第10話【マタタビとネコ】(夏梅果耶_参戦)

脳の処理が追いつかない…。

今、俺は告白されたのか?

人生初の告白を…された…?

つい先日、PINEに初めて家族以外の友だちが増えたばかりのこの俺が……?

あんなキラキラした人に?

ぽけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…おい!おい!!」

「はっ!」

「あんた、大丈夫か?」

気づいたらライラさんが俺の両肩を掴んで、揺さぶっていた。

随分遠くまで意識を飛ばしてしまっていたようだ。



「私、猫成ねこなりくんのこと、好きだから!!」

好きだから!!好きだから!!好きだから!!

脳内で夏梅なつうめさんの声がこだまする。

ぽけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…ちゃん!お兄ちゃん!!」

「はっ!」

「お兄ちゃん、どうしたの?」

茂道しげみち、あなた具合でも悪いの?」

千歌ちか…母さん…。なんともないよ、はは」

「そう?なら、洗い物しちゃいたいから、早く食べ終わってちょうだい」

「うん、あ、おいしい」



好き…?すき?

……隙?

あ!ああ…!なんだ!

俺ってやつは自意識過剰なんだから!まったく!

隙だらけでいつでも闇討ちできるよ!的な話を、いいように解釈かいしゃくしたんだなあ。

…ぽけーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピロンッ!

「はっ!PINE!」

「【なつうめ】…、夏梅なつうめさんからだ!!」

ライラさんと同じで名字ひらがなのアカウント名なのか。

どんな内容が送られてきたのだろう…。

『猫成くん。今日は突然、告白しちゃってごめんね。』

告白!

『でも、あれが私の本心だから。自己紹介のときから一目惚れしてました。』

本心!一目惚れ!!

『ただ、付き合うとかはまだ考えなくていいから…。今週の日曜日は私とお出かけしてくれないかな?お試しだと思ってくれていいよ。』

付き合う!お出かけ??お、お試し!!??

ぽけー…いや、ダメダメ!!

っていうか、えっ、これ本当に俺の端末たんまつで合ってるよな?

クラスの女子から友好的に接してもらうことなんて、前の学校では一度もなかったのに。

ライラさんとのことといい、急にどうしてしまったんだろう?

…ただ、日曜日は……。

「あんたを誘って正解だった」

ライラさんとのPINEでのやりとりを思い出す。

『ごめん、夏梅なつうめさん。日曜日にはもう他の友だちと遊ぶ約束をしてて。』

友だち…、なんて言えるようになって…俺。

その日はライラさんと俺で、大好きなロックバンド"アネクドートロス"のLIVEに行く予定が入っていた。

『そうなんだ!無理言ってごめんね、こっちが後からなんだもんね!…またPINEさせてね!学校で向き合うとちょっと照れちゃうから』

『うん!あ、その…好きって言ってくれてありがとう!!』

なんて物分かりのいい人なんだ。

…照れちゃうから?それ、俺がなんだけど。

ぽけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーzzz...




「ぐぬぬぬぬああああぁぁぁぁ!!!!!!!」

私とのデートより価値のある約束って何よ!!

どこの誰がそんな!

うぅ…。

「学校一の美少女、かっこ宍嶋しししまさんを除く、かっことじの私が!!誘ってあげてるっていうのにさあ!!!ふんっ!!」

…あ、もうこんな時間。

ベッドに寝転がってPINEしてる場合じゃない。

今日のぶんの美顔ルーティンやらなきゃだ…。

ぐすっ…、宍嶋しししまさん…。




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