ミッションコンプリート!
「いや〜楽しかったね」
「同級生の方々とお茶会するのは初めてでしたが、とても楽しかったです!」
「私も、すごく楽しかった」
「俺もこういう会は初めてだったから楽しかったよ」
みんなが集めてくれたゴミをまとめながら、椅子を直したり机を整えたりして感想を語っていた。
本当に楽しかったなぁ…途中の春奈ちゃん企画『ドキドキカップ数をあてろ!目隠しパフパフ選手権!』はマジでよかった。美少女たちが制服を脱いで、お互いに触り合って百合百合してたのマジ冥福だった…。脳内メモリーに焼き付けたけど、動画撮っておけばよかった〜。いや〜また今度のお茶会でやりたい…な…?あれ、このお茶会って何のためだっけ?…やべ、鈴木さんの依頼のこと頭から抜けてた…!大丈夫か!?
その事をふと思い出して、首をグルンと回して鈴木さんの方を見た。
「私も楽しかったです!」
よかったぁ…めちゃくちゃホワホワしてた…!途中から俺たちが楽しくなりすぎちゃって、全員鈴木さんのこと忘れてたよね。ほんと何してんだか。最初は怖かったけどこの120%の依頼解決成功して良かったよ。
「…本当に120%の依頼解決をしてくれてありがとうございます!おかげでたくさんの子と連絡先を交換したり、同じクラスの情報を知れたり…本当何をお礼したら良いか…」
胸に手を当て安心したかの様な表情をしていた。陰の取れたスッキリとした笑顔を向けた後、俺たちお助け部に向かって深くお辞儀をしていた。
…俺はそんな協力できてなかったから、そんなに感謝されるとちょっと心苦しいな。今回の件は春奈ちゃんがMVPだ。
「…お礼…あ、あ〜依頼のことね!お助け部はボランティアの部活だから、別にお礼は要らないよ?」
「それじゃあ私の気が収まりません!どうにかお金でも何でも良いので、私にお礼をさせてください!」
…MVP春奈ちゃんよ…お主この依頼のこと絶対忘れてたな。まぁ、俺も人のこと言えないけど…。
というか、お礼ねぇ〜ボランティアである以上何も貰うわけにはいかないよね、部活だし。ましては金銭なんか論外でしょ。春奈ちゃんも、みんなも困ってるし…そうだなぁ〜ここで男の俺が一肌脱ぎますか!
「鈴木さん、依頼料ならもう貰いましたよ…」
「え…私はまだ何も渡していませんよ?」
「いいえ、確かにもういただきましたよ…」
せっかく女性にモテまくりのこの世界なんだ、そろそろカッコつけさせてもらおう!
「それは君の…「修斗、流石に人の財布盗むのはやり過ぎだよ」」
ゆきぃ〜!せっかくカッコつけようとしたんだからセリフ被せてくんなや!
「え、修斗くん友恵の財布とったの?」
「いや、取ってへんわ!」
「お財布を取ったなんて…わたくしに言って頂ければ、お金なんて幾らでも差し上げますのに…」
ボケだよな…?ボケじゃなかったら俺普段からそんなことする様な奴って思われてることになっちゃうからね!そして、城ヶ崎さんはそれで良いのか!?君将来絶対ダメ男に引っかかるよ!
「あ〜ゴホンッ」
仕切り直して…鈴木さんの方に向き直る。
「俺らが貰ったお礼は、可愛い君の素敵な笑顔だよ」
「ぽっ…」
え、ゆでだこくらい顔真っ赤になってるんですけど!ていうか、これで『ぽっ…』てなるの!?一回ツッコミ挟んだせいでかっこつけづらかったんだけど、なんならやめよっかなって思ったんだけど!結果的に見たらなんか上手くかっこつけられた!?鈴木さんはこういうベタなのが好きなのか?…壁ドンとか今度してみよっか…いや、古いか。
「本当にありがとうございました!」
「いやいや、私たちも依頼楽しかったよ!依頼主なのに片付けまで手伝ってくれて助かったよ〜」
「また、ここに来て一緒にお菓子食べよ」
「そうだね。雪の言うとおりいつでもここに来なよ!俺たちお助け部は君のこといつでも歓迎するよ!」
鈴木さんは帰り際まで深くお辞儀していた。さて、これにて一件落着かぁ…嬉しい反面寂しいなぁ。あっという間に楽しい時間は終わっちゃって、教室もあのパーティーが嘘だったかの様に元通りになってる。…部屋はでかいけど。これは…考えないでよそう。
「う〜ん楽しかったぁ〜!友恵が友達を作れて何よりだよっ」
「ほんと、春奈ちゃんよく頑張ったね。君のおかげだよ」
向かい合って話をしていて、春奈ちゃんの頭がついつい目の前にあったから撫でてしまった。さらさらで綺麗な髪の毛だな…きっと毎日の手入れに気を遣ってるんだろうな。俺と春奈ちゃんだと、身長差が結構あるから頭を撫でやすかった。
「ん…」
「ご、ごめん。撫でやすい位置にあったからつい撫でちゃった…。やめた方がいいよね?」
髪は女性の命というし、それはこの世界だろうと変わらないだろう。いくら貴重な男性で友達と言っても、パーソナルスペースがあるから流石に不注意だったか?
「ううん…すごく気持ちいい。撫でてくれてるのが修斗くんだからかな。もっと撫でてほしいな…だめ…?」
「ぐはぁっ」
撫でてる時は目を細めて猫の様に気持ち良さそうにして、撫でるのをやめたら物欲しげな表情で上目遣いをしてくる。か、可愛すぎる…君たち変態な癖に、ちょくちょくストレートに可愛いのやめてよ!心臓に悪い…!
「ねぇ、私はまだいるんだけど」
雪のこと忘れてた…はずっ。ちなみに城ヶ崎さんと影山先輩は用事があったらしく、片付けを途中まで手伝ってから帰りました。習い事とバイトがあるのに、遅くまで手伝ってくれたのは本当に感謝だ。
「…片付けも終わったし帰ろっか」
そんな気恥ずかしさを隠すかの様に鞄を肩にかけた。
「じゃあね〜」
「じゃあね」
「今日は本当にお疲れ様!しっかり休めよ〜」
学校からの帰り道春奈ちゃんと、曲がり道で別れ雪と2人きりになった。何だか雪と2人は久しぶりな気がする…。
「今日楽しかったな」
「本当、楽しかった」
「…もうその喋り方いいんじゃない?俺しかいないんだし」
ダウナーな喋り方にもだいぶ慣れてきたのか、俺と2人きりなのにこの喋り方を続けていた。そりゃあずっと続けてれば癖になるか。
「確かに…ずっとやってるから癖になってた。あぁ〜やっぱりこっちの喋り方の方が楽だね」
「だろうな、なんか生き生きとしてるし」
このモードの雪ってめっちゃ喋りやすいよな…マジで男友達みたいな感じでいける。
「鈴木さんの依頼、春奈頑張ってたな…」
「ね、本当にすごいよ…俺らあんま手伝えなかったな…」
「修斗はちゃんと盛り上げてたよ。私はダウナー系やってるせいで、テンション上げすぎるわけにはいかなかったし」
…これマジで言ってるのかな?ていうのも実は雪テンション結構上がってて、ちょくちょくヤンキー部分出てたんよ。この子そのことに気づいてない?気づいてないなら別にわざわざ言わなくていいか…知らない方がきっと幸せだよね。
「いや、俺も変わらないよ。…だからさ、次の依頼が来たら率先して動こう」
「そうだな〜クヨクヨしてても仕方がないし。よし!次の依頼は頑張りますか!」
「…いや、切り替えはやいな」
サバサバしてるねぇ〜流石ヤンキー。この男勝りなタイプって、この世界じゃ本当に希少だから心地いいなぁ。…そういえば、よくよく考えたらこの世界の男ってナヨナヨして、女性っぽくなってる可能性があるんか…。普通に前世の男イメージしてた。関わる時気をつけなきゃな。
「あ!そう言えば雪に言いたいことがあったんだ」
「ん、何を?」
「いや〜鈴木さんにカッコつけようとした時の事だよ。あの時雪がボケてくるから思わずツッコミ入れちゃったじゃん。あの後のカッコつけたセリフめっちゃ恥ずかったんだよ?」
マジでカッコつけるか迷ったんだよね。まぁ、恥ずいならやるなって話なんだけどさ。そのこと雪にを言及すると、歩幅が小さくなり、やがて俯いて止まってしまった。あれ、なんか怒らせちゃった?
「ゆ、雪?」
止まってしまった雪の目の前に行き、恐る恐る声をかける。
「だって…私にもそんなこと言ってくれたことないじゃん…」
「え…?」
なんか思ってたのと違う反応なんだけど…。
「春奈と華恋ならまだしも…会って2日の子にそんな事するなんて…」
あれ?めちゃくちゃしおらしい。いつもは見ない感じで、理性とは裏腹に胸が高鳴る。…そんなことって…混乱してたとはいえ、君会って数分でもっとすごいことしてたやん。
「私の方が修斗と早く出会ってたんだもん…それなのに私にはしてくれないから…」
「え〜っと、つまり…ヤキモチを妬いてるって事?」
「は、はぁ!?ヤキモチなんて妬いてないから!私はただ納得がいかなかったって言ってるだけ!」
待って…めちゃくちゃ可愛いなこいつ!え、俺にもっと甘い言葉を囁かれたいって事でしょ?ヤンキーでサバサバしてるのに、ダウナー騙ってるかと思いきや乙女なツンデレなの!?属性どんどん増えてくじゃん。
「な、何その温かい目は!?やめてくれない!?関節決めるよ!?」
「いや〜ツンデレ可愛いなって…痛い、痛いって!?やめる、やめますから!関節やめてください!」
…マジで腕っぷし強すぎるよ…いじるのはたまににしよ。俺の肩がなくなっちゃう。全く…今時暴力系ヒロインは人気でないぞ?…いや、強気な女子が、言葉じゃ誤魔化せないから照れ隠しでやってくるのか。可愛いけど…やっぱりもうちょっと手加減してくれませんかね?
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