51話 配信が盛り上がった!

 ミソギの言っていたことを考えると、チャンネル登録者10人は中々凄いことな気がする。

 ノナは久しぶりに配信をしようと、ダンジョンへと向かう。


 最近はドナルドMAD歌ってみたを投稿する為に収録などをしていたので、配信はしていなかった。

 もっとも、この頑張りはあまり報われなかったが、楽しかったので良しとしよう。


 今回配信するダンジョンは、立川駅付近のダンジョンだ。

 通称、立川駅ダンジョンと呼ばれているダンジョンである。


「皆! こんにちは!」


 今回の配信はこの前とは違う。

 前もって枠を取っておいたおかげで、既に4人の人が待機してくれている。


「同接4人! ありがとう!」


・4人で喜ぶとは

・十分凄いだろ。TUBEのおススメ機能舐めすぎ。基本同接数多い配信ばっかり表示されてるだけで、これでも普通に凄い


「凄い!?」


 ミソギの言った通りだ。


・凄いと言えば凄いけど、もっと多い人はいる

・それはそうだろ


「では! 改めて自己紹介的なことしちゃってもいいかな!? いいともー!」


 ノナはコメントが返答で来る前に、元気よく叫んだ。


・は?

・ノナおじお得意の懐かしいネタw何歳なんだよw見た目は中学生っぽいけどw

・出た! ノナさんの凍結コンボだ!

・これに関してはそこまで古いネタじゃないだろ? え? 終了して10年? 嘘だろ?


 皆ノリが良く、コメントをしてくれた。

 コメントは他の配信者のように多くはないが、おそらく皆楽しんでコメントをしてくれているのは間違いないだろう。


「ノナです! 中学生です! あ、中2です!」


・中2です(キリッ

・やっぱり中学生か

・俺はギリ小学生かと

・アラサーだろ


 確かにこの時代でのダンジョン外での肉体はアラサーだが、中身は中学生なので中学生ということで良いだろう。

 それにダンジョン内ではしっかりと元の時代の体になっている。


「なんか、初配信みたい!」


・だなw

・初配信のアーカイブ見たけど、コメントほとんどなくて笑う

・↑それが普通

・何も事前準備してないもんな


 ノナはツイックスをやっていない。

 理由は、なんとなくこの時代のSNSが合わなかったからだ。


 TUBEやニコ動もSNSに分類される場合もあるが、そこは気にしてはいけない。


「ダンジョン配信者たるもの、ダンジョン配信だけで勝負しようと思ってね!」


・ドナルドの動画はどうなの?

・再生数低かったな

・ああいうの寒いよ

・↑今のはアンチのフタヱノキワミ!?

・↑↑今のはアンチのフタヱノキワミ!?

・↑↑↑今のはアンチのフタヱノキワミ!?

・ぽまいらwwwコメント欄荒らすなwww

・寒くないノナおじとか、ノナおじじゃないわ


「おお! これだよ! これこそが! がインターネッツ!」


 ノナは思わず両腕を広げ、目を輝かせるようにして上を向いた。


・お、おう

・大体ここにいる奴ら、7chから来た奴がほとんどだからな

・多分ノナおじと同じくらいの年の子は来てないと思う

・コメント欄で初見バイバイになりそうww


「自己紹介って言っても、個人情報とか言い過ぎても良くないし、皆質問とかあればどうぞ!」


 ちなみにコメント欄が賑わっているが、同じ人が連続でコメントをしたりもしている。

 配信によってはマナー違反かもしれないが、ノナの配信ではOKだ。


・ファンネームとか決めないの?


「ファンネーム?」


・ファンのことなんて呼ぶかってこと

・例えば、肉小動物系配信者なら、草食動物とかね


 ファンの総称ということだろう。


「皆でいいんじゃないの?」


・決めない人もいるからそれでもいいと思う

・皆って呼んでもいいけど、なんか面白いの付けておくだけ付けておいたら?


「面白い奴か……」


・とびっきり寒いのを頼むぞ!

・なんか滑り芸人みたいな扱いされててワロタ


「えっと、何がいいんだろう? 面白いのねぇ……」


 そういえば、ミソギが言っていた。

 ダンジョン配信はとある媒体で流行っているということを。


 そこからいただくというのは、どうだろうか?


「ダンジョン配信って、Web小説でも人気のジャンルなんだよね?」


・そうだな

・流行っていると言えば流行ってる。なんで流行ってるんだ?

・読者に感じて欲しいことをコメントに書けば、伝えたいことをダイレクトに伝えられるからという説もある。後はネットが普及したことによって、お金持ちになったり強くなったりの他にバズるという新たな欲求が生まれた説。流行っているコンテンツを見れば、その時代で皆が何を求めているのか分かる。じゃあ、どうしてダンジョンを絡めるのかというと、Web小説では昔からファンタジーが流行っていた。つまり、Web小説界隈の人にとってのファンタジーは、日本人にとってのご飯のようなもの。そこに配信要素を合わせると、結果的にダンジョン配信になる。VRゲームでもいいんじゃないかという意見もあるけど、VRゲームはあくまで運営という神が存在する空間での出来事。例えばピンチになったからと言って、奇跡の力でまだ見ぬ力に覚醒といったことができない。ファンタジーはいくらでも後付けできる。ファンタジー最高。

・長文草


 何やら長いコメントが流れてきた。


「とにかく、Web小説で人気ってことなんだよね?」


・だね


「なら、ファンネームは【読者】とか?」


・寒さが足りない

・ノナおじっぽくもないしな


「じゃあ、【皆】でいいや!」


・結局シンプルになってて草

・ノナおじっぽくていいかもしれん

・つまりは、ファンネームは今の所なしと?


「そうなるね!」


 ファンネームを決めていない配信者もいるとは思うので、良しとした。

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