15話 救われた七瀬家
警察に連絡して急いで向かったら、男達が2人を掴んで連れて行こうとしていた。
「おい、何してんだよお前ら」
「はぁ?今度は誰だよ」
「さっきの男よりは強そうだけど、今は引くんだったら無かった事してやるよ」
「佐野…、何で……」
「悪琉君、巻き込みたく無いのっ!大丈夫だから逃げて!!」
春香は口をぱくぱくしててやっとの思いで声を絞り出していた、香織さんは逃げてと叫んでいた。
そんな事言われて逃げる位なら元々ここに来てない。
「逃げませんよ……」
「なん…で…」
「おいおい、冗談だろ?この状況で何が出来るってんだよこのクソガキが」
「そのカッコイイ顔をボコボコにしてやるよ」
そう言ってこちらに歩いて来た。
幸いにも4人共武器は持ってない、しかし、がたいは俺と大差ない。
「つっっ!!」
流石にそこらのごろつきとは違って、強い。
何か格闘技でもかじっていたのだろう、4人相手だと耐えるだけで精一杯だ。
闘い始めるてどれ位経ったか分からない。
体中がボロボロだ。
春香と香織さんは目を腫らして泣いている、2人が無事ならそれでいい。
そんな時、サイレンの音が聞こえて来て男達が焦って攻撃を止めた。
急いで逃げようとしていたが、予めこの状況になるかもと言ってあったからヤクザ達が逃げれる訳は無かった。
そう思い安心したら、意識を失った。
目が覚めたら病室だった、体中が痛いでも思ったより全然動けそうだ
しかしバスケは少しの間出来なそうだ。
そんな事思っていたらガラガラと戸が開いた。
入って来たのは父さんだった、どうやら父さんの病院に送られたらしい。
「父さん……久しぶり……」
「あぁ、久しぶり、随分無理したようだな、2日も眠ってたぞ」
「うん…」
「まぁ、見た目より軽傷だよ、お前の体が頑丈で良かったな……」
「うん…」
「でももうこんな事無いようにしろよ、お母さんに連絡したら海外での公演をほったらかしてこっちに来ようとしてたんだぞ」
「分かってる……」
「退院は明日出来るけど、1週間は絶対安静だからな」
「うん、父さん因みに前話した2人は大丈夫だった?」
「あぁ、大丈夫だ、ただお前がこんなになった事に責任を感じて2人とも、びっくりする位泣いてたぞ」
「そっか、2人が無事なら良かった」
父さんにそう聞かせられ安堵した。
「因みにこの2日間で闇金組織は完璧に潰されたから、借金の心配はもう大丈夫だぞ」
「うん、ありがとう、父さん」
「あぁ、じゃ、ゆっくり休め、俺は2人に連絡を入れるから、お見舞いに来たらしっかり話せよ」
「分かったよ」
1時間後
「佐野ぉーーー!!!」
「悪琉君っ!!!」
2人がそう言って抱きついて来た。
「ちょっと、2人とも痛いから」
「「あっ、ごめんなさい」」
「悪琉君、悪琉君のお父さんに聞いたよ」
「聞いたって、何をですか?」
「悪琉君がお父さんに私たちの事を相談して、助けようと必死に頑張ってくれていた事よ」
香織さんは泣きそうなのを我慢しながらそう言った。
春香はずっと泣いていて喋れそうにない。
「そうなんですね、でも2人は余り責任を感じないで下さいね」
「そんなの無理よ、悪琉君が動いてくれたおかげで私達は救われたんだから」
「う~ん俺的には折角仲良くなった2人に笑っていて欲しくてやっただけなので、申し訳ないみたいな思いは持って欲しくないんですよね」
「そう、悪琉君がそう言うならそう言う感情は捨てるわね、でも感謝の気持ちは絶対に無くさないからね」
「はい、それなら全然大丈夫ですよ!!」
そして香織さんが春香に話かけた。
「ねぇ、春香そろそろ悪琉君と話せる?」
「う”ん”」
「無理して喋らなくても大丈夫だよ」
「ひくっ、大丈夫”」
「ゆっくりでいいから」
そう言って1分位たった後春香は話し始めた。
「えっと、佐野…本当にありがとう、佐野が居なかったら私もおかーさんも大変な事になってたよぉ」
「2人を助けられて良かったよ」
「佐野が来る直前私ね、もうどうでもいいやって、諦めてたんだよね」
「うん」
「それでね、佐野が来た時ね、ほんと心が救われたんだよ」
「うん」
「でもね、佐野、流石に無理し過ぎだよ、佐野がやられてる時本当に怖かったんだからね」
「ごめん、2人を救うにはあれしか思いつかなかったんだ」
「ううん、責めてるんじゃないの、ただもうこんな無茶しないでよ」
そう言って抱きついて来た、ちょっと痛かったが振り払う事も出来ないので頭を撫でた。
「じゃあ、また学校でね、佐野」
「あぁ、またな」
「悪琉君退院したら絶対お家来てね」
「はい、絶対行きます」
「はぁ~良かった~」
俺は心から安堵していた。
肩の荷が降りたようでどっと疲れた。
「にしても春香があんなに取り乱すなんてな」
あんな春香はゲームでも見た事無かった。
でもこれで七瀬家のピンチは無くなったな。
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