第12話 主人公の話 ~平野平正行 その3~

 さて、ここからは、具体的に正行の解剖をしていこう。


 私が正行に、主人公に求めるのは『共感』と『憧れ』だ。



 人が本を読むという行為は、自分のどこかに欠けた何かを補完をしたいからであると考えている。


 正行は欠けたもの、ようは、人の弱さや脆さに鼻でせせら笑うようなことはせず、それに共感したり、寄り添ったり、時には尊敬できる素直さがある。


 だが、それは『人間』の邪悪さなどを知らない、無知の証明でもある。



 だから、正行はたくさん傷つけられる。


 裏社会の中で、本当の意味で人を救う意味を体で感じ考える。


 

 同時に、『憧れ』というのは、ある意味では「ヒーロー像」に近い。


 古典的なアニメなどであった自分の思った正義を貫ける勇気と優しさだ。


「みんなのために死んだっていい」


 誰かのために命を投げ出す。


 そんなことを「当たり前のこと」として平然と行う。


 それが、他の利害などを考える大人にない、幼いけど理想の「ヒーロー像」だ。



 なのだが、実際、作中の正行は、濃いキャラクター(苦笑)に囲まれ、どこか色味というか個性がない。


 モブのような存在である。


 もう少し、何か特徴的なものがあればいいのだけれど、あまり突飛なものだと嘘くさくなる。


 強さは父親である「秋水」という存在があるので、無理だし……


 頭も「石動さん」と「猪口」という存在も大きい。



 正行の個性ってなんだ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る