5話 変わり始める関係 (下)
「にしてもゲームでの愛ってあんなに積極的だったかな~」
ゲームでは他のヒロイン二人と違い主人公に対して好きかもしれないから始まってたからな、結構積極的に来てくれるのも多少は納得できるか。
「それにしても、バスケ部かぁ~」
元々入るつもりはなかったけど、ちょっと嬉しいな。
俺自身部活に入らなくても他の場所でバスケをやろうとしてた訳だからな。
愛に頼ってばかりじゃ申し訳ないし、部活内でくらいコミュニケーション取るのがんばんないとだな。
まぁ、一番の問題は主人公なんだよな~。
主人公はゲームだとこの時点ではマネージャーで支えてくれていたから、愛の好感度が一番高いんだよな。
そう言えば主人公の部活での様子はどんなだっけな、確か中学でエースだっただけあって身長は無いけどテクニックでカバーして高校でも一年からレギュラー争いに参加してたんだよな。
まぁ勿論手加減してレギュラー譲るとかはあり得ないんだけどな、折角やるんだから本気でやらないとな。
取り敢えず愛のお兄さんと打ち解けるとこからかな。
「よし!!明日から頑張るか」
そう言って眠りについた。
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★矢野 愛(side)
「はぁ~、思った以上にかっこよかったなぁ~佐野君」
最初は噂があったから、お礼するとは言ってたけど正直かなり警戒していた。
けど、話しているうちに目も真っ直ぐだったし全然悪い人じゃないなって何となくで感じた。
確かに佐野君自身噂は盛られているとはいえ全部が嘘じゃないって言ってたけど、私からしたらそんな事は正直どうでもいい。
私が見るのは過去じゃなくて今だから。
そんな事を考えていたら家に着いた。
「ただいまー」
「お帰りー愛、今日は遅かったな~、傑達と遊んでたのか~?」
そう聞かれて誤魔化そうかとも思ったけど、どの道部活の話もしないといけないから、佐野君と出会った時から今日の事まで話した。
不良に連れていかれそうになった事を顔を真っ青になっていたが、佐野君が助けてくれたと聞いて少しづつ元通りになっていった。
「へえ~そんな事があったんだ」
「うん」
「にしても佐野君がバスケ部にねぇ」
「えっと、ダメかな?噂があるのは知ってるけど、話してみた感じだと過去は分からないけど今の佐野君は問題起こすような人じゃないと思うの」
そう私が不安そうに聞いてみたらお兄ちゃんが何とも言えない表情を浮かべた。
「いやいや、その心配はしてないよ。愛がそう思ったんだったら何にも心配ないよ」
「えっと、じゃあ他にだめな理由があるの?」
「ダメな理由じゃなくて中学の同級生でライバルの奴に聞いたんだよ。そいつの高校の部活に毎日の様に練習に参加するめちゃくちゃ上手い奴がいるって、言ってたのを思い出してたんだ」
「へぇ~、あっ、確か佐野君が中学の頃部活には入ってなかったけど、高校生に混じって練習に参加してたって言ってたけど、もしかして」
「あぁ、そのまさかだ、それにそいつ曰く噂どうこうは知らないけど、バスケの練習のストイックさと熱量はかなりなもんだって聞いたぞ」
「なら、入っても大丈夫って事?もしかしたら即戦力になるかもよ?」
「かもじゃなくて間違いなく即戦力だと思うぜ、身長も1年生で180後半くらいあるって聞いてるしな」
「佐野君は噂があるから他のメンバーに迷惑かける事を心配してたんだけどお兄ちゃんの方で何とか出来そうかな?」
「まぁその辺は大丈夫だろ、三年と二年はバスケやってる事知ってるしなぁ~」
「えっ、そうなの?」
「ああ、さっき言った奴の高校とは監督同士が仲良しだから良く合同練習するんだよ、その時は流石に佐野は居なかったけど、その高校の奴らが皆で佐野の話してくるんだよなぁ」
そう言われて私は大丈夫か不安だった気持ちが一気に晴れた
「じゃあ、明日連れていくから皆によろしく言っておいてね」
「あぁ、この後グループLIMEで伝えるよ」
「うん、じゃあよろしくね」
そう言って私は寝るために部屋に戻った。
「へぇ~佐野君てそんなバスケ上手なんだ」
佐野君が活躍している姿を想像して、口元が少し緩んだ。
「あっそう言えば一年生のエースは傑だと思ってたけど、佐野君とどっちが上手いんだろう」
もし佐野君がエースになっちゃったら私が誘っちゃっただけあって、傑には少し申し訳ない気持ちもあるなぁ、と思いつつも勝負の世界だからしょうがないかって自分の中で答えたが出た。
「よし、佐野君に連絡だけしよ」
「佐野君、こんばんは、まだ起きてますか?」
「こんばんは、起きてるよ」
「部活の事お兄ちゃんに話したけど、歓迎してくれそうだったよ」
「まじか、正直予想外だけどそれだったら嬉しいわ、ありがとな」
佐野君から素直な感謝の気持ちを言われて胸がドキッっとした
「ううん、大丈夫だよ、明日放課後一緒に体育館まで行くわよ」
「おっけー、じゃあまた明日よろしくなー」
「うん、よろしくね、じゃあお休み」
「ああ、お休み」
やり取りが終わって私はちょっと気分が上がってた。
愛自身は何でこんな気持ちになるのかが分かっていなかったが、愛はそんな事気にせずに眠りについた。
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