56話 バトル部門決勝戦
フェンリルは格上とされるブラックドラゴンを無事撃破。
2回戦へとコマを進めた。
「ケリュちゃん! 【
「キュイイイン!!」
ノナの友達のエム&ケリュネイアも、無事に2回戦へと進む。
その後のフェンリルは特に変わったこともなく、特に苦戦することもなく決勝まで勝ち残った。
エム達もかなり強く、少しは苦戦した場面もあったが、かなり余裕のある戦いで決勝へと進んだ。
◇
そして、決勝戦。
「決勝で会えたね!」
「うん! ケリュちゃん、絶対優勝しようね!」
「キュイイイイイン!!」
闘技場で、ノナとエムは離れた位置から互いを見つめ合い、言葉をかわした。
『とうとうこの時が来たな!』
フェンリルはどこか燃えている。
先程までは、どこかつまらなそうな表情のフェンリルであったが、それだけケリュネイアが強い相手だということだろうか?
とは言っても戦闘において、今回テイマーであるノナにできることはない。
唯一できる指示も必要ないと言っていたので、フェンリルには頑張ってもらうしかないだろう。
「なんだか、楽しそうだね!」
『ああ! 我と対等に戦える奴が目の前にいるからな! ブラックドラゴンも指示がなければ互角の戦いができたのだろうが、勿体ない』
確かに、アニメ版ポッケモンの主人公よりも大胆な指示だった。
ちなみに、この時代では主人公が交代したらしく、今は違うらしい。
「では、両者準備が完了したということで、試合開始です!」
審判の合図と共に、試合が始まった。
『やるな!』
「キュイッ!」
フィールドで、フェンリルとケリュネイアが何度も何度もぶつかり合う。
まるで、この前の戦いの再現のようだ。
「ケリュちゃん! 奥の手を見せようか!」
「キュイッ!!」
奥の手とは……?
ノナがそんなことを考えていると、ケリュネイアの体が緑色に光る。
そして、ケリュネイアの代わりにそこにいたのは、1人の緑髪のエルフの少女であった。
ロングヘアであり、衣装も緑が基調の、身動きがしやすそうなものである。
『人化か、それがお前の奥の手か?』
『ああそうだ! お前をぶちのめす為の私の新たな姿だ!』
見た目に似合わず、口が悪い。
今までキュイイインと鳴いていた時も、内心はこのようなことを考えていたのだろうか?
『ならば我も龍化だ!』
フェンリルは力が戻って来たのか、6枚の翼を持つ銀色の龍へと姿を変えた。
『今だっ!』
エルフは弓……ではなく、銀色の拳銃を取り出し、フェンリルに向けて弾丸を発射した。
「そこは弓じゃないの!?」
と、ノナは思わず突っ込んだ。
『そんなもの効か……ぐわああああああっ!』
翼で銃弾を弾こうとしたフェンリルであったが、弾き返せずに地面へ落下した。
「フェンリル!」
ノナは思わず、フェンリルへ叫んだ。
『ぐっ! どういうことだ!』
『ヒャハハハハハハ!! 今の弾丸は特殊でな!! 人間以外にはガード不可って奴だ!!』
「ちょっと、ケリュちゃん! バラしちゃ駄目だよ!!」
『るせぇ!! 勝ちゃいいんだよ、勝ちゃ!!』
ということは……
「フェンリル! こっちも人間になればいいんだ!」
『そうだな。そろそろ飽きた所だしな』
『飽きただとぉ!?』
『ああ。お前がバラさなければ勝負は分からなかったが、タネが割れた以上、お前に勝ち目はない』
『へっ! ホラを吹くのもいい加減にしな!』
ここで、フェンリルの体が銀色に輝く。
そして……
『仕方がないな……本来は戦闘に使う形態ではないのだが』
「えっ!? かわいい!!」
小学5年生くらいの銀髪ロングヘアの少女が立っていた。
メイド服に刀を携えた、現実であれば違和感バリバリな格好だが、ファンタジーな世界であれば一般的かもしれない格好である。
ノナと同じ銀髪なので、見る人によっては姉妹に見えなくもない。
『ヒャハハハ!! 嬢ちゃん!! 嬢ちゃん!! 私に勝つ気かい? アッハッハッハ!!』
『残念だな。冷静さが欠けたお前など、我の相手ではない』
『ハッタリご苦労さん!! じゃねーんなら、やってみろや!! 嬢ちゃんには無理だろうがな!!』
ケリュネイアはフェンリルに向かって弾丸を発射する。
が……。
『それくらいの動き、見切れるわ!』
『な、何ぃぃぃぃぃぃぃ!?』
フェンリルは刀を抜刀すると、弾丸を弾きながらケリュネイアへと突っ込んで行く。
『ば、馬鹿な!?』
『お前が人化もせず、冷静に戦っていれば、正直我も危なかった』
フェンリルはケリュネイアを刀で斬り付けた。
『ぐああああああああああああああああああっ!』
『終わりだ!!』
フェンリルは龍の姿へ変身すると、刀での一撃で宙へと舞ったケリュネイアに口を向ける。
そして、そこから白銀の光線を発射した。
『くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』
ケリュネイアのHPゲージは一気に削られ、0となる。
その衝撃で人化は解け、元の姿へと戻りながら、エムの元へと吹き飛んだ。
「ケリュちゃん!」
「キュイ……」
ケリュネイアは立ち上がると、エムと抱き合う。
「頑張ったね!」
「キュイ!!」
ケリュネイアは可愛らしく鳴くと、エムと一緒に闘技場の中央へと向かった。
ノナも同じく中央へ行き、握手を交わす。
「ノナはやっぱり強いね!」
「今回私何もしてないけどね!」
会場から拍手と歓声が聴こえる。
戦いを見て感動してくれたのかもしれない。
「いい勝負でしたね! では、お2人にもう一度大きな拍手を!」
審判の声で、もう一度大きな拍手が巻き起こった。
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