47話 神宮寺真理の本意(上)
★神宮寺 真理(side)
私の名前は神宮寺真理、いや本野真奈美とも言える。
何言ってんの?と思うかも知れないけど、そのままの意味です。
私には前世の記憶があります。
本野真奈美、大学2年生でした。
スペックで言うと、ちょっとだけモテる少し可愛い位の子で、ギャルでは無いけど陽キャではあったんです。
まぁ、陽キャと言っても彼氏とかは出来た事がありませんでした。
だって私はエロゲーが趣味だったのです。
勿論そんな事を友達に言う事も出来ず、少し億劫でした。
それだけだったら別に彼氏作れるんじゃないと思うと思います。
でも決定的に作れない理由が私にはありました。
それは高校2年生の頃でした。
私はとあるエロゲに出会いました。
どうやら当時の2年前に作られたエロゲらしいです。
それが私が初めてエロゲをプレイした時でした。
親友がエロゲ好きでどうしてもやって欲しい、語り合いたいとか何とか言って来たので仕方無くやってみました。
その当時の私は性に関しては少し興味がある位でした。
その為適当にプレイすればいいかと思っていました。
しかし1つ圧倒的な誤算がありました。
私がプレイしたゲームは「幼馴染達の行く先」と言うゲームでした。
とりあえずプレイしたのですが、まず思ったのがヒロイン達が可愛い過ぎって事でした。
それはまぁ、いいのですが問題は男キャラの佐野悪琉でした。
正直言って一目惚れでした。
神谷何とか君とかどうでも良いから佐野悪琉の出番をもっと増やして欲しい、そんな事を思っていました。
見た目がまさに王子さまって感じで最高にタイプでした。
エロゲなので勿論そう言ったシーンもある訳ですが、鍛えられた体が滅茶苦茶に最高でした。
ただ唯一の欠点と言ったら性格でした。
流石にあの乱暴で相手の気持ちを無視する性格は好きになれませんでした。
だから私はゲームの世界だから好きになれるけど実際に居たらときめくんだろうけど心から好きになれるかと言われたらどうなんだろう…位に思っていました。
しかし佐野悪琉を見たせいで、3次元の男性に興味が持てなくなったのです。
性格除いたら私の理想だったのでしょう。
2次元と3次元と言う事は理解しているもののどうしても比べてしまっていました。
その為告白されても受ける事は決してありませんでした。
そんな私は大学2年生なっても変わりませんでした。
私はそんな自分に少し不安を感じながら過ごしていました。
そんなある日いつも通り帰って来て疲れて寝ました。
しかし寝て起きたらそこは知らない場所でした。
結論から言うと先ほども言った様に神宮寺真理に転生していました。
勿論この時は「幼馴染達の行く先」の世界に転生したとは思っていませんでした。
だって、神宮寺真理なんて子は一回も出て来ていないからです。
体が小さいと思って鏡を見たら黒髪で蒼色の目でお人形さんみたいで滅茶苦茶可愛い女の子でした。
どうやら小学4年生の子に転生した見たいでした。
落ち着いて考えてみたらどうやらこの子は男子が嫌いらしい。
男子を見ると本能から嫌悪感を勝手に感じる。
それもそのはず、この子はハーフで髪色が銀髪で蒼色の目、これが原因で仲間外れにされていた。
女子は直接何かする訳では無い、ただし基本無視される。
男子に関しては罵倒されたり中には暴力を振って来る人もいる。
特に蒼色の目が気持ち悪いらしい。
見ていると吐き気がする、恐怖を感じる、呪われそう、そんな言葉を幾度となくぶつけられていた。
こんな事をされたら嫌いになるのも当然だ。
ただこの子は好きな子がいるらしい。
記憶によると1回しか会って無いけど惚れている。
どうやら、小学3年生の頃たまたま出会ったらしい。
その時の神宮寺真理は虐められていた事もあり完全に人間不信で、常に「化け物」とか、「おばあちゃんみたいだな」とか言われていたので自信なんてものは1ミリもありませんでした。
見た目が変われば皆虐めないでくれるのかなと思い行動した。
しかし、髪の毛を黒髪に染めてみたのだけれど変わらない。
カラーコンタクトをしても変わらない。
本当の私を知っているから寧ろ、「俺達の真似するなよ気持ち悪い」と言われてしまっていた。
どうやらそれがきっかけで全てを諦めたらしい。
そんなんだからカラーコンタクトも付けなくなり、髪の毛も再び染める気は無くなっていた。
言っちゃえば小学生ながら自殺をしてもおかしくない程に追い詰められていたらしい。
そんな時同い年位の少年に出会って救われたらしい。
その少年は蒼色の目を綺麗と言ってくれたらしい。
真理は何か嫌な事があった時には、母親の写真を見て乗り越えていたらしい。
しかしそんな事を言われて動揺して常に持ち歩いていた母親の写真を落としてしまった。
けどそれを見て少年は綺麗な銀髪の髪で綺麗な人だね、と言った。
真理は恐る恐る「銀色の髪の毛は気持ち悪く無いんですか?」と聞いた。
そしたら「何で綺麗じゃん」と返してくれた。
真理はその言葉を聞いて泣いてしまった。
嬉しさと悲しさとが混ざり合った感情だった。
今まで否定され続けていた銀髪と蒼色の目を綺麗と言ってくれた。
その事実が凄く胸に突き刺さり、今まで我慢してきた分涙が止まらなかった。
その少年は私の頭を撫でてくれて泣き止むまで一緒に居てくれた。
私が泣き止んだら笑顔で「もう大丈夫か」と聞いてくれたので真理は頷いた。
その後その少年は真理の為に面白い話をしてくれた。
真理はずっと無言だったが、心は温かくなっていた。
どうやらこんな事があったらしい。
転生した私は気持ちが元の神宮寺真理に引っ張られているのか、その子がどうやら気になっていた。
ていうよりもその子以外の男性を体と脳が本能的に受け付けない。
勿論家族は別だけどね。
でも転生前の神宮寺真理は変わる事が出来ないでいて、その少年と結ばれたいとかは考えて居なかったらしい。
自分とあんなに素敵な子は釣り合わない、そんな事を思って諦めていた。
苦しくてもその思い出だけで乗り越えて我慢する。
そんな生活をしていた。
だから私は決めた。
この子の体をわざとじゃ無いけど貰った訳だからこの子の想いを代わりに叶えようと。
まぁ、私自身その子が気になっているのも事実だったんだけどね。
その日から私は自分を変える為に、自分磨き、勉強などを真剣に頑張って高校入学の頃には有名になっていた。
私が変わってから、虐めていた男子が好意を向けて来て気持ち悪かった。
でも良い自分を演じるにはそんな男子にも程よく接しないと行けなかった。
その事だけは本当にしんどかった。
そんな事があったのだが、私はあの時の少年の名前を知らなかったから探しようが無かった。
私は行き詰っている間、どうしようもなく、可愛い女子に少しハマっていた時期があった。
まぁ、そんな事は今はどうでもいいんだけどね。
私は途方に暮れていたのですがある日一冊の雑誌を見ました。
そこに載っていた1人の男子に目が釘付けになりました。
だってそこに載っていたのは、「幼馴染達の行く先」に出て来る佐野悪琉だったからです。
私はそれを見てびっくりする位心臓がバクバク鳴っていました。
本能的に分かりました、佐野悪琉こそが昔会った少年だと。
でも私はそれよりも佐野悪琉がいる事に困惑していました。
自分が転生した先が「幼馴染達の行く先」何だと今更気付いたからだ。
まぁ、確かに本編に関わる所では過ごしてないから気付かないのも当たり前かもしれない。
ゲームでは神宮寺真理なんて居なかったけど、考えてみたらここはゲームの世界であって現実の世界だ。
ゲームで無かった出会いが会っても全く不思議じゃない。
私はその時から佐野悪琉に興味深々でした。
私が転生する前の神宮寺真理の意思抜きにしても興味がありました。
その中で神宮寺真理の想いが混ざっているので、ドキドキが止まりませんでした。
私はお父さんに言ってみました。
雑誌を見て佐野悪琉が気になると。
お父さんは私が男子が嫌いだと知っているので、びっくりしていたけど佐野悪琉と知って乗り気だった。
どうやらお父さんの知り合いの息子らしい。
私は凄くびっくりしたけど好都合だった。
でもそれと同時に佐野悪琉が自分勝手にしている事は知らないのだろうと思った。
そうでなければ乗り気になるはずがない。
お父さんは調査して見ると言った。
私は佐野悪琉がどんな人間か知っていたから、調査後どうやってお父さんを説得するのか考えていた。
正直1度位は会ってみたい。
それで酷い性格なら私も転生前の神宮寺真理も諦めがつくだろう、そう思っていたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます