28話 傑の誕生日会

 体育祭の後日の朝、教室に着き席に着いた。


「悪琉ーおはよー」


 そう言って春香が来たと思ったら、愛と沙羅も来た。


「春香おはよ、沙羅と矢野もおはよ」

「えぇ、おはよう、佐野君」

「おはようございます、悪琉君」

「3人で来て何かあるのか?」

「もう少しで悪琉の誕生日じゃん、でもさ私達何が欲しいとか全然分からないから聞きたくてさ」

「あぁープレゼントか、正直に言っちゃうと欲しい物は無いなー、強いて言えば気持ちが大事かな?でも貰えるだけで嬉しいぞ」

「やっぱそうだよね、なんとなくそう言うと思ってたよ、じゃあ、私達で決めるから楽しみにしといてね♪」

「あぁ」


 そう言って3人は席に戻った。


 うん、マジで嬉しいな、3人と香織さんに祝ってもらえるとか冷静に考えるとやばいな。

 それに両親にも祝ってもらえるし、楽しみだな普通に。

 


 ~その日の夜~


★ヒロイン3人のグループ通話にて

 

『2人とも悪琉の誕生日なににするか決めた?』

『いいえ、欲しいのが無いって難しいわね』

『私も全然思いつかないよ』

『やっぱ無難に文房具とかかしら』

『えー、悪琉との初めての誕生日会だからもっと特別感欲しくない?』

『特別か…何が良いんだろう』

『どうせなら使って貰える物がいいわね』

『だよねーだったら身に着ける物とかどう?』

『それって服とか?』

『服だったらアクセサリーとかの方がいいんじゃないかしら』


『あっそれいいね!アクセサリー』

『うん、私もいいと思う』

『じゃあ、そうしましょうか』

『あっ、いい事思いついた!!!』

『いい事って何かしら』

『何を思いついたの?春香ちゃん』


『どうせなら自分達の分も一緒に買ってお揃いにしようよ!』

『佐野君の誕生日に自分の分も買うの?でも少し面白そうね』

『私は良いと思うよ、ちょっと恥ずかしけど』

『うんうん、気持ちが大事って言ってたし、お揃いなら特別感凄くない?』

『それは、そうね』

『でも何にするの?』

『うーん、どうせなら学校でも付けれる物がいいな』

『えっと、それって学校で私達も付けていくって事?』

『えぇ、流石にそれは…』

『まぁまぁ、そこは2人のペースで良いじゃん、私は着けるけど、悪琉君も説明すれば分かってくれるよ』

『説明って何を?』

『いや、だからさ、2人は今はまだ身に着けるには早いってだけでしょ』

『ま、まぁそうね』

『うん、私も学校では流石にハードルが高いかな』

『うんうん、でもそれってさ、悪琉と関係値が深まれば身に着ける事自体は大丈夫って事だよね』

『まぁ、そうね、もっと仲良くなってからなら…』

『私も愛ちゃんと同じかな』

『だよね、だから悪琉には今はまだ学校には着けて行けないけどいずれは着けるって伝えるのよ』


『でもそれってさ、佐野君側は大丈夫なの?いきなりお揃いなんて』

『愛ちゃん?逆に聞くけど悪琉が嫌がると思う?』

『……むしろ喜びそうね』

『そうだね』

『ね?2人共そう思うでしょ?』

『何ならプレゼントした翌日から3人分着けてくるよ絶対!嬉しくない?』

『ま、まぁ、気分はいいかもね』

『私はちょっとドキドキするかも…』

『でさ、いずれ2人も着ける日が来るんだよ、それって凄く素敵じゃない?それに2人が付けた日には悪琉凄く喜ぶと思うよ』

『もう、いいわ春香、それにしましょ』

『そうだね、私も賛成だよ』


『でさ、問題は何にするかなんだけどさ、何か案ある?』

『うーん、ネックレスとか指輪とか?』

『でもネックレスは学校に着けて行くのは駄目じゃない?指輪は悪くは無いけどね…』

『私は指輪でもいいけどさ、どうせなら指輪は悪琉から貰いたいし…ブレスレットとかはどう?』

『それって3人共ブレスレットを送るって事?』

『そうだよ、派手じゃ無いのを選べば3つ着けても邪魔にはならないでしょ』

『それもそうね』

『じゃあ、そうしようか』


『ネットで探して買おっか!』

『一応選んだら確認し合って被らない様にする?』

『そうね、どうせなら被らない方がいいかな』


 そうして3人はプレゼントを頼み終わった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ~時間が経って6月21日~

  神谷傑宅


「にしても今日春香は来れないんだな、香織さんから連絡来たし」

「そうね、体調不良なら仕方ないわ」

「そうだね、3人で始めようよ」

「まぁ、そうだな」


 時間が経って誕生日プレゼントをあげる時間になった。


「はい、これプレゼントよ」

「あぁ、ボールペンかありがとな」

「私からも、はいこれ」

「ペンケースか明日から使うよ、ありがとう」

「後春香がどうせなら今日渡したいとの事だったから、私が受け取っておいたわ、これよ」

「スマホケースか、確かに一回も使って無かったな、今日から付けてみるか」


 そんな感じで時間が過ぎて行った。

 愛と沙羅は普段と変わらずに話していた。


「なぁ、沙羅?今日は思い切って本音で話し合わないか?もし困ってる事があれば何でも聞くぞ?」

「え?何の事?」

「急にどうしたの?傑

「あぁ、愛は分からないか、でもこれは愛も聞いておくべき事だと思うよ」

「いや、だから何の事を言ってるの」


 沙羅は本当に何の事か理解出来ずに慌てていた。


「何で隠すのか分からないけどやっぱり佐野に脅されてるのか?

「はぁ?何でここで佐野君が出てくるのよ」

「まぁいい、愛もこの写真を見れば考えが変わるよ」


 そうして傑は例の写真を見せた。

 沙羅はその写真を見てびっくりした表情になり、愛は呆れた様な顔になった。


「これはどういう事だ、もしかして無理矢理?」

「いや、そんなんじゃないよこれは…」

「そうか、やっぱり脅されてるのか?」

「これは私が転びそうになった所を助けようとしてくれてこうなったんだよ」

「そんな訳ないだろ、なら何であの時魂が抜けた様な顔してたんだよ、あれは普通じゃ無かったぞ!!」

「それは色々な事があって頭がパンクしてただけだよ…」

「その色々を聞いてるんだよ」

「それは傑君が知る必要は無いよ」

「何か沙羅らしく無いな、佐野と関わって悪い方向に向かってるんじゃないか?やっぱ付き合う友達は考えた方が良い」

「私らしいって…、何なのよぉ……っ、傑君は私にいつまでも弱虫でいろって事なの……っ」


 沙羅は感情が高ぶって涙が出てきていた。

 それを見て今まで黙っていた愛が話し出した。


「ねぇ、傑?まず大前提にさ、盗撮とか正気なの?」

「今はそんな事気にしてる場合じゃないだろ?」

「はぁ?まぁ、良いわ取り敢えず写真は消しなさい、勿論バックアップも全てね」

「なんでだよ、佐野に対抗する手札だぞ」

「大体なんで佐野君に対抗するのよ、それ以前に沙羅の気持ちを考えたらこんな写真今すぐにでも消すべきよ」

「だから何でだよ!!」

「はぁー、呆れたわここまで言って分からないのね、沙羅からしたらその写真が広まりでもしたら、学校にも行けなくなるのよ、それは理解してる?」

「俺がそんな事する訳ないだろ?」

「傑がするしないの問題じゃ無いのよ、傑が広めなくても、その写真が存在してる時点で沙羅は怯え続ける事になるのよ」

「そ、それは…」

「はぁーやっと分かったみたいね」

「……」


 傑はやっと理解出来たみたいで口が出せなかった。


「じゃあ、今すぐ消して頂戴」

「…っ、分かったよ」


 そう言って傑はバックアップごと写真を消した。


「傑?私達を心配してるのは分かるけど、最近暴走し過ぎよ、それに春香もずっと言ってる様に佐野君はあなたが思ってる様な人間じゃ無いわ」

「でも噂が…」

「その噂が嘘の可能性は考えた?佐野君が変わった可能性を考えなかった?行動に起こすより先に確認すべきよ、現に私達は皆佐野君に助けられてるのよ?」

「助けたのだって何か邪な…」

「そう、ならもう話す事は無いわ、少し冷静になって考えてみなよ」

「……」

「今日はもう話せそうに無いし解散するわよ、行こ沙羅」

「う、うん」


 そうして2人は神谷家を後にした。

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