第2話 口実のバスケ(1)
あの日からざっと1週間経った。
ウチはクラスでは一匹狼的な感じでどこのグループにも入っていなかった。
たまに爽也が情けなのか知らないが話しかけてくることはあったが適当にあしらっていた。
爽也の幼馴染の問題児はあれから学校に来ていない。
そのためか学年からは神秘的な感じで謎の生物扱いされていた。
女子たちはその問題児のことになるとキャッキャキャッキャしている。
うるさいクラスは嫌いなためウチからしたら最悪である。
『あ、神楽シャーペン落としたで』
あー落ちたシャーペンに気づかなかった…。
ありがとうといいながら受け取ろうとした時、ウチはその子をガン見してしまった。
「…燈じゃん」
『あはは、バレてもうたかぁ。ボブやったから気づかんかったやろぉ』
「まじかよ高校同じなことにも驚きなんですけど」
『ほらバド部強いやん、ここ。たしかバスケ部も強いとかなんとか言うてたなぁ。』
「うん、それでウチここ来たんだよね」
『せやったかぁ、じゃあここ来た理由似とるやんけ』
この超関西弁の子は中学が同じだった角江燈(すみえあかり)。
両親も生まれも大阪で、仲の良い友達とか知ってる友達対してはバリバリ関西弁で接してくる。
ウチとは中学の時、委員会が3年間同じだったことからウチに対して関西弁で接して来ているんだと思う。
彼女はバドミントンがめちゃめちゃ強い。大会にも出ていた。
彼女は頭もいいからもっと偏差値が高い高校に行けたと思うがバドのために来たのなら納得できる。
なんせこの高校は偏差値高い子とか勉強ができる子よりも、どちらかというとスポーツや部活に専念する子が来るような高校だからだ。
まぁ最近は頭のいい子が来ていたりもするらしいけど。
『ほな、席戻るわー。またいつかマクド行こなー』
「いいよー。またいつかね」
やっぱ話しやすい子だなー。声は高めだけど耳が痛くならない。
前に文化祭準備の終わった後ついででマクドに行ったことがあるが、そのとき話しやすい子だなぁと思った。
それに普段あんまり騒がしくない子だ。
まぁ騒ぐときはめっちゃ騒いでる子でもある。
そのときの燈は超うるさいらしい。
関西人だから仕方なさそうだけど。
『…氷室が来た!』
クラスが一気にザワついた…と思ったら一気に静かになった。
『ねぇ。』
その声が発せられた瞬間ウチは凍りついた。
なぜなら氷室がウチの目の前に立っていたからだ。
…なになになに。
『…ねぇ。…あんた、バスケ得意?』
「…はい???」
『対戦してくれる?してくれたら…』
「お断りします。」
『…あぁ俺とじゃないよ。…なんか面倒な女の子が言い寄って来て、俺と一緒で自分もバスケできるとか言ってるの、本当は出来ないと思うんだけどね。』
「…。」
『だから君さ、その子と対戦してみてくれない?』
「嫌です。」
『…。』
…ああ痛い。女子の視線が刺さる。
氷室と仲良いあの子誰?とか言われてるよこれ絶対…。
一刻も早く逃げ出さないと…そう思って立ち上がった瞬間、ウチの体が宙に浮いていて…私はそいつに担がれていた…
っていやいやいや、なにやってんのこいつ?!
『ごめんね、時間ないの。担いでくね』
「ちょ、ふざけんなよ…この問題児っ!!」
入学1週間目。
ウチはさっそく面倒事に巻き込まれた気がした。
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