第13話 主人公の話 ~平野平正行 その4~

 もう少しだけ、主人公である正行の話をしよう。


 正行の最大の武器とは何だろう?


 身体面では木刀も拳銃も、それなりに使えるが上には上がいる。



 精神面はどうだろう?


 もろに子供である。


『純粋』といえば、たぶん、下手すると現代の子供より純粋だ。


 良くも悪くも打算がない。


 

 これらは前に書いた。


 正行には他にも他のキャラクターにはない特技がある。


『幸運』である。


 何も突然相手がトラブルになって全滅するとかではない。


 色々な人に出会い、強くなれるチャンスが来る。


 打算もないから人から慕われやすい。


 本人的には「何で?」なものも競争社会においてはかなり貴重な生き方をしている。


 それを周りも許している。



「周りを観ろ」とは言われるが、それは現場での躊躇や安易な同情を非難しているのであり、正行の生き方は誰も咎めない。


 すでに二十四歳という年齢もあるが、それ以上に『自分たちが捨てなもの』を正行は大切にして生きている。


 そして、それらを持って裏社会や闇社会に挑むのである。



 周りから嘲笑されたり馬鹿にされることもあっても『大事なものは大事』と言える。


 これも正行だけの強さかも知れない。



 無敵のヒーローではない。


 何か突出した特技があるわけでもない。


 

 でも、やっぱり主人公なのである。

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