第12話【グッズ交換】(LIVE編)
ほっぺたが痛い…?
なんだ、気のせいか。
ッ!いたいいたいいたいいたい!ライラさん!?
「お~い、もしも~し?起きろ、着いたぞ」
「…ん、ふぁあ、寝てた…」
「あんたもかわいい顔すんじゃん」
「はい?!」
「目、覚めたみたいだな。降りよう」
びっくりした…。
なんだ、寝ぼけた俺を起こすためか。
昨日、興奮してなかなか寝つけなかったからな。
バスを降りながら、俺、どんな顔で寝てたんだろ…と考える。
ま、まあ!これで心置きなくLIVEを
「あ、いたいた!ライラさん!」
「お、グッズは買えた?」
「うん、ばっちり!欲しいものが多すぎて、迷っちゃった」
「何を選んだんだ?」
「えっと…、そうだ!そこの公園で開けようかな」
公園のベンチに座り、袋から小箱を取り出す。
「じゃん!買ったのはこちら!LIVE会場限定ステッカーを4個!!」
今日は親に頼んでお小遣いを前借りしてきていた。
「ランダムだから被らないといいな~、メンバー4人全員順番で置いてあったならコンプリート狙えるはず!よし、いきます!!」
開封結果は…、ギター
被ったーーーーーーーーー!!!!
「惜しかったな」
「うん…、あとドラムのランデさんだけだったのに、くぅ…悔しい…」
「……ちょっと待っててくれる?」
そう言うと、ライラさんはさっと会場の方へ行ってしまった。
お手洗いかしら。
「お待たせ、結構、並んでた…」
「こないだの動物園もそうだけど、混むんだから、もっとあっていいよね」
「…ん?動物園?」
「…トイレの話でしょ?」
「違う!あんた、デリカシーがないぞ!これを買いに行ってたんだよ!」
「ごめん…、って!ステッカー!」
「1個だけね、あたしは運がいいから」
彼女は小箱を丁寧に開けて中身を確認する。
「ほら」
「…ランデさん!!」
「じゃ、さっき被ってたわざかみさんと交換な」
「え?いいの!?…もしかして、俺のためにわざわざ?」
「別に…、あたしヴォーカル以外あんま知らないし。まあ、たまにはこういうの買ってもいいかなって」
ステッカーを交換するときに、一瞬触れあった手から彼女の体温が伝わる。
その手は冷たいけれど、心は本当に温かい人だ。
「ありがとう…。やった!アネクドートロスのメンバーコンプリートだ!!」
「…よかった」
ぐぅぅぅぅぅ~~~…
コンプリートの喜びと彼女の温かさに気が緩んだせいだろうか、爆音で腹が鳴った。
「…あ、あ!あああ!!」
「あはははは!昼ごはん食べに行きますか?…
いたずらっぽい語尾の上げ方をしてくる彼女に、俺の中で何かが壊れそうになる。
「赤くなってる、あんたってホントにかわいいな?」
「思ってないくせに…」
むう…。
いつか仕返ししてやる…。
その後、俺たちは期間限定でトロスとコラボ中のカフェにてお昼をいただいた。
コラボメニューも豊富で、メンバーの好物や楽曲モチーフの料理をいただくことができるので、ファン
「おいしそう~…」
「じゃ、あたしはこのハンバーガーにしようかな」
「俺は…う~ん、悩ましいなぁ。ミルフィーユか、パンケーキか、ティラミスも捨てがたいし…むむむむ」
「…いや、デザートすぎるだろ。あんたって甘党だったのか?」
「つい、このキラキラと光ってるかのような色味に吸い寄せられて…」
「
「ひどい!!」
迷った末に、"シャワルマ"という名の中東生まれのサンドイッチと、シンプルなサラダを注文した。
"シャワルマ"は【Shakin!】という曲の歌詞に登場していて気になっていたのだ。
「あ!【Shakin!】だ!」
食事が届くと同時に完璧なタイミングで店内BGMが【Shakin!】へと移り変わる。
『Sha Sha Sha Sha Shakin!
トロスの楽曲の中ではメロディや語感を楽しむ部類の歌だが、俺的には歌詞の意味不明さがお気に入りだ。
「ごちそうさまでした!美味しかった~!曲もおさらいできたし満足!」
「ごちそうさまでした。カフェでゆっくりしたから、なんだかんだいい時間だな、どうする?」
「あ、そうだ。忘れない内に…、ライラさん、はい、これ」
「ん?なんだこれ?」
「
「折り紙か!これは…猫だ!!器用だな!」
「あ、一応、ライオンらしい」
「…ごめん。お礼言いに行かなきゃだな」
「そうしてくれると、あいつも喜ぶよ。さ、入場しちゃおっか!」
間もなく時刻は16時20分。
LIVEは16時入場開始の17時開演。
初めてのアネクドートロスのLIVEだ…。
彼のおかげで俺は…。
読んでいただきありがとうございました!
面白い!続き読みたい!ヒロインかわいい!
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