17話 変わった環境

「ふぅ~、4日後中間テストかぁ」

 

 俺は登校中に考えていた。

 少し不安になりながらもまぁ、多分大丈夫だとも思っている。

 ゲームの中でも悪琉は成績は常にTOP10に入っていたしね。

 

 そんなこんなで学校について教室に入った。

 いつも通り一瞬静まり返った。

 俺は心の中で「やっぱこの瞬間は居心地悪くて慣れないな」と思った。


 そんな時だった。


「おはよ、佐野…」


 春香が少し照れながら話しかけて来た。


「あぁ、春香おはよ」

「んっ!!!」


 春香の顔が真っ赤になって去っていった。

 まさか春香が話しかけて来ると思ってなくて油断して気が抜けていたので、つい七瀬じゃなくて春香と呼んでしまった。


「ちょっと気が抜け過ぎだな」



 俺は昼休みになって屋上に来た。

 いつもは1人だ、今日も1人で食べる予定だった。

 それなのに今隣に春香がいる。


 まぁなんとなくここにいる理由は分かる。

 俺も嬉しいからいいんだ、いいんだけどさぁ。

 昼休みだけじゃなく、小休憩の時間まで話しかけてくるんだよなぁ。


「ねぇ!聞いてんの?悪琉!」


 しかもこの通り、朝ミスって春香呼びしちまった時から「悪琉」呼びになった。

 流石に変わり過ぎじゃないかこれ。


「うんうん、聞いてるよ、七瀬」

「だから!七瀬じゃなくて春香ね!」

「あ、あぁ、そうだな春香」

「ふんっ!」


 そう言ったら春香は顔を真っ赤にして目を反らした。

 うん、流石にこれは俺でもちょっとはずかしいな。


「てか春香、今日ずっと俺といるけど、幼馴染組は大丈夫なんか?」

「えっと、まぁ大丈夫よ?」

「なんか煮え切らないな?」

「ちょっと愛ちゃんと傑がうるさかっただけ」

「ふ~ん」


 まぁ、なんとなく理由はわかるけど、特に問題無いだろう。

 そんな事思ってた時、屋上の扉が「バン!」と空いた。


「春香!!ここにいたのかっ!!!」

「傑?どうしたのよ?」

「なんでそいつとずっと一緒にいるんだよ!!!」

「なんでって、私が誰といようと関係ないでしょ?」

「関係ない訳無いだろ!!幼馴染なんだぞ!!!」

「はぁ?意味分かんない」

「大体そいつは危ないって知ってるだろ!!!」


 その言葉を聞いた春香の眼つきが一瞬で変わった。


「なによそれ!!!そんな事は私が判断するわよ!!!」

「春香も聞いてるだろ!そいつ3日前に喧嘩して病院に運ばれたって噂をさぁ!!!」

「はぁぁぁぁ???だったら何なのよ!!!」

「だからそいつと一緒にいるのはやめろっていってんだよ!!!」


 そんな時、き~んこ~んか~んこ~ん

 チャイムがなった。


「ッチ、ほら帰るぞ!!!」

「ちょっ!!放しなさいよ!!!」


 そんなこんなで、神谷が俺の事を睨んで春香の腕を掴んで去っていった。


「はぁ~これから大変な事になりそうだな……」


 俺は空を見上げてそう思いながら教室に戻った。

 教室に入ったら明らかに幼馴染4人組の空気が重かった。


 神谷と春香はイライラを隠せてない、そんな2人を見て沙羅は困った顔をして、愛は…相変わらず無表情だが少し面倒くさそうな感じでため息してるな。

 午後の授業はテストが近い事もあり、自習のみだったのだが、神谷が定期的に睨んで来て滅茶苦茶居心地が悪かった。



 放課後は何も無く家に着いた。


「はぁ~これが続くのめんどくせーな」


 とは言え、正直気にしててもキリがないから無視が一番だろうな。

 そんな事を考えていた時、LIMEが鳴った。


『佐野君?春香と傑と何かあった?』

『ん?どうしたんだ?』

『えっと、春香と傑が2日前から何故かギクシャクしてるんだよね、今日は特に酷かったし』

『春香は何か言ってないのか?』

『えぇ、春香も傑も何も無いって教えてくれないの』

『ん~正直何も知らないと言ったらウソになるが、春香が自分で言わないなら俺から言える事はないかな』

『ふ~ん、それもそうね…それで佐野君はいつから春香とそんなに仲良くなったのかしら?』

『ん?ちょっと話す機会があっただけだぞ』

『へぇ~、佐野君はちょっと話しただけの人と下の名前呼で呼び合うのかしら?』

『いやっ、それには深い訳があってな』


 ……


 そんなやり取りを続けていた。


「ふぅ~、大変だったなぁ」


 愛と言い争った結果、俺から話す事は無いと感じたのか、明日春香に直接聞くと言って何とか収集が着いた。


「にしても、春香は事件の事を隠してるんだな、なんでだろ?」


 まぁ、考えても仕方無いし春香には春香で考えがあるんだろうな。

 それよりも春香と神谷との関係が少し心配だなぁ。

 神谷の心配は1ミリもしてないけどね、春香には元気であって欲しいんだよな、笑顔が一番似合ってるからな。


 春香も心配だし、久しぶりに香織さんのご飯も食べたいし、テスト前か後になるかは分から無いけど、近いうちに家にお邪魔しようかな。

 

「まぁ、それはそれとして、次のイベントは沙羅だな…」


 沙羅が好きなゲームのオフイベがあるんだよな。

 沙羅はそういうオフイベみたいなのは参加するタイプじゃ無いけど、クランの友達に1回だけでもいいからどうしても来て欲しいって言われて仕方なしに行く事になるんだよな。

 ここまで言えば後はどうなるか分かるだろうけど、薬飲まされ、ホテルにGOでその後動画を撮られて、脅されてって感じだ。


 勿論対策はしている。

 この世界に転生して直ぐに沙羅がやっているpcゲームを始めた。

 前世ではゲームを趣味程度にやってたからある程度上手くなれたし、ちゃんとクランにも入り込めた。

 因みに本人は気付いて無いけど、実は沙羅と結構一緒にプレイしてるんだよな。

 最初は声でばれるか心配だったが、リアルの沙羅とは1回しか話して無いからばれなかった。

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