第30話 主人公たちを知らない外国の方の話 ~ポーの話 その3~

 ポーは良くも悪くも分からないことに関しては質問したり、調べたりする。


『疑問は目的遂行の邪魔』と考えているからだ。


 だからと言って正義の味方でもないので主からの命令ならば請け負う。


 プロとかアマチュアとかプライドなどはない。


--やるべきことをやる


 

 ただ、一人例外がいる。


 石動さんの妻、ナターシャさんだ。


 彼女は、国内の内戦で孤児になったポーを拾い、一緒に育った。


 いわば、初恋の人であり真の主なのだ。



 ナターシャさんは目下、猪口たちの庇護(というか、日本政府)しているが、母国からは狙われている。


 夫である石動肇さんにはポーは敵対心を持っている。


 だが、自分も相手も一人で国と戦うのは無理と限界がある。


 

 また、血で汚れた手を握って微笑んでくれるナターシャさんから「彼をあるじにしなさい」と指名された猪口直衛は徐々に視力を失いつつあるポーからすれば非常に優れた『目』でもある。


 ただ、彼は所詮、日本政府側の人間で油断はならない。


 無茶は言わないが、彼らのノリなどにはついてけないときがある。


 でも、命令とあらば「ナタニエフブルー」になる。

 

 サツマイモ色のダサいジャージにホッケーマスクを青く染めただけのシンナー臭い仮面をつけるのも大丈夫。


 

 やべぇ……見てぇ……


 変なマスクをかぶったジャージ姿の英国紳士……

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