27話 ヒロイン達の考え

★ヒロイン3人のグループチャット(春香side)


 傑からチャットが来た後

 

『どーしよ、愛ちゃん、沙羅ち』

『とりあえず、行くって言って、前日の夜に熱が出たって、連絡すればいいかも』

『そうだね、香織さんが協力してくれるなら信じてくれそうだしね』

『ありがとー、そうするね!!』

『大丈夫よ』

『私も春香ちゃんの為だもん』

『あ、でも誕生日プレゼントは一応用意しておいた方がいいかもね』

『あーそうだね、2人は何あげるの?』

『私は分かりやすくボールペンよ』

『えっと私はペンケースをあげようかなって思ってるよ』

『ふーん、私はどーしよっかな』

『何も思いつかないならスマホケースとかでいいんじゃないかしら?』

『確かに傑君はいつもスマホケース付けてないしね』

『そっか、じゃそうするよ、あ、でもプレゼントいつ渡せばいいんだろ』

『それなら私が当日取りに行くから代わりに渡しておくわ、当日に渡したかったらしいって言えば直接じゃなくても納得してくれるでしょう』

『愛ちゃん何から何までホントありがとー、大好きだよ』

『全く、調子いいんだから』


『あ、誕生日と言ったら悪琉の事も忘れちゃ駄目だよ?』

『勿論忘れてないわよ、まぁ、何が良いかはまだ考え中だけど』

『わ、私も考え中かな』

『まぁ、悪琉はお金持ちだしねー、でも気持ちの問題だからね』

『そう、ね』


『ねぇねぇ、悪琉の話がでたついでにさ、屋上で話すって言ったやつ、この際だから通話して話そうよ!!』

『そうね、それでいいかもね』

『えぇーー、心の準備が』

『私達の仲でしょ、隠し事なんて無しだよー』

『分かったよ、実は……』

 

 通話を繋げて沙羅は体育祭での事を話した。


『きゃーーーー、沙羅ち最高だよ!!!』

『何で春香が嬉しそうなのよ?』

『恥ずかしいよー春香ちゃん』

『でも沙羅ちがね~ふふふ』


 私は沙羅ちが悪琉に好意を向け始めて凄く嬉しかった。


『ちょっとびっくりだけどまぁ、沙羅が積極的になるのは内向的な性格を直す為にも良い兆候かもね』

『それで、沙羅ち的には悪琉の事どう思ってるの?唇じゃ無いとは言え自分からキスしたんでしょ!』

『それがね、自分でも分からないの、でも悪琉君といると凄くドキドキして目が合わせられない』

『はぁー沙羅?それを恋っていうのよ?傑に対しても同じ感情持ってたでしょ?』

『そう言われれば、傑君と同じ感情だったかも?でも今は悪琉君の方が強いかも……て、え?私悪琉君の事好きなの?』

『ははは、やっと気づいたの沙羅ち、私からしたらお昼ご飯の時から分かってたよ!』

『え、え?何で?』

『だって沙羅ちが悪琉を見る目がアレだったし、ね!愛ちゃん』

『そうね、明らかに恋する乙女だったわよ』

『えぇーーーー恥ずかしいよー』

『ははは、沙羅ち可愛いーーー』

『全く、春香?沙羅で遊ぶの止めなさい』

『はーい、ごめんね沙羅ち』

『もーー』


 愛ちゃんもそんな事言ってるけど、悪琉の事が気になってるのバレバレだよ、まぁ私が直接あれこれ言う気は無いけど少しくらいアドバイスしてもいいかな。

 そっちの方が愛ちゃんも正直になれそうだし、その上でどうするか決めて欲しいしね♪

 そんな事思ってたら声に漏れた。


『たのしみだな♪』

『え?何か言った?春香ちゃん?』

『ううん、こっちの話だから気にしないで良いよー、それにしても愛ちゃん?』

『何よ?』

『愛ちゃんはもっと自分に正直になって、人に甘える事を覚えた方がいいよ?』

『だから何の話よ?』

『悪琉の事よ、自分でも分かってるでしょ?隠してるつもりなのかも知れないけど私達にはバレバレだよ?ね、沙羅ち』

『えーと、う、うん』

『そんな事……』

『大丈夫だよ、愛ちゃん、私達はずっと味方だから』

『うん、そうだよ?愛ちゃん』

『そうね、ちょっとだけ勇気出して見ようかしら』


 通話が終わった後、春香は喜んでいた。


「やったー、いい方向に行ってる♪」


 私は自分でどうこうするつもりは無かったが、全員が悪琉の事を好きになって欲しいとは思ってた。

 同じ人を好きになれれば大人になっても一緒に居れる。

 私的には高校を卒業したら悪琉と一緒に住みたい、そこに愛ちゃんと沙羅ちがいてくれたら尚最高だ。

 そんな事思ってたけど、沙羅ちは悪琉の事が好きみたいだし、愛ちゃんも好きなはずだ。


 傑が私達3人に好意を抱いてくれてる事は正直わかってる。

 傑の事が好きだった頃は気付けなかったけど、そうじゃ無くなってからは客観視出来るようになって気付いた。

 だから傑には申し訳ないと思うけど、だからと言って私達の邪魔はさせない。

 沙羅ちと愛ちゃんが自分の意思で悪琉の事を選ぶのなら私は全力で協力するつもりだ。


 それに春香は悪琉と一緒に居て気付いていた、悪琉が大切と言っていた人が何人いるのかは分からないが、その中に愛ちゃんと沙羅ちが入っている事に。

 でも何で、私達3人なんだろう?中学の時はそんな感じ全く無かったのにな。


「まっ、どうでもいっか、理由なんて特に重要じゃ無いしね、」


 後、もう1人どうにかしないといけない人がいるな。


「まぁ、その人は簡単に解決出来そうだから、深く考えなくてもよさそうだね♪全く不器用なんだから♪」


 春香はとても上機嫌だった。

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★矢野愛(side)


「自分に正直に、か…」


 佐野君に対する思いを隠そうとしてもばれちゃってるのか……。

 それにしても春香はともかく沙羅にもばれちゃってるのね。

 春香みたいに素直になれたらどれだけいいか…。

 でもそれは私からしたら生き方を変えるのと同じ意味で少し怖い。


 私の母親は厳しい人だ、その為昔から厳しく育てられてきた。

 勿論それは私の為で、優しい所もいっぱいある、私は今でもそんな母が大好きで尊敬している。


 私が小学生の時、勉強がしたく無くなった時があった。

 その時私は勉強をする振りだけして遊んでいた。

 その結果テストで低い点数を取って勉強をしたくないと言って、母に見せたら凄く悲しそうな顔になった後、笑顔になって抱きしめてくれた。

 その日から私は母の期待に応える為に勉強を頑張る事にして、誰かに弱みを見せる事を止めた。

 私はその時の母の顔が今でも鮮明に思い出せる。


 正直私自身、この生き方が辛くないと言ったらウソになるかもしれない。

 でも、沙羅も自分を変えようと動き始めたのだから、私も頑張ろうと思えるかもしれない。

 

「でも、どうすればいいのかしら」


 私は自分で佐野君が好きなんだと気が付いていた。

 正直に言うと春香と佐野君の関係が羨ましいと思った事は1回や2回じゃ無い。

 春香と私の立ち位置を入れ替えて妄想した事すらある、でもそれは恥ずかし過ぎてやばかった。

 自分も春香見たいに出来るか、そう聞かれたら間違いなく無理だと思う。


 て言うか、佐野君が私の事どう思ってるのかすら分からない。

 なんなら佐野君と最初に仲良くなったのは私だったのに、いつの間にか2人よりも関係値は低い。

 その上私はLIMEのやり取りは良くやってるけど、ナンパから救ってくれた時から何も進展が無い。


「はぁー、私に出来るのかしら」


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★相沢沙羅 (side)


「そっかー、そうなんだ……私って悪琉君の事が好きなんだ……」


 私は春香ちゃんと愛ちゃんと通話を終えた後そう呟いた。

 正直に言うと傑君の事が好きなのは自分で気づいていた。

 しかし、何故か悪琉君に関しては好きなのか気付けなかった、ただ一緒にいたら落ち着くし、ゲームをするのも凄く楽しかった、一緒にいる時間が短くて好きを自覚できなかったのか?

 改めて考えたら何で気付かないのか理解出来ない位には悪琉君の良い所ばっかり思いつく。


「でも春香ちゃんが許してくれて良かったな」


 春香ちゃんは誰がどう見ても悪琉君の事が好きだ。

 だから私が悪琉君の事が好きだと知っていても応援してくれて嬉しかった。

 もしかしたら、嫌がる可能性もあった訳だしね。


「しかし、今日の悪琉君すごかったなぁ」


 リレーで3年生や陸上部の人達を圧倒してたし、それに何より凄く輝いていた。

 そして、保健室でも…。

 保健室であった事を思い出して顔が真っ赤になった。


「大切に思ってるか」


 こんな私の事をいっぱい褒めてくれたし、真っ直ぐな目であんな事言われたら誰でもドキドキしちゃうよ。

 あの目は反則だよ……。


「あ、いけない、またこんな私とか思っちゃった」


 悪琉君に言われたのにな、直すのには時間がかかりそうだな。


「それにしても、不思議だな」


 私は春香ちゃんと愛ちゃんに悪琉君の事が好きと自覚させられた時から、悪琉君の事しか考えられてない。

 しかも考えれば考えるほど好きになってる気がする。

 早く春香ちゃんと悪琉君見たいに…は無理だ、流石に人目がある所でイチャイチャはハードルが高すぎるよ。


「でも、2人っきりになれれば、その時は…」


 あ、駄目だ想像しただけで、恥ずかし過ぎる。

 やっぱり私は少しずつじゃ無いと無理そうだね。

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