大好きなお兄様を守れなかったバリキャリウーマンの私が幼女に転生したので、次は絶対に大好きなお兄様を守り切ります!!.15【完】

「みて、おにいちゃん、ゆきがつもったよ! まっしろ!」

「ほんとだね、アリッサ。……君の、肌の色みたいだ」

「えへへ。……もう、おにいちゃんったら!」


 あれから、半年。

 バーバラ達は辺境に追放になった。

 もちろん、爵位も財産も何もかも取り上げられて。

 ウワサによると、親子散り散りになって家もない有様だそうだ。


 私の復讐は──成した。


 今、幸せだ。

 人生でいちばん幸せだ。

 幸い、現世でも私は貰いっ子だ。

 やろうと思えばおにいちゃんと結婚だってできる。

 ほんとにそれをやるか、今それを悩んでいるところ。

 私の恋の煉獄も、意外と心地よいと分かってきたから。


 あ、でも、最近アシュリーさんとお兄ちゃんが仲がいい。

 今回は見逃さないでおこうかな。

 三十二歳年下のお兄ちゃんを、伴侶にする。

 それも悪くない。

 悪くない。


 今、幸せだ。

 間違いなく、幸せだ。

 幸せだ。


 でも。


 ──お兄ちゃんの足は、動かないまま。


 あの箱庭での彼女の言葉が、頭に染み付いて離れない。


『じゃあまず、対価をもらうからね』


 あの日彼女は何を対価にするか、言わなかった。

 半身不随なことこのことが対価だと、言ってはいない。

 だから、不安だ。


 この後、もっと大きな対価を支払わなくてはならないのか、と。


『この世の全ては等価交換。何かの対価無くして何かを得ることは、できない』


 私はいま、幸せだ。

 そのはずだ。



【第一章.完】

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