14話 七瀬家のピンチ
それから数日後、遂にこの日が来た。
今日の夕方七瀬家に分岐点が訪れる、勿論俺は全力で助けに行く。
ゲームでは傑が春香の異変に気付くのは取り立てが来てから2日後だが俺それまで待つ気は無い。
今週からテスト期間なので部活は自主練だ。
取り立てが来るのがたしか17時30分だからそれまでに行けばいい。
お金で解決する事も視野に入れていたが、父さんに相談したら組織ごと潰す方針で行こうと言われその方向性で進めていた。警察上部には既に話が通ってる。
しかし、流石に今日取り立てが来るみたいな不確かな情報で警察を動かす訳にはいかない。
先に家で待機して待つ方法も考えたが、それでは警察に連絡出来ない、流石に何人で来るのか分からないし、銃を持ってる奴がいれば2人を守りながら戦うのが難しい。
だから取り立てが来るのを少し離れた場所で待機して警察に連絡してから警察が来るまでの時間稼ぎをする必要がある。
「よし、準備するか」
放課後になり俺は直ぐに学校を出た。
今の時間が16時、俺は一応早めに七瀬家の近くで待機していた。
春香はまだ帰って来てない。
1時間後春香が帰って来た、傑と一緒に帰って来た。
幼馴染4人は家が皆近い。
しかし何故か言い争っているようだった。
数分経ってもまだ言い争ってる。
そんな姿を見ていたら、春香が顔を真っ青にして走って行った。
その後を神谷が追った。
異変を感じた俺は七瀬家の方を見たら取り立てが屋が4人いた。
俺は急いで警察に連絡して事情を説明した。
説明を終え急いで七瀬家に向かおうとしたら、春香が4人の前に立ちはだかっていた。
そんな春香をみて香織さんが泣いて、ヤクザの人達に頭を下げていた。
その中、神谷は相手がヤクザと知ったのか、ちびりそうな顔をして全力疾走で逃げて行った。
俺は走って春香の方に向かった。
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★ 七瀬 春香(side)
今日は佐野君が晩御飯を食べに来る日だ。
おかーさんは凄く楽しみしていた、そして私も少し楽しみだった。
テスト期間だから部活は自主練、少しだけ練習して今日は直ぐに上がろう。
そう思い体育館に向かった。
練習を終えた私は家に帰る事にしたら傑がいた。
正直いつも通り話せる自信がない、だから今日の私は傑と話すのを避けていた。
「よぉ!今帰りか~」
「うん、そうだよ」
私は必至にいつも通りを装った。
「奇遇だな俺も今帰りなんだ、一緒に帰ろうぜ」
「そうなんだ、いいよ、帰ろっか」
そんな事があって久しぶりに一緒に帰る事になった。
「久しぶりに一緒に帰るな」
「確かにそうだね、お互いに部活があるからね」
「あぁ、たまには4人で下校出来たらいいんだけどな」
一昨日までの私ならその話に心から賛同できるんだろうけど、あの話を聞いた後だと全然気が進まない。
正直まだ心の整理が出来ずにいるから、2人っきりで話す事自体しんどいと感じる。
その後も話しながら歩いていたけど、ずっともやもやした気持ちで話してて全然楽しくなかった。
普段の私だったらそんな事あり得ないんだけど。
そんな事考えてたら家の近くまで来た。
「家に着いたから帰るね、じゃあね」
「なぁ、春香?これから春香の家に行っていいか?」
急にそんな事を言って来た、しかし今日は佐野が来る日だし、それが無くても今は余り話したくない。
「そんな急に言われても困るよ、おかーさんだっているんだし」
「香織さんなら大丈夫でしょ、中学の頃よく行ってたんだし」
「とにかく今日は絶対駄目だよ、家に来るならちゃんと事前に言ってよね」
「いやでも……」
そんなやり取りを数分してたら家の方から騒がしい声がした。
そっちの方を見たら私の家の前にゴツイヤクザみたいな人たちがいた。
私は心臓がバクバクしていた、状況は全く理解出来無かったがおかーさんの事を考えて足が勝手に動いていた。
「おかーさん!!!!!」
「春香!!」
私の事を呼んだおかーさんの顔は怯えてきっていた。
それを見て私は恐怖で足が震えていたけど、4人に聞いた。
「あなた達誰ですか!!家になんのようですか」
私が震える足を抑えながらそう言ったら
「はぁ?お嬢ちゃん、お母さんに聞いてないのか?」
「なんの話よ」
私の頭は混乱していた。
「なら教えてやるよ……」
私は全てを知って絶望していた。
おかーさんがずっと無理していた事、私に心配をかけまいと1人で全てを抱えていた事、私がそんな中自分だけ部活とかして楽しんでいた事に。
そんな中私はおかーさんの方を見たらおかーさんは頭は下げて、娘だけは助けてくださいと涙を流していた。
それを見て私は改めて絶望した、何も出来ない自分自身に。
そんな中男達が私についてきた傑に向けて言った。
「それで、てめぇは何なんだよ?お嬢ちゃんの男か?ならてめぇも一緒に金払えよ」
「ちっ、違います、俺は何も関係ありません、ひいぃぃぃぃ」
そう言って全力で逃げて行った。
少しだけ期待していた、傑なら助けてくれるんじゃないかって。
でもそんな事は無かった、これに関しては傑が悪い訳じゃ無い。
この状況だと普通ほとんどの人が同じ反応をするだろう。
そんな事を考えていたけど、正直そんな事どうでも良かった。
おかーさんが涙を流して頭を下げてる姿を見て私の心は既に折れていた。
これから私とおかーさんの未来は容易に想像できた。
だからもうそれすらも考えたくなかった。もう全部どうでも良かった。
「じゃあ、お金が無いなら母子共々ついて来いよ」
そう言って男達が私とおかーさんの手を掴んだ。
どうでも良いと思ってても何故か涙が溢れて来る。
心の中では助けを叫んでいた。
誰でもいい、私達を助けてくれるなら悪魔に私の全てを捧げてもいい。
そう思ったら小さく声が出た。
「助 け て」
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