28話 世界滅亡の予言


7月31に世界滅亡らしいけど


1.名無しの探索者

どうよ?


2.名無しの探索者

どうよとは?

そもそもどこ情報よ?


3.名無しの探索者

ツイックスでトレンドになってた奴のことだろ?

結局すぐにトレンドから消えたけど、正直少し怖いな


4.名無しの探索者

>>3

SNS初心者?

そういう予言はよくあるだろ


5.名無しの探索者

>>4

いやだって、なんか怖いじゃん


6.名無しの探索者

ノストラダムスの大予言的なものだろ


7.名無しの探索者

明らかにそれ以下だろ

一瞬トレンドになったくらいで、すぐに落ち着いたし


8.名無しの探索者

俺も昔なら信じてなかったけど、今はダンジョンとか言うトンデモなものがあるからな

少しは信じてしまうというものよ


9.名無しの探索者

確かにダンジョンはトンデモだが……


10.名無しの探索者

世界滅亡するとして、何が原因なん?


11.名無しの探索者

ダンジョンが原因で滅亡するらしい


12.名無しの探索者

だからこそ怖いんだよな


13.名無しの探索者

でもどうしてダンジョンが原因で?

ダンジョンって、中で何をしても外への影響ないじゃん


14.名無しの探索者

今の所はな


15.名無しの探索者

怖いこと言うなよ






☆吉永 ノナside


 昨日は同級生であるミソギと、高校生探索者のエムと共に、海へと行ってきたノナ。

 今日も実は友達との予定がある。


「この格好結構暑いなぁ」


 いつものシルバーアクセサリー多めの私服に着替えるが、よく考えると夏には相応しくない格好かもしれない。

 特に黒のロングコートが色的にも熱を吸収し、中々にキツイ。


 だが、どこかの建物に入ってしまえば大体クーラーが付いているものだ。

 あまり心配しなくてもいいのかもしれない。


 それに、ダンジョンへ入ってしまえば、私服など関係なくなるので大丈夫だろう。

 そう、今日のメインはダンジョン探索である。


 というのも、実は昨日海から帰った後にミソギが探索者デビューをしたようで、良かったら色々と教えて欲しいとのことだ。

 だが、初心者なのはノナも同じなので、どこまで教えることができるか不安である。


 下手をすれば、ミソギ本人がネットで情報収集をした方が早いかもしれない。

 それでも誘ってくれたということは、一緒に探索をしたいという思いからだろう。



「やっほー!」

「相変わらずテンションが高いね」


 上野駅で待ち合わせをしていたミソギに右手を上げながら、駆け寄った。


「ミソギはクールだね」

「まぁね。そういえば私、実は嘘をついていたんだけど」

「急だね!?」


 実に急である。

 ただミソギのことだ。ノナを傷つけるような嘘ではないとは思うので、そこは安心だ。


「実は私仕事を辞めてね。今はニートなんだ」

「私と一緒だね!」

「うん。ノナは何か秘密ある?」


 秘密……ある。

 非常に大きな秘密が。


 しかし、今ここで話してもいいものなのだろうか?

 下手をすれば、精神病院送りとなってしまう可能性もある。


「ない……かな!」

「なるほどね。ありがとう」


 バレていなければ良いのだが。

 精神病院送りとなれば、当然ダンジョンにも入れなく、元の時代に戻る手掛かりも掴めなくなってしまう。


「そういえば、この前のアーカイブ見たけど、ノナ映ってなかったね」


 この前のアーカイブとは、おそらくエムの配信のことだろう。

 遠くからシルバーソードを投げただけだったので、姿は映っていない。


 デスゴブリンをノナが倒したということも、ネットの皆は知らないだろう。


「色々あってね」

「ふ~ん。ま、いいや。ただ、ダンジョン内のノナを見るのは初めてになるからさ」

「そういえばそうなるね! 私の場合はちょっと特別でね! 楽しみにしてて! 装備もかっこいいの買ったしね!」


 特別というのは、ダンジョン内限定で、元の中学2年生の体になるという点だ。

 ミソギには言っていないので、初お披露目ということになる。



 ノナとミソギは、デパートへとやって来た。

 この前も来たデパートで、すぐ近くにダンジョンもある。


「ここのダンジョンおススメだよ! 友達もいるんだよ!」

「友達……?」

「うん! 最初は怖かったけど、今は大丈夫!」


 2人はダンジョンゲートをくぐると、ダンジョン内部へと入る。


「ノナ!?」


 クールなミソギであったが、ダンジョン内のノナの姿を見て、思わず声をあげてしまったようだ。


「おお! ミソギは大きいままだねぇ!」

「いや、そっちこそなんでそんな姿に?」

「色々あってね……」


 どう考えても精神タイムスリップの影響だろう。

 それ以外に思い当たるフシはない。


「それよりどう? かっこいいでしょ!」

「うん。なんか、かわいい勇者っぽくていいね」

「でしょ?」


 対するミソギは、初期装備の村人装備である。

 好みの問題だが、ノナからすれば地味だ。


 武器はショートソードで、ノナの腰にあるものと同じである。

 とは言っても、ノナの場合は収納袋からシルバーソードを出して戦うのだが。



 少し進むと、ノナは叫ぶ。


「ミソギ、私の後ろにいて!」

「え? うん」


 ノナは自分の後ろにミソギが隠れるのを確認すると、叫ぶ。


「フェンリルさーん!」

「フェンリル!?」


 どこからともなく、銀狼が犬のように走って来た。


『わざわざ我に殺されに来たのか?』

「いや、違うよ?」


 ノナは収納袋から、シルバーソードを取り出す。


『ちょっ! それ禁止!』

「だって、襲い掛かってくるんだもん!」


 そういえば、フェンリルはテレパシーのような感じで声を発しているのだろうか?

 どうやって声を出しているのかは分からないが、もしかすると、ミソギにとっては独り言を言っているように感じてしまうかもしれない。


「喋るんだね……」

「あ、聴こえてるんだ」


 原理はともかく、フェンリルの声は、ミソギにも聴こえているらしい。


『本当に、何をしに来た?』

「挨拶だよ! ミソギにフェンリルを紹介しようと思ってさ!」

『無意味なことをするな! とは言っても、今回は許してやろう! これをやる!』

「うわっ!」


 フェンリルは体内から、銀色の指輪を吐き出した。

 よく見ると、銀色の宝石が埋め込まれているのが分かる。


 それは地面に転がったが、保管場所からして、衛生的では無さそうであまり触れたくはない。


『我の錬金術で生み出した装備品だ! さっさと受け取るがいい!』

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