48話 神宮寺真理の本意(下)
お父さんが調査した結果を話したいと言って来た。
私は会う事は許さない、そう言われると思っていた。
しかし結果は違った。
お父さんは「是非悪琉君と会ってみなさい」そう言って来た。
私は理解できなかった。
それ故に「どんな人だったの」と聞いた。
お父さん曰く、学校の中の様子までは詳しく分からないけど、校外では困ってるお年寄りを助けたり、外国人を助けたり、子供を助けたりと、色々な人を助ける善人だったらしい。
私はそれを聞いて啞然とした。
私の知ってる佐野悪琉とは違い過ぎる。
でもそれと同時にそんな優しい佐野悪琉だったら心の底から好きになれるんじゃないかと思った。
私はお父さんに聞いた。
「そんなに良い人なの?」と。
そうしたらお父さんの調査結果的には中学生までは悪い噂が多かったらしい。
しかし高校に上がってから変わったと言う事だった。
佐野悪琉の父親にも聞いたら。
自分たちが一緒にいれる時間が少なくて小学6年生の頃から荒れ始めたらしい。
でも高校に入って佐野悪琉は変わって、親の愛に飢えてグレちゃってたけど、変わろうと思って変わったと言う事だった。
私はそれを聞いて疑問に思った。
何故そんな事が?
私が転生したせいで佐野悪琉にも影響が?
でもあの時以降会った事すらない。
私がそんな事を考えていた時お父さんに言われた。
「それで悪琉君とどうなりたいんだ?」と。
私は思い切って言った。
婚約者として会って見たいですと。
お父さんには前々から婚約者は自分で決めなさいと言われていたのでお父さんは躊躇いなく「分かった」と言ってくれた。
私は佐野悪琉が何故そうなったのか少し考え、私と一緒の転生者?とも考えた。
それで考えた結果どっちでも良くない?と思えて来た。
だって、優しい佐野悪琉だったら転生者でもなんでも良いのでは?って思ったからだ。
お父さんが佐野悪琉の父親に婚約の話を通してくれたらしい。
どうやら佐野悪琉は付き合っている人がいるかもらしい。
私はそれを聞いて転生者率が上がったと思った。
因みに一夫多妻制と聞いても別に違和感を感じなかった。
私の心に転生前の神宮寺真理の気持ちがあるからだろう。
私的には私が転生者って事も昔会った事も教える気は無い。
転生前の神宮寺真理も恐らくそれは望んで居ないだろうから。
でも、佐野悪琉の彼女には教えようかな…お互いに佐野悪琉に対して語り合いたいしね。
遂に会える日が来た。
私はいつも以上におめかしをして集合場所に居た。
いつも通り視線が集まる。
女子はウェルカムだけど男子は気持ち悪い。
佐野悪琉以外に見て欲しくない。
私がそんな事を考えていたら少し離れた所でこちらを見ている佐野悪琉がいた。
私の心臓は高鳴った。
私も転生前の神宮寺真理も喜んでいる。
私は佐野悪琉に近づいた。
「悪琉さんですよね?」
と初めて見るように言った。
そして私はグイグイ行くと決めていたので、いきなり悪琉さん呼びをして真理と呼んでと言った。
真理と呼ばれて私は凄く嬉しかった。
なので勢いで腕に抱き着いてみたら悪琉さんは少し驚きながらも照れていた。
これで確信した。
明らかにゲームで見た様な佐野悪琉じゃない。
今の佐野悪琉は間違いなく転生者だと。
まぁ、今となってはどっちでもいいんだけどね。
その後ディナーで話していた時に
「んー、じゃあ、何で俺と婚約したいと思ったんだ?」
と言われて少し私は迷ったが
「ふふ、シンプルに一目惚れですよ♪」
と笑顔で言った。
嘘をついた訳ではない。
転生前の神宮寺真理も私も一目惚れと言っても間違いじゃないからだ。
その後に会った事があるのかとか、噂を知っているのかとか、そんな過去があっても大丈夫なのかとか聞いて来た。
私はそれを聞いて笑ってしまった。
佐野悪琉らしくない、私の知っている佐野悪琉そんな事は言わないと思ったからだ。
それと同時に昔と同じ優しさを持っている悪琉さんに転生前の神宮寺真理も喜んでいるのを感じて少し懐かしい気持ちになったので
「そうです、悪琉さんはカッコよくて、優しくて、いつでも輝いていますよ。少し道を外しちゃった事もあるかも知れませんが今はそんな事無いじゃないですか」
と思った事を素直に言った。
私はこの時思った。
私も転生前の神宮寺真理も悪琉さんの事が大好きだと。
この人以外に居ないと。
だから私は
「そうなのか…それで本当に俺で良いのか?」
と聞かれた時に
「はい!悪琉さんで良いじゃ無くて、悪琉さんが良いです!」
とはっきりと言った。
その後悪琉さんは4人好きな子が居ると言った。
私的には問題ない。
寧ろ今の悪琉さんが好きになるような子なら絶対に良い子だろうから、寧ろ仲良くしたいと思った。
「なぁ、俺達ってやっぱり昔会った事あるのか?」
と改めて悪琉さんが聞いて来た。
私は話そうか少し迷ったけど元々は教える気は無かったし、心の中の神宮寺真理も言わないでと言っている気がしたので
「うーん、過去に会ったかどうかは今は大事な事じゃ無いんですよね…仮に会った事あったとしても私は今の私を見て欲しいです♪」
と言った。
その後私は悪琉さんの好きな子達が気になったので、心の中で可愛い子であってくれと思いながら聞く事にした。
そうしたら意外過ぎる人達の名前が出て来た。
まさかのヒロインズと香織さんだった。
どうやって神谷何とかから奪ったのか?
今の悪琉君が汚いやり方をする訳が無い。
話を聞く限りではヒロインズの誰か1人とは既に付き合っているらしいし、私の知らない所で何があったのか気になったが、正直それよりもヒロインズとも仲良くなれるかも知れない事実に思わずニヤけてしまっていた。
私は遂嬉しくなって笑った後に
「勿論♪私って可愛い子が大好きだから大丈夫ですよ♪」
と言ってしまった。
私は前に少年(悪琉さん)と出会えない未来を思い描いた時に少年以外の男性と結婚するなんて無理と体が拒絶反応を起こしていた。
そのせいもあって女性に気持ちが行く事あった。
勿論悪琉さんの存在を知ってからは女性に対してそんな気持ちを抱く事は無い。
悪琉さんはそれを聞いて何か勘違いをしたのだろう。
少しびっくりした顔をしたので私は必死に言い訳をした。
私はお別れに時間になって少し寂しいと思ったので少し散歩をしようと提案した。
私と転生前の神宮寺真理の心は懐かしさや、ずっと憧れていた想いや、好きだった事から心がいっぱいいっぱいになって遂、想いを伝えてしまった。
「私はずっと悪琉さんの事が大好きですから…今までもこれからも…」と
こんな言い方は昔から知っていたと言っているみたいな物だ。
しかし私はそんな事を気に出来るほど余裕が無かった。
私はその言葉を言った後、自分がどんな表情をしているのか分からなかった。
前世の気持ちや転生前の神宮寺真理気持ち、色々な気持ちが混ざり合って、辛い気持ち、嬉しい気持ち、恥ずかしい気持ち、懐かしい気持ちなど、様々な気持ちが混ざり合っていた。
私はそんな中これ以上は泣いちゃいそうだったので、最後は無理に笑顔を作ってお別れを告げた。
私は今日のディナーを経て心の底から佐野悪琉の事を大好きになった。
それは間違いなかった。
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