120%…いや、200%行ってるって…
日を跨ぎ、今日の授業も全部終わった。今日は昨日の鈴木さんの依頼の続きをするんだろうけど…。
「一体何をするつもりなんだ…?」
「春奈、何するか分からないから…」
「ちょっと怖いよな」
…実は雪にこう言いつつも結構楽しみにしてる。春奈ちゃんって活発だから色々なことを持ってきて楽しませてくれるし、なんというか…今まで友達になってこなかった優しい陽キャみたいな感じ。前世の高校は偏差値低すぎて動物園だったからなぁ…まぁ、それを反面教師にして勉強頑張れたんだけど。でも、そういう奴らが可愛い子たちと結婚して、子供を作って幸せそうに暮らしてるんだよな…。べ、別に羨ましくなんてないしぃ!今世では俺めっちゃモテモテで女の子に困ってないし!なんなら彼女だって…あれ…い、いない?
「変な顔してないで教室行こ」
「はい…」
「…しょぼくれてるの可愛い…」
雪なんか言ったか?気のせいか…ていうか、彼女できてないのは俺が悪いからかもしれないわ。自分から行けばいいんだけど、駆け引きもしたいし…はぁ、やっぱり甘酸っぱい前世の青春のようなラブコメはこの世界は無理なのかもしれない。てなわけでいつも通りボケツッコミをしてギャグをお届けしますか…。いやいや、これが平常運転とか悲しすぎやって…ラブコメ要素が欲しい!チヤホヤされたいよぉ!
*彼女できないのも、ラブコメ要素があんまりないのも大体自業自得
そんなこんなで色々と欲望に葛藤しながらも、雪の隣をのんびりと歩いている。ふと思ったけど、雪って女子にしては結構背が高いから歩く歩幅同じくらいなんだ…。ペース気にしないで歩けるの結構楽よね。
「部室着いたけど…入って良いんだっけ?」
「確か良いって言ってた」
「じゃあ入ろっか」
「うん」
俺たちが入っていいってことは、まぁ鈴木さんに対して何か仕掛けてあるわけではないのか…。ていうか、予め何するか教えて欲しかったよ…。
「雪に修斗くん、いらっしゃーい!」
「春奈ちゃ…ん…?…えっと…こ、これは何?」
「へ…?」
扉を開けるとそこにはたくさんの人たち、たくさんの椅子とテーブル、大きくなった部室があった。テーブルの上にはお菓子やお茶がたくさん置いてあって、種類もめちゃくちゃあった。…大きくなった部室ってなんやねん。
「え、昨日言った120%の依頼達成法だよ?」
「いや、確かに言ってたけど…意味がわからないよ!」
「え、やば…なにこれ…!」
ほら、びっくりしすぎて雪も素が出てるって!ハッとした顔をして手で口を覆った。数秒で持ち直したのはだいぶ慣れてきた証拠だなぁ…じゃなくて!
「…これは、やばいな…」
一旦無理やり心を落ち着かせて辺りを見渡す。大きくなった部室は壁をぶち抜いて、スライドの扉式にしてある。そして、それを全開にして二部屋を繋げてあるのか…?やばいっしょ…。この部屋の人数は三桁いるかいないくらいか?リボンの色からして全員一年生だと思う。…なんか見覚えある奴もいるし…。
「修斗様〜!」
ヒラヒラと手もこっちに向けて振っている子がいる…おいおい、なんで君はそっちサイドなんだ…楽しそうだな。
「いや〜城ヶ崎さんにだいぶ手伝ってもらって助かったよ〜」
「…手伝ってもらったのかよ…あんま城ヶ崎さんに迷惑かけるなよ?」
「かけてないよ?ちょっと城ヶ崎さんに相談しただけだよ?そしたら、ノリノリなって部室の改装とか”これ”で色々やってくれたよ」
そう言って人差し指と親指で円を作った…結局世の中お金みたいですね。当の城ヶ崎さんはというとめっちゃくちゃニコニコで、期待を隠しきれない表情をしていた。目に星が浮かんでキラキラしてるんだけど…。
コンコンッ
そんな突拍子もない事をしでかす春奈ちゃんと話していると、不意に扉をノックする音が聞こえた。時計を見ると5時を指していた…時間的に鈴木さんかな?
「すみません、鈴木なんですけど…入っても大丈夫ですか?」
「…はいこれ持って。みんなも準備してね!」
「なになに…クラッカー?」
やっぱりそうだった。春奈ちゃんは鈴木さんの声が聞こえるや否や、俺と雪にクラッカーを渡して全員に指示を出した。
「入っていいよ〜」
「失礼します…きゃあ!」
未だ俺と雪は困惑している。けど、流石にここまでくれば意図は理解できるから…まぁ、怒られるとかそこら辺考えるのは後ででいっか!今はみんなで楽しもう!
パンッ!!!パンッ!!!パンッ!!!
「友恵〜今日はお茶会たぜぇ〜!!いえぁ〜!!ふぅ〜〜!!」
「「「いぇーい!!」」」
いや、楽しむとは決めたけど、春奈ちゃんがぶち上げすぎてるんだけど!?さっきまでの春奈ちゃんはどこいったの!?テンションバグってない!?みんなもテンション高いし!?
「私言ったよね…一緒にお菓子を食べてお話ししたらもう友達だって!だから、みんなでお菓子食べてお話しよ!」
「いや、言ったけどさぁ…全部のスケールデカすぎない!?」
ボケてんのか真面目なのか分からないけど、そのせいでツッコミ乱舞が止まらないよ…。100善意でやっているだろうからあんま無粋なことも言えないし…ほら、鈴木さんもフリーズしてるよ。
「ハッ…えっと〜これは?」
数秒間固まった後、少しずつ脳みそが莫大な情報を処理しようとしているのか、戸惑いながらも言葉を紡いだ。情報が多すぎるよなぁ…めっちゃわかる。
「120%の依頼解決法、お茶会バージョンだよ!」
「えっと…つまり、昨日の依頼の続きって事ですか?」
「そゆことだよ!というわけで、こっちに座って!」
「わ、分かりました…!」
春奈ちゃんに手を引かれ適当な空いている席へ鈴木さんを案内する。なんというか、鈴木さん戸惑いながらも嬉しそうだ。こういう高校生活を夢見てたのだろうか…流石にこれはオーバーか。とりあえずよかったよか…「修斗くんはこっちきて!」ん…?
「ん、俺?」
そう言って案内された椅子はなんか他の椅子より高くて、全体の中心に位置するキラキラとデコってある椅子だった。…いや、なんで?
「それじゃあお茶会始めよう!修斗くん、始まりの音頭お願い!」
こ、こいつやったな…。春奈ちゃん結構ずっとおれらといるから友達他にあんまりいないと思ってたんだよ。だから、どうしてこんなに集められたのかも疑問に思ってた…。もちろん俺らいつメンの中では1番多いけどね。この感じ、多分だけど…面白いもの(俺)が見られるよって感じで集めたっしょ。まぁさ、ちょうどチヤホヤされたかったから全然いいけど…いや、むしろ嬉しいんだけど…後でからかってやろ。
「どうしよっかなぁ…」
「そんな気負わないで、普通でいいよ普通で」
しれっと隣に座っている元凶春奈ちゃんがいた。いやいや、君が俺をダシに使ったんでしょ。ちょっとこの子をわからせたくなってきたな…とりあえず耳元で囁いて軽く意地悪するか。
「…後で2人っきりでみっちりと”話し合い”しようね…」
「…ひゃんっ…く、くすぐったいよぉ〜」
…なんか、ちょっと嬉しそうだな。まぁ、とりあえずここは後回しにするとして…普通の音頭やりますか!
「…それじゃあみなさん!コップ手に持って、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!!!」」」
こうしてお助け部初の、120%依頼解決法が始まった。…いや、120%どころか200%行ってるって…。
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