23話 友好と亀裂
月曜日になり学校に向かっている。
ちなみに昨日はほぼ1日中沙羅とキララさんとゲームをしたり、話したりしていた。
最初は沙羅と2人だったのだが、ちょっとぎこちなくキララさんにhelpを要求したいとの事だったので呼んだ。
キララさんがいたら沙羅は言葉遣いはまだ堅いものの、会話自体はちゃんと出来た。
学校について教室に入ろうとしたら、後ろから春香が抱き着いて来た。
「悪琉~おはよ~」
「あぁ、おはよ、今日も元気だな」
「へへ~それが取り柄だからね♪」
「2人共相変わらずね、おはよ佐野君」
「あぁ、矢野もおはよ」
そんな会話をしていたら2人の後ろから声がした。
「お、おはようございます、佐野君」
少しもじもじしながら沙羅がそう言った。
「おはよ、相沢」
そう笑顔で返した。
春香と愛は少し驚いた顔になったが、俺たちはそのまま教室に入って行って、席に着いた。
「ねぇねぇ、沙羅ちが傑以外の男子と話すなんて珍しいね」
「う、うん」
沙羅は少し照れながら返事した。
それを見た愛が違和感に気付いた。
「佐野君と何かあったのね、沙羅?」
沙羅はきょとんとした表情になった後言った。
「良く分かったね愛ちゃん」
「しかし、私達ってつくづく佐野君と縁があるわよね」
「確かに、毎回私達に何かある時は悪琉が関わってるよね!」
春香は嬉しそうにそう言った。
「じゃあ、何があったかはまた昼休みに屋上借りて話しましょ」
「そーだね、私も聞きたい!」
「うん、わかった」
~昼休み~
「じゃ、沙羅、話してちょうだい」
「えっとね、少し前の事になるんだけどね」
……
……
……
沙羅は悪琉とゲーム友達だった事、オフ会の事など全てを話した。
「沙羅?オフ会なんてあるなら何で相談してくれなかったの?」
「えっと、こんな事になるなんて思いもしなかったから……」
「はぁー、沙羅はさ、ちょっと押しが弱い所もあるし、隙が多いって事理解してる?」
「うん、私もそれはずっと思ってたよ」
「そうなの?」
「「うん」」
沙羅はそう言われてこれからは気を付けようと思った。
「大丈夫だよ、もうオフ会みたいなのは行かないから」
「当たり前よ、沙羅は可愛いんだから、変な男がいる所には行っては駄目よ」
「ほんとだよ、自分の魅力に気付いた方がいいよ?沙羅ちは」
「も~、2人にそう言われてもなぁ~」
「「「ハハハ」」」
そう言って3人で笑いあった。
「てかさ、来週体育祭じゃん?」
「えぇ、そうね」
「私は嫌だな運動苦手だし……」
「沙羅ちには悪いけど私はちょー楽しみなんだよね」
「はぁー、春香が何を言いたいのか分かった気がするわ」
「へへっ、じゃあ何だと思う?」
「最近のあんたが喜ぶ事と言ったら佐野君の事ばかりだし、どうせカッコイイ所見せたい、見たいって所でしょ」
「流石ね愛、100点だよ!!」
「それにしても春香ちゃん、佐野君の事本当に大好きだよね」
「うん!」
「ちょっと羨ましいな」
愛は2人に聞こえない位の大きさでそう呟いた。
愛は素直に自分の気持ちを表に出せる春香の事が羨ましかった。
「でも傑君の時よりかなり積極的だよね」
沙羅がそう言うと笑顔だった春香の顔が一気に真顔になる。
「ごめんね?春香?目が怖いよ」
「はぁ~、これだけで春香が傑の事をどう思ってるか分かるわね……」
「そ、そうね」
「ごめんごめん、そんなつもりじゃ無かったけどつい…ね」
春香がベロ出してそう言った。
「そう言えばもう少しで傑の誕生日だけど、春香はどうするの?」
「う~ん、どうしよ、行きたくないけど行かなきゃそれはそれで面倒くさい事になるの分かり切ってるし……」
「無理しなくてもいいと思うよ?春香ちゃん」
「そうね、何かしら理由つけちゃえば問題ないんじゃない?」
「2人は大丈夫?」
「私は大丈夫よ、確かに前より傑に対する評価は凄い低いけど、急激に関係を変える訳にも行かないしね」
「私も大丈夫だよ」
「そっか、でもどんな理由付けすればいいと思う?」
「う~ん、春香の話では、香織さんは傑より佐野君の事を気に入ってるんだよね?」
「うん!比べ物ならないと思うよ!」
「なら香織さんに傑に思ってる事を正直に話して協力してもらうのが手っ取り早いんじゃない?」
「私もそれが良いと思うよ」
「いいね!そうするよ、確かにおかーさんに傑の事話して無かったし丁度いいしね」
「あっ、そうだ一応2人にも伝えておくね、悪琉の誕生日は6月25日だよ!」
愛と沙羅は予想してなかった言葉に眉が動いた。
「ふ~ん、そうなのね」
「傑君と近いんですね……」
「それでね!25日は家族で過ごすらしいんだけど、私たちは26日にお祝いする予定なんだけど2人はどうする?」
「どうするって、どういう意味?」
「いやね、2人共悪琉と仲良くしたいって思ってるんでしょ?だったら祝ってあげないとじゃない?それに私達は悪琉に恩があるしね」
「そう、ね……」
「でも、私なんかが行ってもいいのかな?」
「いいに決まってるでしょ?悪琉が駄目なんて言う訳ないでしょ?」
「でも、何処でパーティーするの?」
「私の家だよ」
「じゃあ私は行くわ」
「2人がそう言うなら私も行きたい、かな」
「じゃ、2人には申し訳ないけど傑の事もよろしくね!」
「「うん」」
「はぁ~体育祭か」
俺たちは今は教室で体育祭の出場種目を決めている。
「えぇーじゃあ最後にリレーの出場選手を決めます、出たい人はいますか?」
「はい!」
委員長がそう言うと速攻で春香が手を挙げた。
何でだよリレーに女子はでれないぞ?
そんな事を思っていたら
「悪琉を推薦します!!!」
春香が満面の笑みで言った。
「えー、皆もそれでよろしいでしょうか?」
委員長がそう言うと皆頷いた。
運動部の奴らは本当は出たいのだろうけど、提案者が春香と言う事もあり否定する人はいなかった。
「佐野君もそれで大丈夫ですか?」
委員長がそう言って来たので、春香の方を向いたら滅茶苦茶期待の眼差しを向けて来ていた、これじゃ断れないな。
そう思い俺は渋々了承した。
~昼休み~
「悪琉のカッコイイ所みせてね♪」
「そんなに期待するなよ」
「いやだよ、悪琉なら何でも出来るって思ってるからね」
「まぁ、全力で頑張るよ」
なんか最近、春香が俺に盲信してるような気もしないでもないのだがまぁいいか。
「あっ、そうそう、悪琉の誕生日会、私のお家でいい?」
「あぁ、勿論いいぞ」
「あと、愛ちゃんと沙羅ちも来るからね」
「あぁ、て、えぇ?」
なんかさらって言ってるけど、あなたとんでもない事言ってますよ?
「ん?何かあった?」
「いえ、何でもないです」
~同時刻~
「なぁ、愛、沙羅、最近春香さ佐野の奴と一緒に居過ぎじゃないか?」
「そうね、でもいいんじゃないかな、凄く楽しそうだし」
「そうだね、春香ちゃん幸せそうだしね」
2人がそう言うと、パキッ、そんな音が傑の方からしたので愛と沙羅が見てみると、箸を真っ二つに折って、滅茶苦茶切れていた。
「傑?」
愛が名前を呼ぶと
「あ、あぁ、すまない、でもさ、佐野と一緒にいるのは危険じゃないか?2人は心配じゃないのか?」
「全然心配じゃないわ」
「私も心配ではないかな」
「いやいや、2人は余り人と話さないから分からないと思うけど……」
そう言って傑は悪琉の噂と呼ばれる話を聞いても無いのに話始めた。
愛は正直鬱陶しく思ってた、沙羅は気まずそうに反応していた。
「ねぇ?傑?何でそんなに佐野君の事を敵視してるの?」
私はずっと思ってた疑問をぶつけた。
「はぁ?別に敵視なんて」
「してるよ?傑は自分で気づいてないだけかも知れないけどさ、佐野君の事になると毎回怖い顔になってるよ?」
「いや、だからそれは、あいつとお前らが関わって心配なだけで」
「私達が誰と仲良くなろうと傑には関係ないと思うのだけれども」
「そんな訳ないだろ?俺たちは」
「幼馴染だろ、でしょ?」
愛は傑が言おうとしてた事を先に言った。
「そうやって幼馴染を盾にして交友関係に首を突っ込むのやめよ?私達はもう皆高校生なのよ?」
「いや、だからな俺はな……」
「はぁ、もういいわ、全然会話になってないわ、行きましょ沙羅」
「う、うん」
傑は去っていく2人の背中を見ながら唇を血が出そうなほど嚙んでいた。
「沙羅ごめんね、ちょっとイライラしちゃって言い合いになっちゃった」
「ううん、さっきのは正直私も傑君が悪いと思ったから」
「なんかさ、傑って変わったよね」
「うん……中学卒業した頃から優しさがどんどん無くなってる感じがする」
「そうね……昔は困っている人を見過ごせない性格だったのにね……」
「傑君の口から人の悪口なんて聞きたく無かったよ」
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