第16話【訪問!宍嶋家】(変化する関係性編)

猫成ねこなりくん!おはよう!」

「お、おはよう、夏梅なつうめさん」

宍嶋しししまさん、まだ来てないの?」

「俺は見てないけど…」

そういえば、いつもより遅いな。

大体、俺が教室に着く頃、ライラさんは一限目の準備をしてるんだけど。

「そうだ、夏梅なつうめさん。日曜日はごめんね。折角、誘ってくれたのに」

「気にしないで。でもどこに行ってたのか気になるな」

「え、ま、まあちょっとした用事があって」

キーンコーンカーンコーン

「あ、予鈴よれい鳴ったね、また話そうね、猫成ねこなりくん!」

「うん」

あれ?ライラさん、遅刻かな。

珍しい…。




「おはようございま~す。朝礼の前に業務連絡から。今日は宍嶋しししまさんが体調不良でお休みです」

ライラさん、LIVEで遅くなったから風邪でもひいちゃったのかな…。

「そこで猫成ねこなりくん」

…お、俺?

「は、はい」

猫成ねこなりくんのお家、宍嶋しししまさんと同じ方面だったよね?」

「そうですね」

「今日出た課題をさ、持っていってあげてほしいんだけど」

「はい、わかりました。…あ、でも、久住くずみ先生!道、途中までしか知らなくて…」

「だったら、私がついていきます」

「あら、夏梅なつうめさん、いいの?」

「はい!私、おうち知ってるので!私と猫成ねこなりくんで、宍嶋しししまさんをはげましてきますね!」




放課後、ライラさんに渡す荷物をまとめて、俺と夏梅なつうめさんは彼女の家を目指して歩いていた。

「でも、家知ってたの意外かも、2人って仲良いの?」

「ま、まあ、なんとなく行ったことがあるかな~ってくらいかな」

流石、夏梅なつうめさんだ。

普段、あまり人と話しているところを見ないライラさんの家にまで行ったことがあるなんて。

「あっ!ここよ、ここ!この一軒家!」

おぉ…!!

ライラさんの家、家庭菜園してるんだ!!

前に世話焼きって言ってたお姉さんの趣味だったりするのだろうか。

「早速、インターホン押しちゃいましょ!」

ピーンポーン

…………。

ピーンポーン ピーンポーン

「出ないね、体調不良なら家で寝てると思ったけど」

ガチャ

「あなたたち、どちら様?」

!!

扉を開けた女性は、ライラさんに目鼻立ちがそっくりだが、彼女よりも大人びた妖艶ようえんさを身にまとっており、一目で彼女のお姉さんだとわかった。

「あ、あの!私たちは宍嶋しししまさんの同級生で、彼女が今日、体調不良で休んだって聞いたので、課題を持ってきました」

「あら、そうだったの。あ、よかったらお茶していかない?」

俺と夏梅なつうめさんはその女性の雰囲気にまれて、少しだけお邪魔することにした。




「はい、お待たせ~。改めて蕾来らいらちゃんのお姉さんをやってます。宍嶋しししま紗菜いさなです」

紗菜いさなさんが紅茶とクッキーを用意してくれた。

夏梅なつうめ果耶かやと申します!お姉様!!」

「はじめまして…、猫成ねこなり茂道しげみちです」

「2人とも固くならなくていいのよ、…猫成ねこなりくん、へぇ、君がね~。昨日も蕾来らいらちゃんと遊んでくれたんでしょう?ありがとうね」

「ぶーーーーーーっ」

夏梅なつうめさん!!??あっ!お茶がみ込んでる!早くかないと!!」

「ケホッ、ご、ごめんなさい、私はしたない真似を」

「いいわよ、ふふふ、可愛いわね」

「わ、私なんて全然そんな!!お姉様の方こそ!!」

「うふふ、お上手ね。タオル持ってくるわね…」

ぎわ紗菜いさなさんは俺に向けて微笑ほほえんだ。

「あなたも、可愛いわ…」

ライラさんと同じように全てを見透みすかすかのような、んだ瞳で、じっと見つめられて思わず目をらす。




夏梅なつうめさんが紗菜いさなさんにうながされて、服を着替えた。

制服は速乾そっかん機能が搭載とうさいされた洗濯機に任せて。

「まぁ、似合うわ~!」

「わぁ!ホントですね!」

「お姉様…、猫成ねこなりくん、照れるよ…えへへ」

ファンシーなうさぎが全面にデザインされた、あまりにもかわいらしいパーカー。

こんな人を選びそうなものを着こなせてしまう夏梅なつうめさんもすごいが、驚いたのはこれがこの大人の魅力溢れる紗菜いさなさんの普段着だということだった。


…あ、まずいまずい。

本題に入って今回の訪問の目的を果たさねば…。

「それで紗菜いさなさん、ライラさんの体調は?」

「ライラさん呼び?!!?…あ、コホン、なんでもないです…」

蕾来らいらちゃんは元気よ」

「よかった…!回復してるんですね!」

「いえ?そもそも蕾来らいらちゃんは体調不良じゃないわ」

「……え?」

「体調が悪いのは母の方だから」




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