44話 告白……
(ジリリリリリリ)
目覚まし時計の音と共に俺は起床した。
「今日がテスト結果の出る日だな……」
テスト結果次第で愛に告白出来るか決まる。
愛から告白されるのも正直悪く無いと思ってはいる。
まぁ、思っているだけで実際にするなら俺からしたいので本気で勝ちに行ったけどな。
俺的には1000点満点でもおかしく無いと思っている。
「ちょっと緊張するな……」
告白ってやっぱり緊張するんだな…何回しても慣れないな。
成功するだろうと分かっていてもいざその日が来るとドキドキするもんだ。
「よし!学校行くか」
俺は気合を入れて学校に向かった。
学校についてテスト結果が書いてある場所へと向かったら春香達が待っていた。
「おはよ、春香、愛、沙羅」
「「「おはよう」」」
「もう結果は見たのか?」
「ううん、私達はまだ見てないよ!」
「じゃあ、見に行くか」
「そうだね、でも私と沙羅ちは少し用事があるから2人で行ってね♪」
そう言って春香と沙羅は何処かに行った。
「えっと、じゃ、行くか」
「え、えぇ」
テスト結果
1位 佐野悪琉 998点
2位 矢野愛 988点
3位 丸山丸尾 922点
4位 相沢沙羅 920点
・
・
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春香は720点と言うとても素晴らしい結果だった。
沙羅も10位から4位まで上がっていた。
因みに俺はケアレスミスで1000点を逃した。
「とりあえず俺の勝ちだな」
「そ、そうね……」
俺が笑顔で愛にそう言うと愛は頬を赤らめて目を反らした。
「今日の放課後、部活も無いし時間あるか?」
「あるわよ……」
「じゃあ、皆が居なくなったら教室で話さないか?」
「分かったわ……」
教室を選んだ理由は単純だ。
放課後の教室で告白は青春の1ページとしては良くあるシーンだが、やっぱり憧れる人は多いと思う。
俺もその1人だ。
放課後になり人が居なくなるのを待っていた。
春香は1日中ニヤニヤしていたし、沙羅は自分の事の様に緊張していた。
愛とは今日の朝以降は話していない。
2人は愛を連れて教室を出て行った。
春香曰く教室に人が居なくなったらLIMEしてとの事だった。
教室が俺1人になったのは30分後だった。
『誰も居なくなったぞ』
『分かった!直ぐに愛ちゃんが行くから、私達は帰るね、頑張って!!!』
俺が春香にそう連絡すると、その3分後に愛が教室に来た。
「お待たせ……」
「あぁ」
「流石だね、私は今回こそ勝てると思ったのに……」
「どうしても勝ちたかったからな……」
俺がそう言うとお互いに恥ずかしくなり目を反らした。
「ふぅー」
俺は大きく深呼吸をして言う。
「愛!」
「は、はい!」
「好きだ、いつからと言われれば恐らく同じクラスになって初めて愛を見た時からだ……」
「え?」
「でもその時は付き合いたいとかは思っていなかったんだ……」
転生したての頃はゲームの中でいつも見ていた3人に一目惚れ?と言っても過言じゃ無かった。
しかし、俺が余計に介入して3人を不幸にする位なら神谷に任せようと思っていた。
「そうなのね……」
「愛と初めて話したのはナンパされてた時だよな、そこから色々あり少しずつ好きになっていったんだ……」
「うん……」
「愛の面倒見の良い所、どんな事でも完璧にこなすけど時々ミスをする所、甘え下手で時々見せる可愛い笑顔、なんだかんだ言って心配してくれる所、他にも色々あるけど好きな所がいっぱいあるんだ」
「うん……」
「だから俺は愛の事が好きだ…付き合ってください……」
俺がそう言うと、数秒間静かになり愛が話始めた。
「正直話す前の悪琉の事は苦手だったわ……」
「色々噂があったしな……」
「でもね、ナンパから助けられたあの時から自分でも分からないけど悪琉の事が気になってたんだ…当時は気付かなかったけど今ならはっきり言えるわ」
「うん……」
「私も悪琉の事が好き…だから是非よろしくお願いします」
それを聞いて俺はほっと胸をなでおろした。
「ありがとう、よろしくな!」
そう言って俺は抱き合った。
「なぁ、愛?」
「なに?」
「キスしていいか?」
愛は顔を真っ赤にして答えた。
「か、彼女なんだから良いに決まってるでしょ」
「そっか」
そう言って俺が壁際にいた愛に唇を重ねた時の事だった。
「おいっ!!何やってんだ!!!」
俺達はびっくりして唇を離して声の方を見た。
そこには鬼の形相をした傑がいた。
「は?どうかしたか?」
「このクズやろうがっ!!!愛早くこっちに来い!!!」
何言ってんだこいつ?遂に頭おかしくなったのか?
そんな事を思い愛の顔を見たら凄い目をしていた。
怒っている訳でもなく焦ってる訳でも無い、言うなれば無感情、どうでも良い奴に向ける目だった。
「はぁ?、神谷お前何いってんだ?良く分からないが愛がそっちに行く理由があるとは思えないんだが?」
「うるせぇ、無理矢理壁に押し付けてキスしてたじゃねーか」
確かに廊下から見たらそう見えてもおかしくないかもな……
ってそんな事はどうでもいいんだよ…こいつ正気か?せめて事実確認をしてから言えよ…それ以前に愛の顔見れば分かりそうなものなんだけどな……
「確かにキスはしてたよ…でもな?無理矢理じゃないからな?お互いに合意の上だからな?」
「嘘つけ!愛を見てみろ!ショックで何も言えなくなってるじゃないか!!!」
いや、それはお前に対して向けてる顔何だが……
「はぁ?ちょっと落ち着けよ」
「黙れよ!ほらっ早くそんな奴から離れてこっちに来い愛!」
こいつ滅茶苦茶だな…話が通じない……
ただでさえ大事な時間を邪魔されて苛立ってるのに……
俺がそんな事を考えていたら、愛の表情が変わって叫んだ。
「何言ってんのよ!!私と悪琉は恋人なのよ?何であなたにそんな事言われないといけないのよ!!!」
「な、何いってるんだよ愛?」
さっきまで勢いの良かった神谷の声が一気に戸惑いに変わった。
「何って今言った通りよ…私達の邪魔しないで頂戴」
神谷は何かを考えるかのようにして話始めた。
「なるほど、そう言う事か、クソっお前もなのか愛ぃー!お前も俺を裏切るのかー」
何言ってんだ?裏切る?もう訳分からないぞ……
「裏切るって何よ?意味分からないのだけど」
「うるせぇ、覚えてろよ佐野ぉー」
そう言って神谷は走り去って行った。
「何だあれ……」
「ごめんなさい、私にもさっぱり分からないわ」
「そうか……」
「悪琉、少し気分悪くなったからさ、改めてしよ」
「あぁ、そうだな」
俺たちは神谷に邪魔された分、さっきより激しくキスをした。
舌を絡め合った後に抱きしめたら自分の心臓と愛の心臓がお互いに分かる位ドキドキ鳴っていた。
「愛、今日からよろしくな、絶対に幸せにするからな」
「うん、ありがとう、こちらこそよろしくね」
そう言って笑った愛は今までで1番素敵な笑顔だった。
◇
その日の夜俺は考えていた。
「なんなんだ神谷は…意味が分からない……」
いくら考えても理解できない……
あの場面を見られるとは思っていなかったがやっぱり場所を変えるべきだったか?
いや、でも神谷のせいで告白のやり方を変えるのは嫌だしな。
それにしても裏切るってなんなんだ?
「何もなければいいけど……」
春香達には愛の方から話すと思うけど、後日話し合った方がいいのかもな……
「はぁー、なんでめでたい日にこんな事を考えないといけないんだよ」
愛と恋人になれたんだから今は愛の事だけをかんがえよう。
それにしても凄く柔らかかったな…愛の唇。
キスをしている時の愛の顔は正直に言ったらかなりエロかった。
目がトロっとして普段では絶対に見れない顔だった。
それにしても愛も滅茶苦茶ドキドキしてたな…俺も人の事言えないけど正直嬉しいな。
愛のあの笑顔を見て好きにならない男性はいないよな…ギャップも相まって凄い破壊力だったよな。
これからはあの笑顔をしっかりと守って行かないとな。
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