24話 体育祭(上)
6月15日、体育祭当日。
会場は人が多く滅茶苦茶盛り上がってる。
春香達も両親と楽しそうに話してる。
ちなみに顔を見て思い出した。
香織さんは既に知ってるからいいとして。
矢野 愛の父親、普通のサラリーマンでイケオジって感じの見た目、娘を溺愛してる。
矢野 愛の母親、40代だけど20後半と言っても信じられる、カッコイイ系の美女、性格的には厳し目だけどその中でも優しさが溢れてる。
相沢沙羅の父親、中学校で数学の教師をしている、真面目な性格で、内向的な沙羅の事を心配してる。
相沢沙羅の母親、保育園の先生、子供が好きで沙羅の事が大好きすぎる。
ちなみに5人共三大美女の両親だけあって、相当ルックスが良くあのグループは他の生徒とその家族から注目を集めている。
神谷 傑の父親、見た目は良くも悪くもなく、性格は穏やかでサラリーマン。
神谷 傑の母親、見た目はどちらかと言うと良い方で、性格は穏やかで看護師。
しかし、両親どうし仲いいな。
香織さんに挨拶したいけど流石に今は無理だな。
体育祭が進んでパン食い競争の時間がきた。
パン食い競争は春香が出る。
「悪琉~」
大声でそう言って手を振って来た。
周りの視線が痛いが俺は気にせず答える。
「頑張れー春香ー」
そう言ったら春香はぴょんぴょん跳ねて喜んでた。
香織さんもそれを見て微笑んでいた。
うん、やっぱこの親子可愛すぎるな。
そんな事思ってたら競技が始まった。
運動神経の良い春香は余裕で1位を取りこちらに向かって来たと思ったら抱き着いて来た。
「悪琉ー1位だよ、褒めて褒めて」
もう春香は周りの視線を気にしないんだな、まぁ、香織さんも笑顔だし問題無いか。
でも神谷の視線だけは何故かイライラしちゃうんだよな、他の人と違って殺意みたいなのが伝わってくるしな。
でも俺はもう神谷の事は気にしないで生きていくって決めてるからいずれその事はどうにかしないとだな。
勿論春香から手を引くつもりもない、自分のやりたい様にやろう。
「あぁ、おめでと、かっこよかったぞ」
そう言って頭を撫でた。
「ふへへ、ありがと♪」
春香は笑顔で顔をスリスリして喜んでいた。
次の競技は100メートル走、出場者は愛。
俺は近くにいた愛に向けて小さな声で
「頑張れ」
と一言いった。
「え、えぇ、頑張るわ」
俺の顔を一瞬見て直ぐに反らしてそう言った。
愛も春香ほどじゃないが、相当運動神経が良い。
結果は勿論1位だった。
俺は愛と目が合ったので、拳を前に向けて、良くやったとジェスチャーした。
愛は少し照れていたけど、こちらに向かって、小さくガッツポーズをして来た。
次の競技は借り物競争で出場者は沙羅だ。
春香が大声で応援したので沙羅がこっちを向いてきて、目が合った、だから俺はガッツポーズで応援した。
沙羅は少し恥ずかしそうに目を反らした。
沙羅は高めの順位で紙を手にした。
沙羅は顔を赤くして焦っていた。
どうやら俺と神谷を交互に見てるっぽい。
軽く頷いて結局俺の方に走って来た。
「さ、佐野君!一緒に来てください!」
沙羅が照れながら言って来た。
「あぁ、行こうか」
そうして、俺たちが走り出した時
「痛っ」
沙羅が足をくじいた。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
再び走り出そうとしたが、沙羅はとても走れそうになかった。
「ちょっとごめん」
俺はそう言って沙羅をお姫様抱っこで抱えた。
「えっえぇ?」
沙羅は滅茶苦茶動揺してたけど、俺は笑顔を向けた後気にせず走った。
周り生徒や家族の方々が凄く盛り上がっていた。
中には動画を撮ってる人もいる。
そのまま走り切って無事1位になったので沙羅を下した。
「ごめんな、急に」
「う、ううん、だ、大丈夫だよ、む、むしろありがと」
「それより、滅茶苦茶目立ったな」
「そ、そうだね」
しかし俺はとっさの事で忘れていた。
借り物競争の1位はお題を発表されるのだ。
理由はシンプルで、今みたいな時に凄く盛り上がるからだ。
「いや~熱々でしたね、1位の方のお題は何だったのでしょうか」
「ちょ、ちょっと、まっ」
沙羅が慌ててそう言ったが間に合わずに
「お題はーーー王子様でーす」
そう司会の人が言ったら、沙羅はリンゴ見たいに真っ赤になって下を向いていた。
周りの人達は「きゃぁーー」とか「ひゅーー」とか、冷やかす声が多かった。
でも不思議と嫉妬してる人はいれど悪意の声は全然なかった。
なんだこれ、流石に俺も恥ずかしいぞ。
しかも何故か春香は何かを企んでる様にニヤニヤしていた。
沙羅の両親は…まぁ、不思議そうに見てるな、お題が王子様だからなぁ。
「大丈夫か相沢?」
「う、うん」
「足痛いよな?」
「す、少しだけ」
「嘘だろ?歩くのもやっとだろ、もっかい担いで良いか」
沙羅は目がグルグルになって焦っていた。
「え、い、いや」
「嫌か?」
「い、嫌では…ないです」
「じゃ、運ぶな」
そう言って再び沙羅を抱っこして保健室まで運んだ。
保健室で先生に治療してもらった。
治療が終わり先生が出て行って、沙羅と2人になった。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
沙羅は落ち着けたのか、慌てずに話せていた。
「でも、大分目立ったな」
「そうですね」
「相沢の両親も不思議そうに見てたぞ」
「そ、そうなの!」
「あぁ、てかさ、何で俺を選んでくれたんだ?」
「えっとね、正直に言うと、佐野君ともう1人と迷ったんだよね」
「あぁ、神谷だろ」
「え、何で分かるの?」
「いやだって、相沢が絡んでる男子なんて神谷しか居ないし、お題を見た後俺と神谷の事を交互に見てたしな」
「そ、そうなんだ」
「あぁ、続き聞かせてくれよ」
「そうだね、理由はカラオケの件とか、私とゲームしてくれる所とか、私なんかと仲良くなりたいみたいな事言ってくれたりとか、そう言うのもあってどっちがカッコイイか考えたら佐野君だったから」
あれ?沙羅は3人の中でも特に神谷の事が好きだったんじゃ?
これじゃ、まるで。
そう考えると、俺の心臓が凄くドキドキした。
「そ、そうか、いや、そう言ってくれるのは滅茶苦茶嬉しいわ」
「……」
沙羅は顔が赤く無言だ。
「でもな、私なんか、は頂けないな」
「え?」
「さっき私なんかと仲良くなりたいって言ってたけど、俺は相沢なんかじゃなくて、相沢だから仲良くしたいって事はちゃんと理解してくれ」
「そ、そんな」
沙羅はさらに顔が真っ赤になっていった。
「前から思ってたけどさ、相沢はもっと自分に自信をもった方がいいぞ」
「それは分かってるんだけどね、どうしても皆が私を褒めてくれても、お世辞なんじゃないかって思っちゃうんだよね……」
「んー、俺からしたらさ相沢はな、見た目が滅茶苦茶可愛いし、性格も良い、趣味も俺と割と合うし、凄く素敵な女性だぞ?」
「え、えぇ」
沙羅は今にも頭がパンクしそうだったが俺は続けた。
「大体相沢は知ってるか分からないけど、相沢と矢野と春香は、学校の三大美女って呼ばれてるんだぞ?もっと自分に自信もとーぜ、俺は相沢が自信がつくまで褒め続けるぞ」
俺は満面の笑みでそう言った。
それから数分間無言が続き。
沙羅が深呼吸して話し始めた。
「佐野君てさ、最近凄く春香と仲いいよね」
「あぁ、そうだな」
「付き合ってたりするの?」
「いや、付き合っては無いけど、凄く大切な人ではあるな」
「じゃあさ、なんでこんなに私に優しくしてくれるの?」
「うーん、まぁ、下手に誤魔化さないで正直に言うけど、春香に負けない位には相沢の事も大切だと勝手に思ってるからだな」
「ふぅぅー」
俺がそう言うと沙羅が大きく深呼吸して、何か覚悟を決めた様な顔になった。
「私は自信を付けるために前に進みます!」
「あぁ」
「だから私の事は春香ちゃん見たいに名前で呼んで下さい!」
「勿論いいぞ、これからもよろしくな沙羅」
「は、はい、よろしくお願いいたします、あ、悪琉君」
沙羅はそう言って俺の頬っぺたにキスした。
「い、今はこれが限界ですっ!」
そう言った沙羅が真っ赤な顔になりながら保健室から出て行こうとした時、転びそうになった。
俺は反射的に体が動いて、沙羅を支えに行ったら、形として押し倒してる状況になった。
俺は近くにある沙羅の顔に見入っていた。
「あ、悪琉君」
沙羅の声が聞こえ直ぐにどいた。
「す、すまん」
「だ、大丈夫だよ、助けようとしてくれたんだから」
「そ、そうか」
「うん、じゃあ私先に行くね」
「あぁ」
俺はベッドに寝転んであほ見たいにドクドクしている心臓を落ち着かせた。
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