やらかさなかったろりろりさん

 

 

 

 

 

「いやさ、流石にやりすぎたと思ったけど…元はと言えばあんたが悪くない?」

「いや、普通にやりすぎだと思…「はぁ?」…そうだなぁ、俺もからかいすぎたかな」

 

 やだこの子怖いんだけど、やっぱ顔が綺麗な分迫力がやばいよね…。めちゃくちゃまつげ長いし二重もくっきりとしてて、濃すぎず薄すぎずなナチュラルメイク…いや、顔めっちゃ好きだわ。

 

「なんかちょっとキャラ変わってません?」

「あぁ〜これな…こっちが素なんだよ。高校デビューってやつ。もうバレちゃったけど」

 

 怖いって、絶対元ヤンキーじゃん!地味目で真面目な生徒から金を巻き上げて、毎日喧嘩三昧で地域を牛耳ってたタイプのやつだ。こういう怖い人には下手にいきましょう。

 

「あんた変なこと考えてない?」

「いえ、滅相もございません」

 

 ヤンキーで猫被っててそれにエスパーかよ…。あと、ここの高校は女子の偏差値70くらいあるからめちゃくちゃ頭いいんだろうな…。まったく、人は見かけによらないな。

 

「とりあえず今日のことは2人とも忘れよう」

「そうっすね」

「その〜あんたの…ち、大事なとこ見ちゃったのは私も頑張って忘れるからさ…」

「そうしてくれるとありがたいです」

 

 マジでそうして欲しい…なんか、冷静になってくるとめっちゃ恥ずかしいんだけど。クラスメイトに事故…事件ででおっきくなってるとこを見られるなんて…!

 

「てかさ、なんで敬語なん?」

「本能的な恐怖で敬語使ってました」

「は?なにいってんのか分からないんだけど。そもそもタメだからいらないでしょ…」

 

 そうなんだけどそうじゃない。でもあれか、今後3年間一緒に過ごすって考えたら仲良くなっておくに越したことはないか…。

 

「確かにね、同じクラスだし」

「…同じクラスに男がいるの本当に驚いたよ。あ、そういえば自己紹介してなかったよね?私の名前は山田雪、よろしく〜」

 

 …名前知らなかったな…。さっきまでのキャラだから会話下手そうに感じたけど、この子本来はめちゃくちゃギャルな気がする…。会話がスムーズすぎる、これは…プロだな。

 

「俺は佐藤修斗だ、雪よろしく!」

「うし、よろしくねっ修斗!」

 

 なんかちょっと感動してくるわ…。まだこの世界来て3人としか会ってないけど、そのうち2人はちょっと男に対して飢えすぎてるというか…多分それがこの世界の普通なんだろうけど。その中で前世の男友達みたいな、ラフで気の置けない関係を築けそうな子がいるなんて安心してくる。正直のところ女性しかいないところに男1人でって不安もあったからなぁ…。1人こういうタイプがいたなら、もっと沢山いるだろうし。

 

「それて、修斗はなんで学校来てんの?」

「え…?…それは〜どういう意味…?」

 

 …前言撤回、早速友情が崩れそうなんだけど。

 

「あ、あれよ変な意味じゃないよ。男の子って基本的に学校来ないじゃん、とりあえず籍とか入れとくだけみたいなんで。実際小中で男の子見たことないし」

「あっ〜そういう意味ね…えぇ、男って基本的に学校がないもんなの!?」

「いや、そうでしょ。逆に小中行ってたの?」

「そりゃ行ってた…訳ないよね、そうだそうだ。いや〜今日寝不足でちょっとボケてたわ…ごめん」

 

 あっぶね〜めちゃくちゃ正直に話しそうになった…。これ、さりげなく聞かれたら普通に気づかず喋っちゃいそう…。もし、喋ったら良くて実験台で最悪は…うわ、マジで気をつけないと。

 

「しっかり寝ろよ〜睡眠は大事だからな。…あと、男なんだから体は大切にしろよ」

「…あははそうだよね、ありがと」

 

 やばいな…俺の思考と癖が当たり前だけど前世すぎるし、俺自身の危機管理能力の無さがここまでとは。まぁ…この段階で気づけただけ良かったか?バレても雪だしな。そんな今後の対策を考えていたら後ろから音が聞こえた。

 

 ガララッ

 

「あ、雪ちゃーんおはよ!」

 

 扉の開ける音と同時にそんな元気な声が聞こえてきた。振り向くとそこには、栗色の髪の毛を肩につくかどうかの長さに切りそろえたみるからな元気な子がいた。リボンも雪と同じだから多分、タメなんだろう…。いや、なんで多分かっていうのは…ちっちゃい!めちゃくちゃちっちゃいの。つるーんすとーんぺたーんって感じのろりなのよ!

 

「…ん、おはよ」

 

 …え、ちょっと待って…雪、お前そのキャラで行くの!?俺と最初に言葉を交わしたあのキャラで行くのまじかよ。あれか、高校デビューとか言ってたもんな…ククッやばい、笑っちゃいそう。

 

「雪ちゃんは今日もクールだねぇ〜春奈も嬉しいよ」

「そんなことない…春奈抱きつかないで」

 

 …フッ…なんかあいつ抱きつかれて嬉しそうなんだけど。頑張って表情に出さないようにしてるのくそおもろいし。ククッ…あ、目が合ったなんか口パクしてるな…なになに、『私の秘密喋ったらまじで◯す…』すぅぅ〜人を笑うのは良くないと俺は思うんだよね。

 

「してして、こちらの雪と話していたコスプレっ子はどなた?」

「…コスプレじゃない。本当に男の子の修斗」

 

 お、こっちにも会話が来た。とりあえずさっきので学習した、この世界で揶揄うのは良くない。めちゃくちゃ楽しいけど後が怖くなる…だから、揶揄うのはたまににしよう。

 

「…まじですか?」

「まじ」

「どうも、紹介された男の子の佐藤修斗です!春奈ちゃんで良いのかな?クラスメイトとして1年間よろしくねっ」

 

 イケメンスマイルもつけて…完璧だ。本当にさっきからこうすれば良かったわ。余計なことはしない方が良い、あとで反省しときます。

 

「ええええぇぇっっ!!!」

「春奈うるさい」

 

 春奈ちゃん声でかいって…まじで鼓膜破れるぞ。これが普通の反応なんだろうか?今までがイレギュラーすぎて分からないんだけど…。まぁ、とりあえずいつも通りに…顔大好きです!

 

 

 

 

 

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