18話 ヒロイン達の話し合い

 次の日の学校に行ったら相変わらず4人の空気がギクシャクしていた。

 そう思って見てたら春香が俺に気付いた。


「あっ、悪琉~」


 春香がにこにこしながら大声で呼んできた。

 昨日は他の人には聞こえない位の声で話してたから問題なかった。

 でも流石に皆に聞かれたらこうなるよな。

 クラス中の人達が驚いた顔でこっちを見て来た。

 沙羅は不思議そうに首を傾げて、愛はジト目になって、神谷はまぁ、当たり前だけど凄い顔している。


「ん?どうした?」

「えっと、今日も昼休み屋上?」

「あぁ、そうだぞ」

「分かった、じゃあ私も行くから一緒に行こ!!」

「あ、あぁ、じゃあ一緒に行くか」

「うん!!」


 そんな時


「春香~」


 愛が来た。


「あ、愛ちゃんどうしたの?」

「ちょっと今日の昼は私に時間くれない?」

「えっと、どうしよう、悪琉」


 え?俺に振る?ほら、愛が俺の事を睨んでるって、これ絶対昨日の話だよな。


「俺は大丈夫だぞ」

「そっか、じゃあ愛ちゃん大丈夫だよ」

「そう、ありがとう」

「あっ、佐野君、誰もいない所で話したいから、今日は屋上譲ってくれないかしら」


 おお、凄い怖い笑顔だな断ったら大変な事になりそうだな、愛には逆らえないなこれ。


「あぁ、そう言う事なら大丈夫だぞ」

「ありがとう」


 ~昼休み~


 愛、沙羅、春香が屋上にいた。

 愛が口を開いた。


「ねぇ、春香?最近何かあったの?佐野君と仲が急に良くなったり、傑と急に仲が悪くなったり、おかしい事だらけよ?」

「うん、私も知りたいよ、雰囲気が悪くて正直居心地がよくないよぉ」

「う~ん」

「春香?私達はずっと味方よ?頼ってくれないと悲しいわ」

「私も…頼って欲しいよ、力になれるか分からないけど、出来る事は全力でやるよ!」

「そうだよね…」


 春香は2人に心配をかけるのも気が引けて、終わった事をあえて言う必要も無いと判断したけど、2人にそう言われ自分の判断が間違えていたと思い、先日の事件の話(傑の事以外)を話す事にした。


「なるほどね……」

「春香ちゃん;;」


 愛は顔を青くして驚いて、沙羅は泣きながら春香に抱き着いた。


「それで佐野君とあんなに仲良くなったのね」

「うん!だから私は悪琉と一緒にいるって決めたの」


 満面の笑みで春香はそう言った。


「佐野君てやっぱりいい人なんだよね?」


 沙羅がそう聞いた


「噂なんて気にしちゃ駄目だよ!悪琉が悪い人な訳無いよ!!」

「そうね、少なくとも私は良い人だと思ってるわよ」

「へぇ~愛ちゃんがそう言うとは思わなかったよ」

「実はね、2人には話して無かったんだけどね……」


 愛は悪琉に助けられた事を2人に話した。


「じゃ、私達3人は大きさは違えど、全員悪琉に助けられたんだね」

「そうらしいわね」

「…ねぇ、2人とも、この際だからはっきり聞くね、2人は佐野君の事どう思ってるの?最近、愛も春香も佐野君を見る目が変わってるの丸分かりだよ?」

「私はどう思ってるか、正直説明しにくい所もあるけどさっきも言った通り、悪琉と一緒にいたいと思ってるよ」

「わ、私は、分からないわ……」


 愛は嘘をついた、自分自身で悪琉に対して特別な想いがある事は既に理解していた。

 しかし、それを正直に話すには愛の性格からしたら難しい事だった。

 でも、今回は愛らしくも無く、表情に出ちゃっていた。


「ふ~ん」


 それを見て沙羅は気付いた、愛が確実に悪琉に対して恋しているんだと。

 そこで沙羅は考えた、2人が傑君以外の人に惚れる事は無いと思っていた。

 でもそれと同時に不思議と佐野君ならあり得るかとも思っていた。


 沙羅がそんな事を考えていたら愛が言った。


「春香、でも何で傑と仲悪くなったの?今の話に傑の話は無かったけど?」

「うん…実はね余り2人には話したく無いんだけどね、それでも聞きたい?」

「「聞きたい!」」

「じゃあ、話すね……」


 そう言って、傑が私達の噂を男子だけに広めている事、見捨てられた事を話した。


「……」

「……」


 その話をしたら愛と沙羅は無言になった。

 愛は真剣に何かを考えていて、沙羅は顔を青くしていた。

 しばし無言が続いた後。


「傑が、そんな事をね……」

「それ…ホントなの…?」

「うん……」

「私達は今まで傑の事は無条件で信じていたけど、もしかしたらずっと前から本性を隠していたのかもね……」

「そんな……」

「ま、まぁ、憶測よ憶測」


 愛はそこまでダメージなさそうだが、沙羅には大ダメージだった。

 小さい頃からの自分のヒーローであり初恋の相手だけあった為、本性は別にあるかもと聞いてショックだった。


「沙羅?大丈夫?」

「うん……」

「と、取り敢えず傑には少し注意を払って接していきましょう」

「そ、そうだね……」


 会話を終え教室に戻った。


「あ、いた、3人とも一緒に昼食べようとしたのにどこ行ってたんだよ?」


 傑がそう尋ねた。

 沙羅は思う所があり、顔を合わせられなかった。

 しかし、表情を隠すのが得意な愛と、初めてじゃない春香は簡単に答えた。


「ちょっとね、女子だけじゃないと話づらい事があってね」

「そうそう、ちょっと女子会してただけ」


 愛はいつも通りの感じでそういった、春香は面倒くさそうに言った。


「ふ~ん、なんだそんな事か、あっそうだ皆テストが終わった日は午前で学校が終わるし、4人でカラオケ行こうぜ」

「う~ん私はおかーさんに聞かないとだからまだ返事出来ないかな?」

「ん?いつもは親に許可なんてとって無かったじゃないか?」

「そうなんだけどね、ちょっと色々あったんだ」

「ふ~んそうか、で2人は?」

「私はその日の気分かしらね」

「わ、私は2人が行くなら…いくね」


 傑がは少し眉を歪めた後


「そうか、じゃ、楽しみにしてるからな」


 そう言って席に着いた。

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