう言った。
「勿論よ、悪琉君からある程度話は聞いていると思うけど、私はここにいる春香の母親で七瀬香織よ、よろしくね真理ちゃん」
「はい!よろしくお願いします!」
香織さんはちゃんと挨拶出来てるから良いんだけど…どうした3人共……
滅茶苦茶真理に目が釘付けじゃ無いか、まぁ、そうなる気持ちは分かるけどさ……
初対面であの笑顔は正直反則だよな…じゃ無くて早くフォローしないと。
「春香と愛と沙羅も是非仲良くしてあげてな」
俺がそう言って話しかけると3人は我に返った。
「う、うん、私こそよろしくね、えっと、神宮寺さん」
「私の事は真理でいいですよ3人共♪」
「えっと、じゃあ、よろしくね真理ちゃん!私は七瀬春香だから春香って呼んでね」
「私とも仲良くしてください、よろしくお願いします、ま、真理ちゃん…私は相沢沙羅です、沙羅って呼んでください」
「私は、矢野愛っていうわ。呼び方は愛でいいわ、よろしくね真理ちゃん」
春香はやっぱり一番仲良くなるのが早そうだな。
沙羅は敬語がだから少し時間が必要かな?
愛も意外と仲良くなれそうだな。
この感じだと大丈夫そうだな。
俺はほっと一安心した。
「皆玄関で話すのもアレだから、中入ってくれよ」
「そうですね、改めてお邪魔します」
「「「「お邪魔します」」」」
俺は5人を部屋に連れて行った。
「えっと、じゃあ、改めてこの5人が俺の恋人、厳密に言ったらまだ全員では無いけどそう言う関係だから、是非皆は仲良くやって欲しいな」
「はーい、私いっぱい真理ちゃんとお話したい!」
「ありがとうございます。春香さん、私も皆さんと仲良く話したいです♪」
「そうね、皆で仲良く話しましょう」
「えっと、悪琉さん」
途中で真理が俺の事を呼んだ。
「どうした?真理」
「ちょっと言いにくいんだけど、女子だけで話してみたいので少し時間貰って良いですか?」
「なんだそんな事か俺は全然大丈夫だぞ、4人は大丈夫か?」
「そうね、女子だけの方が話しやすい事も沢山あるしね…私は大丈夫よ」
「私も大丈夫です」
「さんせーい」
「ふふふ、じゃあそうしましょうか」
「悪琉さん、悪琉さんの家なのにすいません」
「いやいや、今日は5人が仲良くなる為の日だから俺の事は気にするなよ」
「ありがとうございます」
「っと、その前に飲み物だけ皆に用意して良いか?」
「あ、是非お願いします」
そう言って俺は飲み物だけ5人に用意して客室から自分の部屋に移動した。
◇
★神宮寺真理(side)
悪琉さんが居なくなって私達だけになりました。
玄関で皆さんを見た時思わずニヤけてしまいそうになりました。
危なかったです……凄くドキドキしていましたけど何とか表情に出さずに済みました。
悪琉さんと会う前に皆さんと会っていたら間違いなく顔に出ていたと思います
。
よし!皆さんともっと仲良くなる為に頑張りましょう!。
「よし!それじゃあ何話すー?」
「そうですね、私は皆さんが悪琉さんにどうして惚れたのかが気になります」
正直凄く気になります……何があったのか凄く知りたいです。
「えっと、じゃあ私から話そうかな?と言っても私とおかーさんはほとんど好きになった理由同じだよね」
「えぇ、そうね」
「そうなんですか?」
「うん!じつはね……」
私は春香さんと香織さんが悪琉さんを好きになった理由を聞きました。
なるほど!それは2人が好きになる訳だ!
絶望から救ってくれて惚れない方がおかしいよね!
ていうか、話してる途中の春香さんの顔が恋する乙女って感じで凄く可愛かったんだけど…ヤバすぎるよ♪
香織さんも悪琉さんの事を本当に大事にしてるんだなって伝わって来たし…何より母性が凄過ぎませんか?見ているとついうっとりしちゃうよ。
それにしても途中凄い事を聞いたな……神谷何とかが春香さんを見捨てた?何でそんな事に?
春香さんの話によるとヤクザにびっくりして何もしないで逃げたと…うーん警察に連絡くらいしてもよさそうなのに、何で見捨てるなんて最低な選択を?
ていうかそうでした、興味が無さ過ぎて下の名前が思い出せなかったのですが、春香さんが名前を言っていて思い出しました神谷傑さんでした。
まぁ、いいや今は彼女たちの話を優先しましょう。
「ふふ、そうなんですね!春香さんも香織さんも悪琉さんの事が大好きって伝わって来ましたよ」
「あらあら、少し恥ずかしわね」
「うん!私は悪琉が世界一大好きだからね、あっ、勿論ここにいる人も皆大好きだよ」
「ふふ、話してくれてありがとうございます」
「じゃあ、次は私の番ね、私は……」
次は愛さんのお話を聞きました。
へー、愛さんは積み重ねで好きになったんですね。
それにしても愛さんってあんな顔するんだ、悪琉君の事を話しいる愛さん凄く楽しそうな顔だったな。
クールな人のあんな顔は男子、いや女子でもドキってなるよ。
悪琉さんと恋人になれて本当に嬉しいんだろうな、やっぱり愛さんは素敵だな。
んー、愛さんの話には神谷傑さんは出てこなかったけど、関係性はどうなんだろう。
春香さんは凄く嫌そうに神谷傑さんの事を話していたから何となく想像出来るんですけど。
「愛さんはすこしずつ惹かれていったんですね♪」
「そ、そうね」
「ふふふ、愛さんは素敵ですね♪」
「そ、そう、ありがとう、でも真理ちゃんの方がずっと素敵よ」
「そんな事ないですけど、ありがとうございます♪」
「次は私ですね、私は……」
最後は沙羅さんのお話しを聞きました。
沙羅さんも悪琉さんに助けられたりして、徐々に惹かれていって、趣味も合う悪琉さんの事が好きになったんですね。
それにしても沙羅さんが顔を真っ赤にして話すものだからついニヤニヤしそうになっちゃったよ…危なかったー。
沙羅さんの言ってる事は凄い良く分かるな、優しくて一緒にいて落ち着くって、まだあって少しの私でも感じるんだから沙羅さんはもっと強く思っているんだろうな。
それにしても4人とも本当に心から悪琉さんの事が好きなんだな……
正直私が1番大好きな自信があったけど、全然そんな事なくて皆凄いな。
勿論、私も負けてるとは思わないけどね、長年の想いがあるからね♪
「ふふ、沙羅さん凄く恥ずかしそうに話して、そんなに好きなんですね」
「うぅー、そ、そうです、だ、大好きでしゅ」
沙羅さんてば、噛んじゃってるよ、それは流石に可愛すぎるよ!!!
「沙羅さんって凄く可愛いですね♪」
「うぅー、かんじゃいました……」
「話してくれてありがとうございます♪」
それにしても、沙羅さんが悪琉さんと付き合う事になった理由が神谷傑さんで、しつこく言い寄られたって?
あれ?今の関係性も知らないし現場にいた訳でもないから分からないけど何でそれで言い寄られて、泣くほど傷ついたんだろう?
愛さん以外から神谷何傑さんの名前が出たし、聞いてみても違和感ないよね。
「えっと、皆さんにお聞きしたい事があるんですけど」
「何を聞きたいの?何でも答えるよー!」
「それでは、先程から傑さん?って名前がちょくちょく出て来るんですけど…それって一体誰でどんな関係なんですか」
私が質問したら香織さんは少し困った顔になって、3人は明らかに嫌そうな顔になった。
「えっと、そうね、真理ちゃんには詳しく話しておくべきよね?」
「うん、私は話した方が良いと思う」
「私も話すべきだと思うよー」
「春香たちがそう思うなら話しても大丈夫じゃないかしら」
「じゃあ、私から話すわね、傑っていうのは……」
私は愛さんから神谷何とか……じゃなくて神谷傑さんの話を聞く事になった。
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