7話 バスケ部 (下)
「佐野君は高校1年とは思えない位体が出来上がってるね」
「ありがとうございます」
「佐野君ならすぐにレギュラーになれそうだね」
「いえいえ、まだまだですよ」
そんな会話をしつつアップが終わり、練習も滞りなく進んでいった。
「じゃあ皆、今日は初日だし、1年の実力も見たいし1年で紅白戦やるよー」
拓海さんがそう言うとチーム分けが始まった。
チームは身長のみを考慮して決められ、主人公とは違うチームになった。
それからチームごとに作戦を立てる事になった。
「じゃあ作戦どうする?」
今そう言ったのは佐々木 望、ゲームでは主人公のライバルポジション、1年でベンチ入りしたのはこの二人だったな。
それでこいつは確かバスケ以外興味ないようなバスケバカだ。
そんなこんなで皆初めましてってのもあって、下手な作戦で行くよりもガンガン攻める方向性で決まった。
◇
試合が終わって見れば結果はこちらの圧勝。
それもそうだ、佐々木はこっちのチームだし主人公は最初の頃は全然上手くいってなかった。
主人公の方を見たら膝をついて落ち込んでいた。
愛と沙羅がボトルを皆に配り終わり二人で主人公を励ましていた。
「いや~流石だね」
拓海さんがそういって俺と佐々木に話しかけて来た。
「「ありがとうございます」」
「佐々木君はコート全体が良く見えてるしパスワークも抜群だね」
「いや、先輩達に比べたらまだまだです」
「佐野君に至っては頭一つ抜けてるね、既にレギュラーレベルだよ」
「ありがとうございます」
「じゃ、今日はこれまでだから明日に響かないようしっかりストレッチしてね」
「「はい」」
そう言われストレッチをしていたら
「あの~佐野君?」
相沢が話しかけて来た
「ん?何か用か?」
「佐野君ってバスケ上手いんだね」
「まぁ、結構やってたしな」
「えっと、その、かっこよかったよ」
顔を赤くしながらそう言って走り去って行った。
何が言いたかったのかは良く分からなかったけどあまり気にせずストレッチを再開した。
ストレッチが終わり帰ろうと、下駄箱に行くと愛がいた
「お疲れ様」
「あぁ、矢野もお疲れ」
「にしても、佐野君はバスケが凄く強いのね」
「まぁ、中学の頃から自分より大きい高校生に混じってたからな、それもあるのかもな」
「お兄ちゃんが言ってたよ、佐野君ならすぐレギュラーになれるって」
「ん~だといいけどな、まぁ、だとしても努力を怠るつもりはないけどな」
俺はシンプルに嬉しくなって笑顔でそう返した。
「そっ、そうね、油断しちゃだめよ」
「あぁ」
無言が続き気まずくなり気になってた事を聞いた
「そう言えば矢野は神谷と幼馴染でかなり仲良いんだよな?」
「えぇ、知ってたのね」
「そりゃなぁ、中学が同じ人からしたら誰でも知ってる位有名だぞ」
「そうなのね、まぁ、私たち4人は小さい頃から一緒にいたから」
「それで神谷さぁ、試合終わった後滅茶苦茶落ち込んでたけど一緒にいてやらなくて大丈夫なのか?」
「えぇ、傑の事なら沙羅にお願いしたわ」
「じゃあ私こっちだから」
「あぁ、また明日な」
「うん、また明日」
家に着いた俺は風呂とご飯をぱっと済まして直ぐにベッドに寝転んだ
「ふ~、やっぱバスケって楽しいわ」
ちょっと展開は違ったけど、主人公が負けて練習に力を入れることになる。
そんな事を考えていたらスマホが鳴った。
『今日はお疲れ様』
『お兄ちゃんに佐野君が部活に入るか聞いてって言われたけど、どんな感じですか?』
『多分入ると思うぞ、思ったより全然歓迎されてたしな』
『そう、分かったわ、じゃあそう伝えるわ』
『あぁ、色々ありがとな』
『助けてくれたんだから、これ位普通よ』
『それでも助かってるのは事実だしな、本当に感謝してるよ、矢野も何かあれば気軽に相談してくれよ』
『えぇ、ならお言葉に甘えてさせて貰おうかしら』
『あぁ、俺に出来ることなら何でも助けるぞ』
『明日もあるし私はこれで失礼するわ、お休みなさい』
『そうだな、お休み』
「ふぅ~、流石に疲れたな」
にしても、先輩達全然優しかったな、あれも愛が手を回してくれてたのかな、今度改めてお礼するか。
拓海さんも結構期待してくれてそうだったし、レギュラーに入れるって言われてても練習に手を抜かないようにしないとな。
「よし!寝るか」
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