21話 オフ会

 その日の夜俺はベッドの上でゆっくりしていた。

 キスを交わして思った事がある、こりゃ好きになる日はそう遠くないなと。

 今日の事で感傷に浸りたい気持ちもあるけど、そうもしてられないんだよな。

 1週間後の土曜日に沙羅とのオフ会があるんだよな。

 ゲームでもするか。


『こんばんは、今日もよろしくお願いします』

『こんばんは、アラヤ君』

『あぁ、よろしくな』


 アラヤとは俺がネットで使ってる名前だ。

 先に話した女性がアサちゃん、まぁ、相沢 沙羅だ。

 次に話したのが嵐、ゲーム知識だとたしか、荒山 志々雄(あらやま ししお)だ。

 こいつが沙羅に手を出す、クソ野郎(大学生)だ。


 ゲームを1時間位やり


『あ、そう言えば2人とも来週の土曜日にあるオフ会来てくれる?』

『えっと、私は遠慮します』

『えぇ~アサちゃんまた来ないの~?今回だけで良いから来てくれない?ね?』

『わ、分かりました。今回だけでいいなら参加します』

『いえ~ぃ、アラヤ君はどうする?』

『そうですね、行こうと思ってます』

『おっけー、ならよろしくな~』


 そう言って通話を終了した。


 正直会話の途中で助け船を出す事も出来たかもしれない。

 だがそれだと今回は良くても次回があったら防げない。

 沙羅は押しに弱く、グイグイ来られたら断れないタイプの人間だ。

 それに危機感を覚える良い教訓にもなるだろうしな。



 月曜日になり学校に向かった。


 テスト結果が張りだされていたので朝一で見に行った。

 

 1位  佐野悪琉  500点

 2位  矢野愛   494点

 3位  丸山丸尾  464点

     ・

     ・

     ・

 10位  相沢沙羅  440点


 因みに神谷は丁度平均位で春香は下から20番目の240位だ


「悪琉~」


 俺の名前を呼んだ春香が後ろから抱きついて来た。


「春香、おはよ」

「おはよー、じゃなくて悪琉満点1位って、そんな頭良かったの!!」


 驚いた顔でそう言った。


「あぁ、春香の驚いた顔が見たかったから内緒にしてた」

「も~」


 そんなやり取りをしてたら当然だけど、俺達に視線が集まった。

 そんな時愛が来た。


「ねぇ?2人共?イチャイチャするのはいいけど、場所は選ぼうね?」

「「はい」」


 3人で教室に向かった。


「にしても佐野君って頭良かったのね、まさか1位になるとは思わなかったわ」

「ね~ホントびっくりだよ」

「まぁな、勉強してない風に見えるかも知れないけど実はちゃんとやってんだよね」


 俺は笑顔で言った。


「まぁ、期末では私が1位とるわ」

「あぁ、負ける気は無いけどな」

「なんかいいなぁ~2人とも」

「春香もちゃんと勉強しろよ」


 そう言って、頭を撫でた。


「む~」

「ちょっとイチャイチャしない!」


 そんな会話をしながら教室に着いた。



 休み時間


 愛と沙羅と春香が話していた。


「ねぇ、春香、絶対佐野君と何かあったでしょ?」

「確かに、イチャイチャしすぎだよ」

「ふふっ、実はね、キスしちゃった♪」

「「キ、キス!!!」


 愛と沙羅が大声で言うもんだから皆が3人を見た。


「ちょっと2人共声大きいよ!!」

「「ごめんなさい」」

「いや、でも春香ちゃん、短期間で進み過ぎだよ!」

「ほんとよね、流石にそれはびっくりするよ」

「それだけじゃないよ、実はね……」


 春香はキスを何回もして深いキスまでした事、好きにさせる宣言、悪琉が春香の事を大切な人と言った事を包み隠さず話した。

 愛と沙羅は顔を赤くしていた。


「え?それって既に両想いじゃないの?」

「春香の話を聞いた感じだと私もそう感じたわね」

「うん、それは私も良く分からなかったけどね、悪琉には悪琉の考えがあったっぽかったから特に気にしない事にしたんだ、それにこれからもっとアピールしていくつもりだしね♪」

「何か春香ちゃん凄く生き生きしてるね」

「うん♪だっていま凄く楽しいもん♪」


 そんな会話をしていた。


 その後、一週間特に何も無く過ぎた。


 ~金曜日の夜~


 遂に明日か。

 ゲームでは深く触られていなかったから、今回はどうなるか分からない事も多いんだよな。

 嵐の単独犯なのか、はたまた協力者が居るのか、それすらも分からない。

 俺が出来る対処法を考えてみたのだが、やっぱりなるべく一緒に居る、これしか無いな。


 次の日


「会場はここか」


 今日の会場はカラオケだ、個室だし何かを仕掛けるならやりやすい。

 今日は男6人女子4人だ、しかもその内沙羅以外の女子は、男子3人とカップルらしい。

 男子メンバーは全員集まった。

 女子はどうやらもう中に入っていて2部屋で先に2-2に分かれているらしい。

 流石に想定外だ、もしこれで違う部屋になったら沙羅を守れなくなる。


「にしてもアラヤ君流石にイケメン過ぎないかい?」


 嵐がそういって来た。


「な、俺も最初見た時芸能人が来たかと思ったよ」

「ありがとうございます」


 俺が笑顔で返したら、嵐は少し悔しそうな顔をしていた。

 因みに、嵐は身長が170cmちょい位で、スリム体系のちょいイケメンって感じの大学生だ。


 グループを別けて移動する事になった。

 俺と嵐は同じグループだ。

 部屋前に来て俺は祈りながら入った。

 そこには、オタクに優しいギャルって感じの子と沙羅がいて、思ったより仲良さそうにしていた。

 俺は心の中でガッツポーズをした。


「え?」


 沙羅が俺みてそう言ったので俺は、人差し指を唇に当てて、知らない振りをしようとジェスチャーした。

 なんやかんや自己紹介をした。

 俺がゲームで絡んだ事があるのは、沙羅と嵐しか居なかった。


「ねぇねぇ、アラヤ君、アラヤ君」


 そう尋ねて来たのは、キララと言う女の子、大学生らしい。


「何でしょうか、キララさん」

「アラヤ君って彼女いるの?」

「いや、いないですよ」

「えぇ~~~!!嘘だそんなにかっこいいのに」

「いやいや、ほんとですよ」


 やけにボディタッチが多いなこの人、この感じだと彼氏は別の部屋なのかな。

 でも不思議と下心がある感じではない、これが彼女の普通なのかな、そう思った。


「筋肉も凄いね!!」

「一応部活にも入ってて筋トレも毎日してますからね」

「へぇ~凄いね!」


 そんな会話をしていて、沙羅の方を見たら、嵐含む男2人と話している。

 ボディタッチがある訳でも無く何かする様子もない。

 その後も特に何も起きないで時間が過ぎて行った。

 その間、俺と沙羅も初めましての振りをしながら楽しく話していた。

 ゲームや漫画の話をしたら笑顔で返してくれて眩しかった。


 沙羅とキララさんが歌っている時、嵐に動きがあった。

 嵐ともう1人の男が俺の目を盗んで沙羅とキララの飲み物になにかを入れていた。

 警戒しておいて良かった、手口が上手く警戒してなかったら気付かなかったかもしれない。

 沙羅とキララが歌い終わった時


「アラヤ君、ちょっと隣の部屋の様子みにいこーぜ」


 そう嵐ともう1人の男が言って来た。

 何となく分かった、俺たちが居ない間に飲み物を飲んだ2人が寝る。

 そして2人を連れて行こうとしてるのか。

 俺を隣の部屋に連れて行くのは隣の部屋に俺を残してその隙に4人でどっか行くそんなかんじだな。

 て事はキララは共犯じゃなくて被害者か。


「そうですね、いきますか」


 俺は部屋を移動してる時に先ほど連絡先を交換したキララに連絡した。


『嵐たちが2人の飲み物に何か入れてました、恐らく睡眠薬の類だと思います、飲んだ振りをして寝たふりをしてください、出来たらカメラを設置して証拠を撮ってください、後触れられそうになったら滅茶苦茶大声出してください』


 そう送った。



 隣の部屋に来て5分が経って


「俺トイレ行くわ」

「あっ、俺もいく」


 そう嵐たちが言った。

 俺は30秒くらい時間を空けて、部屋を出た。

 沙羅達の部屋の中から声が聞こえた。


「今回はまじで大当たりだな」

「でもいいのか?こっちの子、高校生だろ」

「大丈夫だろ、どうせ足が付かない様にしてるんだからさ」

「まぁ。それもそうか」

「てかこいつ彼氏持ちだからちょっとだけ面倒くさいな、まぁ、どうせハメ撮りするからそれで脅せば大丈夫だろ」

「じゃ、連れて行くか」


 2人に触れようとした瞬間


「きゃぁぁぁ!!!!!」


 キララの大声が聞こえた。

 俺は部屋の中に突撃した。

 速やかに男2人を捉えた。

 男2人は床で伸びている。

 

「キララさん証拠取れました?」

「うん!撮ったよ、でもこれだけじゃちょっと証拠としては弱いんじゃない?」

「そうですね」


 俺は嵐のスマホを取って、嵐の指で指紋認証を突破した。

 そしてカメラロールを見たら、たくさんの動画があった。


「いや、大丈夫そうです、それにそのコップに入ってる成分を分析してもらえば問題無いと思いますよ」


 俺は2人に向かって笑顔でそう言った。

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