41話 3人に話す

「皆になんて言うかな……」


 俺は食事会が終わり家に帰った後、自分の部屋で考えていた。


「まぁ、考えていても仕方無いし連絡するか……」


 色々と言い訳を考えてみたがやっぱり素直に白状する事にした。


 ~グループ電話~


『なぁ、皆』

『どうしたの悪琉』

『実はな…話したい事があるんだ……』

『珍しいわね、何かあったの?』

『今日の食事会で両親に言われたんだけどな…俺に婚約者が出来たらしい』

『『『え?』』』


 まぁ、そうなるよな……

 余りにも突然過ぎるもんな……


『婚約者って…どういう事?』

『あぁ、詳しく話すと……』

 ……

 ……

 ……


 俺は食事会での事を詳しく話した。


『神宮寺家って……』

『衝撃的過ぎて言葉にならないわね……』

『うん、私なんて頭がパンクしそうだよ……』

『すまない……』

『悪琉が悪い訳じゃないだから謝らなくて良いわよ』

『そうだよ』

『ねぇ、悪琉?神宮寺さんに私達も会わせてよ』

『え?神宮寺に?』

『うん、婚約者にする事は一旦納得したけどやっぱりどんな子か確かめておく必要があると思うんだ……愛ちゃんと沙羅ちもそうだよね?』

『そうね、私も会ってみたいかも……』

『2人が会うなら私も会いたいです……』


 神宮寺に会わせてくれか……

 イレギュラー過ぎる展開だから慎重に話を進めないとだよな……


『分かったけど、俺もまだあった事無くて来週の日曜日に会う事になってるんだ…流石にそんな早く会わせる訳には行かないからせめて2回目会う時まで待ってくれないか?その時に3人に会ってくれって頼むからさ』

『そうだね、初めて会う時に私達に会ってって言うのも微妙だよね』

『私は別にいつでも大丈夫よ』

『私もいつでもいいよ』

『あぁ、ありがとう』


 皆は本当はどう思ってるんだろう…聞きたいけど今じゃ無いよな……。


『ほんとごめんな』

『大丈夫だって、ちょっとびっくりしたけど会ってみたらいい子かもしれないしね』

『お嬢様だから心配な所が無い訳では無いけどそこまで落ち込む事は無いんじゃないかしら』

『私も大丈夫だから元気だして、悪琉君!』

『ありがとう…』

『悪琉、おかーさんには私から説明しておくから大丈夫だからね?』

『うん……』

『悪琉も考える時間が必要だと思うしそろそろお開きにしない?』

『そうだな……』

『そうね、おやすみなさい』

『うん、おやすみ』

『おやすみねー』

『あぁ、おやすみ』


「はぁー、大丈夫だったかな……」


 それにしても3人は本当に優しいな……

 3人はああ言ってくれていたけどやっぱり心配だな……

 俺がしっかりしないとな……





 悪琉との通話後、春香達は3人で改めて通話を始めた。


『愛ちゃんと沙羅ちはどう思った?』

『どうって、婚約者についてよね?』

『そう』

『私はその子次第としか言いようが無いわね』

『私は少し心配だけど、悪琉君がしたいようにして欲しい…かな』

『なら、2人は婚約者が増える事自体は特に問題ないって事なんだね』

『まぁ、そうね、5人なら何とかね…けど流石にそれ以上は少し困るかな…それに親が決めた事で断れなそうだったしね……』

『私の意見的にはその子が悪琉の事を愛していれば何の問題もないんだけど、何せ親が決めた事だから不安なんだよね』

『そうね、恋愛感情があるかは分からないものね』

『確かに私も神宮寺さんが悪琉君の事を好きじゃ無かったらちょっと嫌だな……』


 3人は一息置いてから再び話始めた。


『それにしても、神宮寺家か』

『ほんとびっくりだよね……』

『えぇ、流石に雲の上の存在過ぎて正直想像もつかないわ……』

『うん、悪琉君の家でも衝撃的だったしね……』

『神宮寺真理と言えば超秀才でルックスも完璧って聞いてるけど……』

『私も聞いた事あるかも……』


 3人はため息を付いた。


『悪琉が神宮寺さんに惚れて私達の事を後回しにする事は無いと思うけど少し心配だな……』

『惚れる可能性はあるけれど、後回しにする事は無いと思うわよ』

『うん、悪琉君はそんな人じゃないよ』

『そうだよね、ごめんね2人共……』

『まぁ、心配な気持ちも分かるから大丈夫よ』


『それにしても悪琉君、珍しくしなしなだったね……』

『そうね、悪琉も苦労してそうだったわね』

『うん、きっと悪琉の事だから私達に申し訳ないと思ってるのかな?』

『多分ね……』


 少し無言が続いた後


『ねぇ、2人共』

『どうしたの?』

『なに?』

『悪琉の事だから明日以降も私達に罪悪感を感じながら過ごすんだろうからさ、私達は大丈夫ってアピールしない?』

『それは良いけど…アピールって何をするの?』

『私も大丈夫だけど……』

『うん、それなんだけどシンプルに宣言するの!神宮寺さんが悪琉の事が好きだったら私達は認めるって』

『もし好きじゃ無かったらどうするつもり?』

『そ、その時はその時に考えるよ……』

『まぁ、ひと時でも悪琉君の気が楽になるんだったら私は悪くないとおもうけど……』

『んー、まぁ、そうね……』


『そしてもう一つ!』

『『え?』』

『愛ちゃんと沙羅ち!2人もそろそろ本気だそうよ!』

『『本気って?』』

『2人共悪琉の事が好きなんだったらもう少し自分から行動しようよ!』

『私はもともとそのつもりよ』

『私も春香ちゃんのとんでも発言の後からは頑張ろうと思ってたよ』

『ははっ、だったら良かったよ、それで2人は今どんな感じなの?』

『そう言えば言って無かったわね、実は勉強会の初日に……』

 ……

 ……

 ……

 愛は勉強会で悪琉と約束した事を話した。


『やったー、ありがとう愛ちゃん!』

『ありがとうって、反応間違えてない?春香』

『間違えて無いよ!!だって早く2人も悪琉と付き合って欲しいんだもん』

『そ、そうなのね』

『沙羅ちはどんな感じ?』

『私はまだ進めてないかな……』

『大丈夫よ、沙羅…私も春香も協力するし』

『そうだよ沙羅ち!』

『大丈夫だよ2人共!私も前向きに頑張るって最近決めたばっかりだしね!』

『沙羅…変わったわね…勿論良い方向に……』

『ね!ホント前向きになってるよね』

『う、うん、ありがとう』

『ふふふ、婚約者の事もあるけど皆で頑張ろう!!』

『そうね、それに悪琉は今結構大変そうだから私達がしっかりとしないとだしね』

『そうだね!私達は私達で出来る事をしようね!』

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