33話 春香とデート
俺は春香とのデートの為にいつも以上に見た目に気を遣った。
「よし!この位でいいだろう」
でもやっぱりいざデートするとなると緊張するな。
今日が勝負の日だからマジで気合入れて行かないとだな。
俺は集合場所に向かい約束の30分前に着いたが既に春香がいた。
春香の私服を見た事が無い訳では無いが、今日の春香はいつもより気合が入っていて滅茶苦茶可愛いと思った。
金髪を活かした全体的にバランスの良いファッションだ。
周辺の人達もチラチラと春香の事を見ている。
俺が見惚れていてボーとしてしまっていたら春香がこちらに気付いて走り寄って来た。
「やっほー悪琉ー」
「あぁ、随分早かったな春香、もしかしたら待ったか?」
「ううん、私も5分位前に来たばっかりだよ!」
「そうか、いつも可愛いけど今日の春香はいつも以上に可愛いな」
「えへへ、ありがとう♪悪琉もいつも以上にかっこいいよ♪」
「なら良かったよ、デートだから気合い入れて来たからな」
「そっか♪私とのデートで気合い入れてくれるのは嬉しいな♪」
「当たり前だろ」
そうして春香が俺の腕を抱きしめながら俺達は歩き始めた。
「悪琉ーこれからどこ行くの?」
「そうだな、やっぱり初デートだし春香に何か買ってあげたいからショッピングに行こうぜ」
「えーいいの?私は別にお金があるから悪琉のとデートしてる訳じゃないよ?」
「あぁ勿論分かってるよ、でもこういう時は遠慮しないで貰って欲しいな」
「なら本当に遠慮しないよ?」
「勿論大丈夫だぞ!」
「やったー♪」
俺は毎月両親からお小遣いを貰っている。
しかもそれが100万円でかなりの大金だ。
転生前の佐野悪琉は遊びで1か月100万を使い切っていたらしいが、今の俺は全くと言っていいほどに手を付けていなかったので、3ヶ月分で300万円溜まっていた。
勿論両親にはそんなに要らないと言ったのだが、使わないなら貯金して貯めていつか使えと言って聞かなかった。
それに春香は家の都合で服とかを買う事が余り出来なかった。
ゲームでの春香はファッション誌をよく見ていた。
実はファッションについて興味が凄くあったが、家庭環境的に諦めていた。
だからこそ俺は、春香にはお金を気にせずにファッションを楽しんで欲しい。
「悪琉ー早くー」
店に近づき春香ははしゃいでいた。
俺はそんな春香を見て自然と笑顔になっていた。
「春香、いくらでも自由に選んでいいぞ、値段は気にしなくていいから」
「んーでもそれは流石に…」
「いや、むしろ我儘言ってくれる位が良いんだけどな」
「んー、悪琉がそう言うなら…甘えるからね?」
「あぁ」
俺が笑顔でそう言うと春香も笑顔になり、服を見始めた。
途中俺に選んでと言って来たけど、俺は女子のファッションは詳しくないから断った。
春香が試着室に入って着替え始めた。
着替え終わって試着室が開いた。
「悪琉ーみてみてー」
そう言って見せて来たのは、ギャルと言うよりは落ち着いたファッションで意外だなって思ったけどそれが春香には滅茶苦茶似合っていた。
「うん!滅茶苦茶可愛いぞ」
「ありがと!じゃあつぎはこっちね」
春香は再び試着室に入り着替え始めた。
「じゃーん」
そう言って試着室から出て来た。
次のファッションはギャルって感じのファッションでかなり似合ってはいたけど、少し露出が激しくて余り着て欲しくないなって思った。
「その、凄く似合ってて可愛いと思うんだけど、ちょっと…」
「やっぱ、露出が激しいよね♪大丈夫だよー悪琉にだけ見せたくて今着ただけだからねー」
春香は揶揄うようにニヤニヤしながらそう言った。
俺はつい顔が赤くなり視線を逸らした。
「悪琉照れてるねー、可愛い♪」
「いいから早く着替えろって」
「はーい」
その後も何着か着替えたが結局一番最初のファッションにした。
「ありがとー悪琉ー」
「あぁ、何なら後何着か買っても良かったんだぞ?」
「ううん、それはまた次のデートでね♪」
春香が上目遣いで言って来たので俺はドキッとした。
次第に春香がニヤニヤし始めたと思ったら
「悪琉今ドキッとしたでしょ」
「あぁ、したよ、てか今日はやけに揶揄って来るな」
「だって悪琉の反応が可愛いんだもん♪」
そんな事を言う春香だけど可愛すぎて心臓に悪い。
「悪琉!次はどこ行くの?」
「そうだな、映画にでも行こうと思ってたけど何か見たいのあるか?」
「なら今話題になってる「あなたと共に進む道」を見にいこー」
「あぁー、今話題の恋愛映画か」
「うん!」
「じゃあ行こうか」
俺と春香は映画館に着いて席を選ぼうとしていた。
「えっと、席は何処にしようかな、春香は前と後ろどっちがいい?」
「悪琉はどっちが良いの?」
「俺はどっちでもいいぞ」
「じゃあ、ここ!」
そう言って春香が選んだ席はカップルシートだった。
「じゃ、行こっか♪」
「そうだな」
俺達は飲み物とポップコーンを買ってシアターに向かった。
映画が始まり春香は食い入るように見ていた。
映画の途中春香が体をくっつけて来てもたれかかって来た。
普段平気でして来る様な行動だったけど今の春香は暗い中でも分かる位顔が赤くなってた。
俺はそんな春香の手を握った。
映画の終盤、主人公とヒロインのキスシーンが来た。
そのシーンを見た春香はさっきより顔が赤くなってこちらを見つめて来た。
俺はそんな春香を見て唇を奪った。
ほんの数秒間だったけどキスをした後に目を合わせたらお互い恥ずかしくなり目を反らした。
映画が終わり俺達は外に出たら暗くなっていた。
「あー面白かったー」
「そうだな、想像以上に良いストーリーだったな」
「悪琉、夜ご飯はどうする?」
「勿論レストランで予約取ってるぞ」
「それって、高いお店だったりする?」
「まぁ、そうだな」
「私マナーとか分からないけど大丈夫かな?」
「それなら心配ないよ、VIPだから個室を利用できるぞ」
「そっか!なら安心だね♪」
俺達はお店に着いてタキシードを着た男性に個室へと案内された。
「悪琉!なにここ凄過ぎるよ!」
「そうか、喜んでくれたなら俺も嬉しいよ」
「ねぇ悪琉!何が美味しいのか分からないからオーダーは任せても良い?」
「じゃあ、俺の一押しコースで良いか?」
「うん!」
料理が運ばれてきて春香は驚いていた。
「悪琉、これは何の料理?」
「あぁ、それは…」
俺は料理が運ばれてきてはその料理の説明をして、春香は目を輝かせながら美味しそうに食べていた。
「ぷわぁー、美味しかった、ごちそうさま」
「ごちそうさま」
「ありがとね、悪琉!今日は楽しかったよ」
「うん、俺も滅茶苦茶たのしかったぞ」
少し間が空いて
「なぁ、春香…」
「なぁに、悪琉」
「ずっと考えてたんだけどさ、春香と一緒に居ればいるほど春香の事が好きになってるんだ」
「うん」
「以前に言った事覚えてるか?」
「覚えてるよ」
「じゃあ、改めて言うな」
「うん」
「以前も今も春香の事が大切って所は変わらない。でも以前とは比べ物にならない位春香の事が好きになってる。今でははっきりと言える、春香、俺と付き合ってくれ、大好きだ」
俺が真面目な表情でそう言うと春香は笑顔で泣きながら
「勿論、待ってたよ……」
俺たちは自然と顔が近づき次第に唇付けをしていた。
数分後唇を離して春香が
「ねぇ、悪琉?私達はもう恋人なんだよね?」
春香はうっとりした表情でそう言って来た。
「そうだな」
「私ずっと待ってたんだよ、だからね…この後……」
俺はそこまで鈍感じゃないから春香が言いたい事はわかる。
俺はニコって笑って
「言わなくても大丈夫だよ、行こうか」
「…うん」
春香はちょっと恥ずかしそうな表情した後、嬉しそうに笑ってそう返事をして来た。
そう言って俺たちはホテルに向かって夜道を歩いて行った。
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