31話 佐野家(悪琉の誕生日)
今日は俺の誕生日だ。
今は父さんと母さんが誕生日会の準備するからって、買い物に出かけた。
ちなみに昨日は半年ぶりに母さんにあったのだが滅茶苦茶大変だった。
俺が挨拶をしたら、泣いて抱きしめて来て10分位放してくれなかった。
まぁ、転生して来る前の記憶だと、時々しか会えない母さんに対して憎しみの感情があり言葉を交わさない様にしていたからな…。
「でも良かったな」
昨日は久しぶりって事もあって最初は3人ぎこちなかったけど、最後には大分話せる様になったし、わだかまりはもうほとんど無くなった。
何より心が凄く暖かくなって滅茶苦茶心地よかった。
「うん、気分いいな」
そんな事を考えていたら父さんと母さんが帰って来た。
「「ただいまー」」
「おかえり、父さん、母さん」
俺がそう言うと
「うわぁぁん、悪琉ちゃぁぁん」
泣いきながら母さんが抱き着いて来た。
「ちょっと、母さん、それ昨日もやったよ」
「だって、だって、悪琉ちゃんとやっと話せる様になって嬉しんだもん」
「そっか…」
俺は抵抗する事無く母さんを受け入れた。
数分後やっと放してくれてリビングに向かった。
「「誕生日おめでとう!!」」
「うん、ありがとう」
「「悪琉(ちゃん)!?」」
「え?」
父さんと母さんが驚いていた。
俺は一瞬何でか分からなかったが、次第に気付いた。
俺の頬に涙が垂れている事に。
「あれ?何でだろ?勝手に…」
俺がそう言ったら、父さんと母さんが駆け寄って来て2人で抱きしめて来た。
「悪琉ちゃんごめんね、ごめんね」
「これからはもっと、一緒に居られる様にするから」
「う、ううん、大丈夫、大丈夫だから……」
2人が寄り添ってくれて数分間かけて落ち着いた。
「もう大丈夫!仕切りなおそ」
「あぁ、そうだな」
「じゃあ、改めて「「誕生日おめでとう」」」
「しかし、こうして3人で話すのはいつぶりだろうか」
「そうね、小学2年生の誕生日以来じゃないかしら」
「そうだね、その時位から母さんが一気に忙しくなってほとんど帰って来なくなったからね」
「うぅっ、ごめんね…」
「冗談だよ母さん、母さんと父さんが俺の為に仕事を頑張ってくれてるのは理解出来てたから、ただちょっと素直になれなかっただけだよ」
「それでも、ごめんね、もう寂しい思いはさせないからね…」
「あぁ、俺も仕事の調節をもっと頑張ってなるべく会えるようにするよ」
「大丈夫だって、今の俺は2人が愛してくれている事はちゃんと分かってるし、時々でもいいから話せれば全然嬉しいよ。だから無理してそんな事しなくても大丈夫だよ。他の人達に迷惑かけちゃうかもだしね」
その後も3人で話していた時
「そう言えば悪琉?あの時の子とはどうなったんだ?確か、春香ちゃん?だっけ」
「あー、悪琉ちゃんが体はって助けたって子だね」
「どうって?どういう意味?」
「付き合ってるのかって事だよ、男子高生なんだから恋人の1人や2人位いてもおかしくないだろ」
「恋人…では無いかな、今は真剣に考えてる途中かな…」
「ふふふ、私も春香ちゃんに会ってみたいわね」
「そうだね、いつか会ってもらうよ」
「でもまぁ、悪琉?今の時代は一夫多妻制だから恋人は何人作ってもいいけど責任はちゃんと持てよ、ちゃんと全員平等に愛せるようにな」
「うん、それは勿論分かってるよ、そうならない為に真剣に考えてるんだから」
「そうよあなた、悪琉ちゃんなら大丈夫よ」
「まぁ、それもそうだな、でもちゃんと俺達に紹介しろよ」
「恋人になったら紹介するよ」
「あぁ」
「あ、そうだ悪琉、何か欲しい物はあるか?誕生日だし何でも買うぞ」
「うーん、特には思いつかないな」
「じゃあ、何か困ってる事とかは無いの?」
「困ってる事か…強いて言えば学校から遠すぎるって所かな」
「あー、確かに遠いな」
「ねぇ、あなた、そう言えば学校の近くにパーティー用の家があったわよね」
「そう言えば演奏会とかする為に大きな会場が必要で買った所か」
「えぇ、そうよ」
「んーでもあの家は1人で住むにはデカすぎないか?」
「そうれはそうね」
「ねぇ、2人共?そこってどの位大きいの?」
「えっとね、この家の2倍位かな?」
「はあぁ!?2倍???」
この家でもかなり大きいのにそれの2倍って…まぁ、パーティー用っていってたしな。
「そうなんだ、やっぱ流石にデカすぎるよな?」
「それって掃除とかどうしてるの?」
「この家みたいに定期的に清掃員を雇って綺麗にしてもらってるぞ」
「そうなんだ、じゃあ今と特に変わり無いって事だよね」
「まぁ、そうなるな」
「ならそこでも大丈夫だよ、正直学校まで遠くてちょっと大変だったし」
「そうか、じゃあ、近いうちに引っ越しの準備するぞ」
「うん、でも特に持っていきたいのも無いしいつでもいけるよ」
「そうか、じゃあ、鍵を渡して住所だけ教えておくからな」
「うん」
「あと清掃員は毎週金曜日に行くからな、まぁ、学校行ってる間に終わってると思うから特に出会う事も少ないと思うけどな」
「分かった」
「他には無いか?」
「そうだね、取り敢えずそれ位かな?」
「そうか」
そんな感じ家族での誕生日会が終わった。
「ふぅー」
誕生日会が終わり風呂などを済ませた後、俺はベッドで寝転びながらスマホを見た。
4人のグループLIMEで3人が通話しており、俺も呼ばれていたので参加する事にした。
『どうしたんだ3人共?』
『あっ、悪琉!』
『こんばんわ悪琉君』
『家族との誕生日会は上手く行ったの?悪琉?』
『あぁ、滅茶苦茶良かったぞ』
『そう、なら良かったわ』
愛と俺がそんな話をしていたら
『えっと、上手く行ったってどういう事?』
『家族との誕生日会に上手く行くも何も無いんじゃない?』
『あぁ、そう言えば愛以外には話して無かったな』
『え?そうだったの?』
『あぁ、じゃあ今話すな、実はな…』
俺は家族との関係を話した。
『でも今日は仲直り出来たんだよね!』
『あぁ、そうだよ』
『なら良かったよ』
『そうね、私も安心したわ』
『そうだね、でも愛ちゃんはいつ聞いたの?』
『えっと、悪琉に不良から助けられた次の日かな?』
『えーそれって相当前じゃん!そんな頃から深い話をしてたの?』
『いや、今の俺からしたらそんな深い話じゃ無いよ』
『ふーん、まぁいいけどね』
『それより悪琉?明日は春香の家で誕生日会だからちゃんと来なよ?』
『あぁ、当たり前だろかなり楽しみにしてるんだぞ?』
『悪琉君、明日の放課後、私達は準備があるから先に帰るけど悪琉君は6時位に春香ちゃんの家に来てね』
『了解、わかったよ』
『じゃあ、今日はもうねましょうか』
『そうだね!皆また明日ね』
『あぁ、お休み』
そうして通話を終了した。
「たのしみだな」
正直明日がかなり楽しみだ。
4人に祝ってもらえるし、その上香織さんとは久しぶりに会う。
でも一つ気掛かりな事があるとすれば、春香がこの前言っていた色々な事があるって事だよな。
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