39話 愛と沙羅の想い
★矢野愛(side)
「恥ずかしい……」
私は勉強会を終えた後、ベッドの上で今日の悪琉とのやり取りを思い出していた。
悪琉があんな事を言うなんて想定外だったし、何より自分があんな事を言うとは思わなかった。
あの時の私は自分でもびっくりするくらい心で思った事を素直に話していた。
あんなのは間接的に告白されてOK出したみたいな物だ。
「はぁー」
思い出しただけで恥ずかし過ぎる……
でも自分の思ってる事を間接的とはいえ伝えられた事を嬉しく思っている事も事実。
テスト結果が出た後、私か悪琉のどちらかが告白する事になる……
正直私は告白されたい…しかし悪琉にテストで勝ちたい気持ちもある。
駄目だ…家に帰って来てから悪琉の事ばっかり考えちゃってる……
でももし付き合ったらどうなるんだろう……
私は今まで男性とキスしたいとか、それ以上の事をしたいとか余り考えた事は無かった。
そのはずだった……
でも悪琉への恋心に気付いてからは少しづづ触れ合いたいとか、キスをしてみたいとか、最近は…その先も……。
「あーダメダメ」
実は最近まではキスから先は余り考えていなかった。
それなのに最近、私と沙羅はとんでもない発言を春香にされたのだ。
悪琉の誕生日会の2日後の午後、私たちは買い物に行く約束をしていた。
私と沙羅は集合時間前に着いたのだが、春香は30分位遅刻してきて謝って来た。
春香が遅刻するなんて今まで一度も無かったから、何かあったのかと少し心配していた。
だけどその心配は直ぐに消えた。
買い物中、私は春香を注視していたが、むしろいつもよりテンションが高めだった。
そんな春香を見て私は気にするのを止めた。
買い物が終わり私達はファミレスに行った。
私と愛はそこでとんでもない話を聞かされた。
春香が悪琉に告白されて付き合う事になったと……
まぁ、その点は別にそこまで驚かなかった。
普段からイチャイチャしてるし、普通にキスまでしていた…むしろ付き合って無い方がおかしいと思っていた位だからだ。
問題はその先の話だ……
付き合ったその日に…ホテルへ行ったと……
それも一晩に何回も……
しまいには凄く気持ちよかったと……
ていうかそれならさっきまで悪琉と一緒にいたのか……
私は衝撃的過ぎてその後何も言えなかった。
恐らく沙羅も同じ、いや沙羅は私より驚いていただろう……
春香曰く私達には隠し事をしたく無いとの事だったので包み隠さず言ったらしい。
私は正直その話を聞いた時、凄くもやもやした。
自分でもびっくりする位嫉妬している事に気付いた。
私も春香と悪琉みたいな関係になりたいと……
その話を聞いてからちょいちょいエッチな事を意識し始めた。
て言っても今は出来てもキスまでかな…なんて思ってたりもする。
それから私はもう少し悪琉に歩み寄ってみようと思った。
だからモデルの仕事も受ける事にした。
正直全くやるつもりは無かったけど悪琉がやると言うので私もやる事にした。
モデルの仕事自体は思ったよりも悪く無かった。
それに悪琉に褒められた事が凄く嬉しかった。
「お泊りか……」
私とは何も起こらないと分かっていても少し緊張する…
悪琉の事だからちゃんと付き合うまでは手を出さないだろう。
それに私もキスをするならちゃんと付き合ってからが良いしね……
「はぁー、早くテスト終わらないかな……」
なんだかんだ言って私は悪琉と付き合う日を楽しみにしているんだな……
私はふと時計を見たら悪琉の事を考え始めてから1時間経っている事に気付いた。
「はぁー、勉強しよ……」
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★相沢沙羅(side)
私は悪琉君の事が好きです。
悪琉君のどこが好きかと聞かれたら色々とあるけれど、やっぱり何と言っても目です。
初めて悪琉君の目を見てからずっと忘れられなかった。
思えば一目惚れと言ったら少し違うかも知れないけどそれに似た想いだったと思う。
恋心自体は割と最近気付いたのですが、それからはきっかけが無く距離を縮める事が出来てない。
きっかけさえあれば……
なんて言ってるけど実際は恥ずかしくて動けていないだけ……
そんな中最近春香ちゃんから衝撃的な発言を聞きました。
どうやら悪琉君と付き合い始めたとの事だった。
私としては私達に言ってないだけで実は既に付き合ってるものだと思っていた。
でもそんな事は無かったらしい。
だから付き合い始めたと聞いてもそんなに驚かなかったし、寧ろおめでとうって素直に思えた。
それだけならまだ良かったのだけど、まさかあんな事を言うなんて……
悪琉君と春香ちゃんはどうやら大人になっちゃったみたいです……
私は素直におめでとうと言いたかったのに何故か言えなかった。
春香ちゃんばかり先に進んでずるいと思っていたからだろう……
でもそれは春香ちゃんは行動していて私は何も動けていない…差が出来るのも当然だよね……
そんな中、今日のお勉強会で春香ちゃんと一緒にお料理を悪琉君と愛ちゃんに作ってあげる事になりました。
私は苦手と言う訳では無いのですが、春香ちゃんと比べたらお料理が上手じゃありません。
それを少し不安に思っていて、美味しく出来無かったらどうしよう…そう思っていました。
でも、春香ちゃんが励ましてくれて悪琉君と愛ちゃんは美味しいと言ってくれました。
そこで私は決めました。
いつまでもうじうじしていても仕方ない…もっと頑張ってみよう!と。
まぁ、悪琉君の頬っぺたにキスした時も同じ事を言ってたんだけどね……
「悪琉君から積極的に来てくれれば良いんだけどな……」
正直に言うと悪琉君は私や愛ちゃんの想いを否定する事は決して無いだろう。
その事は勿論愛ちゃんも理解していると思う…でもやっぱりだからと言ってグイグイ行ける訳じゃ無い。
だって恋愛自体まともにした事が無いからだ……
傑君に関しては子供の頃に気付いたら好きになったが、そのまま恋愛っぽい事は全く無く、いつの間にか高校生になっていた。
だから私は恋愛とはどうすれば良いのか分かっていない。
でもそんな事ばっかり考えていたら変われないよね……
「よし!頑張ろう!!!」
でもやっぱりきっかけは大事だよね…きっかけを見つけるまではほどほどに頑張ろう……
私は人知れずそんな事を考えていました。
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