43話 期末テスト
「ふわぁー、良く寝たな」
寝不足だった事と安心感から昨日の夜はとても良く寝れた。
春香はもう居ないな…それにしても初めて春香より遅く起きたな……
「着替えるか」
俺は身なりを整えて階段を降り、リビングルームへと向かったら春香達がテーブルにご飯を並べて待っていた。
「あっ、おはよ!悪琉」
「おはよう、悪琉君」
「おはよう、ゆっくり寝れたようね」
「あぁ、おかげ様でな、おはよう!」
「ご飯を用意したから、皆で食べよ!」
「そうだな」
俺達は雑談しながら楽しく朝食を食べた。
「ふー、ごちそうさま。美味しかったよ」
「ふふっ、悪琉さえ良かったらいつでも作るよ♪」
「そうか、なら定期的にお願いしよっかな」
「いつでも言ってね♪」
「朝からイチャイチャしないで片付けするわよ悪琉」
俺と春香がそんな会話をしていたら愛に止められた。
「悪い悪い、沙羅もありがとな、美味しかったぞ」
「うん!」
「それじゃ愛、片付けるか」
「えぇ」
そんな感じで春香と沙羅は部屋に戻り、俺と愛は朝食の片付けをした。
俺と愛が片付けを終えて部屋に戻ると春香と沙羅は勉強していた。
「えらいわね、2人共」
「うん!明日テストだからね!」
「そうだな、じゃあラストスパート頑張るか」
「「「うん(えぇ)」」」
それから俺達4人は夕方まで勉強して解散した。
◇
「やっと終わったー」
「お疲れ、春香」
「お疲れ様」
「よく頑張ってたよ春香ちゃんは」
テストは月曜日、火曜日、水曜日の3日間で行われた。
春香は途中、干からびた様な顔をしていたが、テスト自体の出来は自信があるらしい。
「悪琉も愛ちゃんも沙羅ちもありがとね、勉強に付き合ってもらっちゃって」
「それ位お礼を言われるほどじゃないけどな」
「そうね、教える事によって復習にもなるしね」
「うんうん、私もまたいつでも付き合うよ」
「それじゃ、テストも終わったし、皆で遊びに行こ!!」
「俺はいいぞ」
「私も大丈夫よ」
「うん、行こう!」
俺達は遊びに行くため、歩きながら話していた。
「それで、何するんだ?」
「んー、皆は何したい?とりあえずカラオケとか色々とあるから駅付近に向かってたんだけど」
「無難にカラオケでいいと思うけど」
「まぁ、そうだよね、ならカラオケにしよっか、沙羅ちと悪琉もそれでいい?」
「私はそれでいいよ」
カラオケか…この世界の歌って、前世と同じなのか?そうじゃ無かったら知ってる曲は無いと思うんだが……
それに前世から歌は余り上手く無いんだよな……
「悪琉?どうしたの?」
いけないいけない、その時はその時に考えよう。
「いや、何でもない、カラオケでいいぞ俺も」
「そう♪じゃあ行きましょう」
それにしても、この4人で遊びに行くのって初めてだよな。
2人で出かける事はあったけど、このメンバーで出歩くとその時の比じゃない位注目を浴びてるな。
しかし意外にも沙羅は余り気にしないんだな…まぁ、小さい頃から注目を浴びてるだろうし、流石に慣れるのかな?
そんな事を思いながら沙羅の顔を見つめていた時
「ちょっと悪琉…沙羅の事を見過ぎよ」
「あぁ、すまん、ちょっと考え事してたわ」
「わ、私は別に大丈夫だよ」
沙羅は少し顔を赤くして嬉しそうにそう言った。
「それで悪琉は何を考えていたの?」
「あぁ、そう言えば4人で遊びに行くの初めてだなって思ってな」
「確かにそうね、一緒に居る事は結構あったけど遊びに行くのは初めてね」
「言われたらそうだね、余り気にしてなかったから忘れてたよ」
「でもそれが沙羅を見つめてた事にどう関係してるのかしら?」
「そうだな、3人といると普段とは比べ物にならない位視線が強くてな、沙羅が意外にも気にして無さそうだからちょっと気になっただけだよ」
「その事だったら私達3人は小さい頃から視線を集めて来たから、流石の私でも慣れるよ…まぁ、慣れただけで嫌な物は嫌だけどね……」
「やっぱそうなんだな、大変だな可愛い過ぎるのも」
「「っっっ」」
俺が何となくそう言うと、沙羅と愛は恥ずかしそうな表情になった。
「ははは、悪琉ってばすんなりそんな事を言っちゃうだね」
「え?そんな事って?…思った事言っただけなんだけど…何か悪い事言ったか?」
俺は意識してない所で何か言っちゃったのかと思いそう聞いた。
「ううん、悪琉はそれでいいんだよ♪ね、愛ちゃん沙羅ち」
「全く…まぁ、そうね悪い気はしないしそのままで良いわ」
「う、うん、私もそれでいいと思うよ」
「そうか?良く分からんがそう言うなら気にしない事にするよ」
「ていうかそう言う悪琉だって良く皆に見られてるでしょ?特に"女性"に」
確かに見られるけど…そんなに女性を強調しなくても……
「まぁ、そうだな……」
「綺麗な女性に見られて喜んだりしてるんでしょ……」
春香は怪訝そうにそう言ってくる。
確かに転生前はここまでイケメンじゃ無かったら転生直後は少し浮ついていた。
でもそれも1.2週間まででそれからは鬱陶しく思えてきた。
「そんな事ないぞ?3人はイケメンに見られたり…何なら告白なんて何回もされてるだろ?」
「まぁ、そうだね…でもイケメンとか別にどうでもいいけどね…今までの人達は私達の中身なんて見てないんだろうし……」
春香がそう言うと、愛と沙羅も一緒に頷いた。
「だろ?俺からしたらそれと一緒で、いくら美人でも中身を知ってからじゃ無いと怖いだけだよ」
「「「え?」」」
俺がそう言うと、3人は一緒に意外そうな顔をした。
え?って何だ?もしかして俺は美人なら誰でも良いとか思われてる?
転生前の悪琉ならそうかも知れないけど、今の俺はそんな事ないぞ?
「どうしたんだ皆?」
俺はそう思われてたら嫌だなと思いながら恐る恐る聞いた。
「いや、悪琉でも女性を怖がる事あるんだなって思って」
「私も慣れたとはいえ男子の視線が怖いから悪琉も同じなんだって思ってね」
「正直意外だったわ」
何だそんな事か。
おれはそれを聞いて胸をなでおろした。
「そりゃ、知らない人に見られたらな……」
「そうなんだね」
「あぁ」
そんな事を話していたらカラオケに着いて部屋へと向かった。
「じゃあ、私から歌うねー」
そう言って早速春香が歌い始めた。
どうやらこの世界の歌は前世と同じだった。
でも歌手や作詞作曲をしている人の名前は全然違う人だった。
俺は不思議に思ったが別に大事な事でも無いので特に気にしなかった。
それより春香の歌だ。
アイドルが歌っている歌なのだが、はっきり言って、滅茶苦茶うまい。
前世のアイドルと比べたら春香の方が圧倒的にレベルが高い。
次に愛が歌った。
愛が歌った曲は知らない曲だった。
どうやらドラマの主題歌らしい。
良く知らない曲だったとしても愛の歌の上手さは伝わって来た。
そして沙羅の番になったのだが…流れて来た曲が【私達の未来】と言う曲だった。
タイトル通り幸せな未来を描いた曲だ。
俺が何故驚いているかって言うと…この曲は【幼馴染達の行く先】つまりこの世界がゲームだった頃のハーレムendルートのエンディング曲だったからだ。
沙羅の歌はちゃんと上手い…でもそんな事を考えていられなかった。
俺は気になりスマホでこの曲を調べた。
どうやらこの世界でのこの曲は有名なアニメの曲らしい…それもどうやらアクションアニメのね……
俺は良く分からなくなり考える事を止めた。
因みに【幼馴染達の行く先】と言うエロゲがあるか調べてみたのだが、無かった。
「次は悪琉よ!」
「あぁ、そうだな…でも俺は歌が得意じゃないからさ…笑うなよ?」
「当たり前よ、上手さなんて別に何でもいいわよ」
「そうだよ悪琉君!歌の上手さなんて人それぞれ何だから大丈夫だよ」
「そうか、じゃあ、これにしようかな」
俺はそう言って無難な曲を選んで歌った。
「全然下手じゃないじゃん!」
「そうね、全然良かったわよ」
「そうだよ、悪琉君!」
声質が前世と変わったからか、思ったより上手く歌えた。
点数で言うと90点だった。(前世では80点が平均)
ちなみに3人は全員95点以上だった。
採点基準が甘いのかも知れないけどそんな事はどうでも良い。
俺はその後楽しくなって、4人で沢山歌った。
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