53話 真理と2回目のデート

「お、お待たせしました、悪琉さん」


 俺が待ち合わせ場所で待機していたら、真理が少し息を切らして来た。


「なんでそんなに疲れているんだ?」

「少し準備に手間取ってしまって、慌てていたので……」


 そんな事を言うがまだ待ち合わせ時間の10分前だぞ?


「そんな事気にしなくても…まだ10分前だし」

「いえ、私は昔から時間ギリギリにならないように過ごして来たので」


 お嬢様って凄いんだな…意識が高い。


「まぁ、そろそろ行こうか」

「はい!行きましょう!悪琉さん!」


 そう言って笑顔で腕を掴んできた。

 真理は腕を組んで歩くのが好きなのかな?

 前回もそうだったよな。


「そうだ、そう言えば真理が今日行ってみたい場所って何処なんだ?」


 今日のデートは真理が行きたい所があるとの事だったので、俺は何も考えなくて良いと言われていた。


「実は私、水族館が好きで悪琉さんと一緒に行ってみたかったんです!」

「水族館か、いいぞ俺も久しぶりに行きたいしな」

「良かったです!!それじゃあ、行きましょう!」

「それで、どうやって向かうんだ?」


 真理はこいう時も送り迎えして貰うのかな?

 

「そうですね…普段は誰かに送迎して貰うんですけど、今日は折角2人でデートなのでバスで行きましょう」

「そっか、じゃあ行こうか」

「はい!」


 バスの時間は予め真理が知らべていたらしく、スムーズにバスに乗れた。

 それにしても意外だな、真理は意外とバスに乗り慣れているんだな。


「ここに座りましょう!悪琉さん」

「あぁ、いいぞ」

「悪琉さん!悪琉さんって普段どんな事をして過ごしているんですか?」

「んーそうだな、普通に学校行って、部活して、春香達と遊んだりとかかな?あっ後ゲームとか小説とかも好きだな」

「悪琉さんもゲームとかするんですね、私も嗜む程度ですけどゲームするんですよ」

「へー、それは意外だな…なら今度何か一緒に遊べたらいいな」

「はい!是非遊びましょう!」

「あぁ」


 真理もゲームするんだな…結構嬉しいかもな。


「それで部活は何をしているんですか?」

「バスケ部だぞ」

「バスケ部ですか!確かに身長も高いですし凄くお上手そうですね」


 そんなにキラキラした目で見られても反応に困るんだけど……

 自分でも上手い方だと自覚はしているが…そんな自意識過剰みたいの事言いたくない…でも謙遜も余りしたくないんだよな。

 我ながら面倒くさい性格してるよな……


「まぁ、結構努力してるからそこそこって感じだな」


 俺達がそんな会話をしていたら目的地に着いた。


「真理ここで降りよう」

「はい!降りましょう」


 俺と真理はバスを降りて水族館に向かった。


「着きましたよ!悪琉さん!」


 凄く楽しそうだな真理は…本当に水族館が好きなんだな。


「そうだな、早速中に行こうか」

「はい!」


 そうして俺達は水族館の中に入った。


「悪琉さん!こっちです」

「どうした」

「ほら、可愛いお魚がたくさんいますよ」


 そう言って俺の手を引く真理は凄く素敵な笑顔をしていた。


「次はこっちです」


 その後俺は次々と色々な所に連れて行かれた。


「この子も可愛いですよ」


 純粋に楽しんでいる真理の姿を見て俺もどんどん笑顔が増えて行った。


「ほらっ!ペンギンです。てくてく歩いてて可愛いですね」


 初めて会った時は色々な事を警戒していたけど、2回会っただけで警戒なんてする必要なかったと思える。

 そう感じられるくらい、真理は素敵な子だった。


「このサメは大きいですね、あっ!こっちには小さなサメもいますよ」


 真理と過ごす楽しい時間はどんどん過ぎて行った。


「はぁー楽しかった」

「そうだな、水族館は久々に来たけどやっぱり楽しいな」

「そうだ悪琉さん!何かお揃いの物買いませんか」

「勿論いいぞ」

「ありがとうございます!」


 俺達はお土産コーナーに向かった。


「悪琉さん!折角なので悪琉さんが選んでください」

「分かった、ちょっと待っててくれ」


 んーどうしようかな……

 お揃いの物だとやっぱりキーホルダーとかが無難かな?

 マグカップとかは別々に住んでる訳だからお揃い感無いよな。

 

 色々考えた結果俺は2つ買う事にした。


「真理、買って来たぞ」

「ありがとうございます」


 俺は真理の隣に座った。


「それで、何を買って来てくれたんですか?」

「そうだな、結構迷ったけど真理はペンギンが一番好きって言ってたよな」

「はい!ペンギンが一番可愛いので好きです」

「どっちにするか迷ったんだけど結局どっちも買って来ちゃったよ。まずはお揃いのペンギンのキーホルダーだ」

「わー、小っちゃくて可愛いです」

「真理は笑顔が素敵だから笑ってるペンギンで、俺はバスケットボールを持ったペンギンのキーホルダーだ」

「素敵です悪琉さん!それに笑顔が素敵って言ってくれて嬉しいです!」


 真理はそう言って笑顔で顔をグイって近づけて来た。

 俺は驚いて遂、目を反らした。


「そ、それでもう1つがこれだ」

「なんですか?」

「ペンギンの大きめのぬいぐるみだ」

「ふかふかしてて可愛いです。悪琉さんのは青で私のはピンクですね」

「あぁ、折角だからお揃いのペアカラーにしたくてな」

「ふふ、ありがとうございます、毎日抱いて寝ますね」

「喜んで貰えたのなら良かったよ」


 俺はふと時計を見たら6時になっていた。

 水族館に着いたのは2時だったからもう4時間も経ったのか…凄く早く感じたな……


「そうだ、真理」

「はい、なんですか」

「夕飯はどうする予定だ?何か食べて行くか?」

「そうですね、食べて帰りましょう」

「真理は食べたい物とかあるか」

「んー実は私、ファストフードってほとんど食べた事が無いんですよね」

「そうなのか?」

「はい、余りお母さんが好きじゃないみたいなので」


 まぁ、美味しいけど体には良くないしな…真理の母親は凄く健康や美容に気を遣っているんだろうな。


「私的にはレストランとかシェフが作った料理じゃ無くて、たまにはそういったファストフードを食べてみたいんです」

「まぁ、たまにだったら何の問題も無いと思うぞ」

「はい!だから今日はこれから食べに行こうと思います」

「いいぞ、それで何のファストフードが食べたいんだ?」

「んー、そうですね…ハンバーガーが食べてみたいです」

「ハンバーガーって事はメックだな、よし!じゃあ行くか」

「はい!お願いします」


 そう言って俺達はメックに向かった。


「私初めてメックに入りました」

「メックのハンバーガー自体初めてか?」

「はい、初めてです」

「ならまずはメニュー表で何が食べたいか選ぼうか」

「そうですね」


 俺はメニュー表を取って来て真理に見せた。


「いっぱいありますね…悪琉さんは何にするんですか」

「俺はこのトリプルバーガーのセットとダブルバーガーの単品2つかな」

「こんなに沢山食べられるんですね…」

「体が大きいからな」

「私はそれじゃあ、ヘルシーチーズバーガーのセットにします」

「分かった。じゃあ、注文して持って来るからここに座って待っててくれ」

「はい、お願いします」


 おれは注文して2往復して持って来た。


「わざわざ運んでもらってすいません」

「いやいや、その位いいって、それより早く食べようぜ」

「そうですね」


 真理はハンバーガーを口に運んだ。

 

「ハンバーガーってこんなに美味しいですね…人気な理由が分かります」

「そうだな、特に学生人気が凄いからな」

「そうなんですね」

「あっそうだ真理」

「はい」

「前回は俺が付き合っている人は1人って言ってたよな?」

「そうですね、1人付き合っていて3人好きな人がいると言っていましたね」

「ちょっと事情が変わったから4人の事をちゃんと話すな」

「分かりました、お願いします」

「簡単に言っちゃうと、付き合ってる人が3人になった」

「コホッ」

「すまん、ほら飲み物を」

「は、はい」


 俺の発言に驚いた真理がむせた。

 飲み物を飲んで落ち着いた真理が話しだした。


「なるほど、何となく分かりました、残りの1人は大人だからまだって事ですね」

「そういう事だな」

「前回って1週間前ですよね?1週間で2人と付き合うなんて凄いですね」

「タイミングが丁度良かったんだ」

「まぁ、私的には悪琉さんに恋人が何人いようが問題ないですよ」

「そうか…それで4人が真理に会いたいらしいから近いうちに会って貰いたいんだけど…いいか?」


 俺がそう言うと真理は食い気味で言い出した。


「私も会いたいです。なるべく早く会いたいです。なんなら明日会いましょう」


 何でそんなに食い気味なんだ?

 そんなに会いたいのか?


「明日?大丈夫なのか?」

「はい!悪琉さんは私が忙しいと思ってるのかも知れないけど、私は別に普通の学生なのでそんなに忙しくないですよ」

「そうなのか、ちょっと待ってな、4人に確認する…因みに何時が良いとかあるか?」

「皆さんに任せます」

「分かった」


 それから俺は4人に確認したら午後だったら問題ないとの事だった。

 場所は何故か俺の家になった。


「午後1時に俺の家でって事になったけど大丈夫そうか?」

「勿論大丈夫ですよ♪」

「それじゃあ俺の家の住所送るからって、そう言えばLIME交換してなかったな…交換してもいいか」

「勿論大丈夫です、むしろしてください」

「じゃあ、交換しようか」


 そう言って俺と真理はLIMEの交換をした。

 LIMEの交換をした後、俺達はメックを出た。


「よし、じゃあ俺の家の住所を送っておくから、明日もよろしくな」

「はい、今日はありがとうございました」

「あぁ、凄く楽しかったぞ」

「はい、私も楽しかったです、それではまた明日」


 真理はそう言って迎えに来た車に乗り込んだ。


「よし!俺も帰るか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る