6話 バスケ部 (上)
「はぁ~、ねむ~」
昨日の夜、愛から連絡が来て少しテンションが上がって寝るのが遅くなったな。
よし取り敢えず学校行く前のランニング行って学校行くか!
6限の自習時間になり少し考えていた。
ゲームでは主人公は1年の最初の頃は高校生のバスケレベルが高く先輩達に追いつこうと必死だった。
そこで支えてくれたのが愛だった。
愛はそこで本気で頑張っている主人公を見て、支えたいと思い夏休み終わり頃には主人公はレギュラー争いに参加できるレベルになり、その頃には愛の好きかもしれないが確実に好きに変わっていた。
勿論俺は主人公の邪魔をする気は無いが、だからと言って手加減をしてレギュラーを譲るみたいな事もしたくない。
とは言え、そればかり考えてもいられないんだよな今日から一か月後、あるイベントが起きるんだよな~、まぁ今出来る事は無いからバスケに集中するか。
そんな事を考えていたら主人公達の話が聞こえて来た。
「なぁ~愛?今日バスケ部行くよな~?」
「えぇ、行くわよ」
「おっけー、折角だから沙羅もマネージャーやんないか~?」
「う~ん、私バスケの事良く分からないから」
「マネージャーだったら分からなくても大丈夫だよ、それに入ってから覚えればいいし」
「えぇ~、う~ん」
「今日は体験だし、愛もいるんだからいこーぜ」
「そっ、そこまで言うなら」
「三人ともいいなぁ~私だけ仲間はずれじゃ~ん」
「春香は自分で体動かしたいんだろ~」
「へへっ、まあねぇ~」
あ~、そう言えばそんな感じだったな。
沙羅は主人公に誘われて体験に数回来るけど結局マネージャーにはならないと言うね、そのストーリーいる?ってプレイヤー達に言われてたな。
プレイヤー視点では分からなかったけど、実際に見たら良く分かる。
沙羅は主人公に誘われてめちゃくちゃ顔が赤くなってるとこ見ると、シンプルに嬉しくて参加するって言ったんだろうな。
そんな事考えていたらいつの間にか授業が終わり放課後になっていた。
「お~い愛、沙羅、いこーぜー」
「うん、今行く」
「私少し遅れて行くから先行っててー」
「おっけー、じゃ先行ってるわー」
二人と別れた愛がこっちに来た。
「えっと、佐野君、準備出来てる?」
「あぁ、出来てるぞ」
「そう、なら行きましょ」
そう言って俺と愛は体育館に向かった。
体育館に入ると1年からは、嫌な視線を向けられたが2.3年生は想像と違いほとんどの人が笑顔だった。
愛の方を見て何故か聞こうとしたが、こっち見て「だから大丈夫って言ったでしょ」って言われ、良く分からないけどそれ以上聞くのを辞めた。
まぁ、今はそんな事より主人公の方が気になる。
こっちを明らかに睨んでる、まぁその気持ちは理解できなくは無いが、余りにもあからさま過ぎるぞ。
「やあ!佐野君!」
そう言って近づいて来た。
この人は確か、愛のお兄さんだ!ゲームでもちょいちょい見た覚えがあるな。
「えっと、もしかして矢野のお兄さんですか?」
「おぁ良く分かったな、堅苦しいのは嫌いだから拓海って呼んでくれていいぞ」
「えーと、じゃあ分かりました、よろしくお願いします。拓海さん」
俺がそう返すと拓海さんは大笑いして、愛は恥ずかしそうに顔を隠していた。
そんなこんなで自己紹介が終わり練習が始まった。
思ったよりも先輩方は全然話しかけてくれるし、皆優しい。
1年は相変わらずだが、まぁ、それはしょうがないか。
「久しぶりね、愛ちゃん」
「お久しぶりです、早苗先輩」
この人は私が中学の頃一緒にマネージャーをしていた山口早苗先輩だ。
バスケが大好きで部員一人一人をしっかり見てる私の尊敬してる先輩だ。
「沙羅ちゃんもよろしくね」
「あっはい、よろしくお願いいたします」
「ははっ、もっと気楽でいいって」
「じゃ、愛ちゃんは分かると思うけどこの後マネージャーの説明するから、準備しててね」
「「はい」」
早苗先輩がそう言って去って行った。
「ねえ、愛ちゃん?」
「うん?どうしたの?」
「なんで愛ちゃんと佐野君が一緒に来たの?」
「ちょっと話長くなるけど大丈夫?」
そう言って私は成り行きを説明した。
「へぇ~そんな事があったんだね、佐野君が助けてくれて良かったよ!」
沙羅は笑顔でそう言って来てその後何かを考えているようだったけど、私は何も聞かなかった。
俺の高校は確か全国優勝は出来てないけど毎回かなり好成績を残していただけあって、かなり先輩達のレベルが高い。
1年のレベルは高い人は高いが先輩に比べたらまだまだで、主人公に至っては1年の中では中の上位だ。
俺はそんな事考えながらもまたバスケが出来る事に少しわくわくしていた。
「はい、じゃあ1年は先輩とペアを作って~」
ここは主人公と拓海さんがペアになって主人公の事を更に気に入り、愛との関係を応援するようになるイベントのはずだ。
主人公も拓海さんと交流がある為ペアになろうと話しかけに行った。
当然二人がペアになるものと思っていたので俺はそれを横目に、どの先輩と組もうか悩んでいたら後ろから声をかけられた。
「おーい、佐野君~、俺と組もうぜー」
そう言われて振り向いたらまさかの拓海さんだった。
一瞬理解出来ずに主人公の方を一瞬見ると、悔しさ半分怒り半分そんな感じの表情をしていた。
それを見て理解した、拓海さんが俺と組む為に主人公の申し出を断ったと。
「あっ、はい、よろしくお願いします!」
ストーリーの展開とはかなり違って来てるけど、俺はもうそんな事を気にするのを辞めていた。
ここはゲームの世界ではあるが、自分含めここにいる人は皆ちゃんと生きている人間だから、ストーリー通りいく訳ないとここ一週間ちょっと過ごして理解したからだ。
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