21話 ドロップアイテムを売ってみた!
ミソギやエムと海へ行くことが決まった。
日付に関してはこちらで決めても良いということだったので、ノナが日付を決め、それを2人にラインで報告する。
しばらく時間が経過すると、返信が来た。
予定に問題がないようだったので、数日後の7月27日がその日となった。
と、なればだ。
その日までにしなくてはならないことがある。
今回の行き先であるお台場の海には、ダンジョンがあり、エムもそこで配信をする予定らしい。
ノナは配信はしないが、ダンジョン探索はするつもりである。
ノナのダンジョン内の装備は、村人装備だ。
武器は拾ったシルバーソードに変えたが、装備は初期装備から変えていない。
これでは、この前のように偶然配信に映った際などに、格好が付かないというものだ。
「防具屋のは重そうだったし、どうしようかな」
この前冒険者ギルド近くにある防具屋に行ったが、重そうなものが多かった。
「エムに聞こう」
エムはピンク色のアイドル衣装のような装備をしていた。
同じ装備にするつもりはないが、あのような外見重視の装備にしたいとは思っているので、何かヒントは得られるハズだ。
早速、ノナはラインでメッセージのやり取りを始める。
『教えて欲しいんだけど、エムみたいな装備ってどこで買えるんかいな(>_<)』
『装備って、ダンジョンの装備のこと?』
『ソーっす! (ソースと掛けてる)(/ω\)』
『あはは。私の装備は、オーダーメイドかな?』
『オーダーメイド! なんという素晴らしい響きだ! 私も欲しいな(≧▽≦)』
『高いけど大丈夫? 確かに配信とかする人はG貯めて、衣装作ってからって人も多いけど、配信とかしないんだったら、まずは普通の防具がおススメだよ!』
ちなみにGと言うのはゴールドのことで、ダンジョン内の通貨の単位を表す。
『配信はしないけど、かっこ良さは重要だからね! それに、私って皆と違うことに憧れるタイプだからさww ちなみに、オーダーメイドってどのくらいするの?(~_~;)』
『安くて10万Gかな?』
『なんだって! それは本当かい!?』
『うん。ただ、10万のだと本当に見た目だけで防御性能が低いから、30万くらいのがいいと思う!』
『/(^o^)\ナンテコッタイ』
想像よりも、高過ぎた。
ダンジョン内のモンスターを倒しても、ゲームのようにGが出る訳ではない。
冒険者ギルドに持っていくなどして、ドロップアイテムなどを換金する必要がある。
なので、今のノナは0G。所持金が0の状態だ。
27日までに、間に合うのだろうか?
とりあえずエムにはお礼を言い、最後にオーダーメイド可能な装備屋があるダンジョンの場所を教えて貰った。
「どうしよう……」
とにかく、強そうなモンスターを狩らなくてはならない。
いや、別に強くなくても良いのかもしれない。
要するに、高価なドロップアイテムを落としてくれるモンスターであれば良いのだ。
ノナは初心者なのでそこは無理をしないように、あまり強くなく、なおかつ高価なドロップアイテムを落としてくれるモンスターを狙うとしよう。
「いや、待てよ!?」
ノナは思い出した。
そういえば、この前赤いドラゴンを結構な数倒したな、と。
確かに弱かったが、それでもドロップアイテムが安いものとは限らない。
結構な数をドロップしたので、それを売ることにした。
ノナはアパートの一室から飛び出すと、上野公園へと向かった。
調べた所、ここにもダンジョンがあり、なおかつ買い取りもしてくれるアイテム屋が存在するらしい。
なんでも、冒険者ギルドの傘下組織が運営しているアイテム屋なのだとか。
「あの! ドロップアイテムを売りたいんですけど!」
ノナはダンジョンへ入るとすぐの所に、「アイテム屋」と書かれた扉があったので、そこへ入り受付に行くと、買い取りを依頼した。
ちなみにここも冒険者ギルトと同じく酒場といった感じの場所であり、食べたり飲んだりをしている人もいる。
「これです! 他にも似たものが沢山あるんですけど!」
この前の赤いドラゴンを30体倒した際に入手したドロップアイテムの一部を、受付のカウンターに置く。
「え!? こ、これは……」
「売れんかいな?」
「い、いえ、売れますけど」
あのドラゴンは見た目は強そうであったが、実際にはあまり強くなかった。
受付の人の反応から察するに、ドロップアイテムもあまり質が良くないのだろうか?
「本当に買い取ってもよろしいのですか?」
「も、もしかして、結構凄い奴なんですか!?」
質が良くないと考えたノナであったが、すぐに考えが変わった。
受付の人のこの言い方だと、普通に凄いドロップアイテムなのかもしれない。
だが、正直今のノナはそれを必要としていない。
今はとにかくGが欲しい。
「全部売ります!」
「か、かしこまりました!」
今持っているドロップアイテムを全て売却すると、約80万Gとなった。
これだけあれば、装備品も良いものが買えるだろう。
書類、と言ってもダンジョンネームだけだが、それを書いている際に受付の人からノナは質問を受ける。
「見た所、初期装備のようですが」
シルバーソードは2mと長すぎるので、普段は収納袋に収納してある。
代わりにショートソードが腰にぶら下がっているので、髪を銀髪に染めてある以外は、完全に初期状態だ。
「どうやってここまでの品を?」
「言わなきゃ駄目な感じですか?」
「い、いえ、そういう訳ではございませんが、個人的に気になってしまいまして」
ということなので、答えることにした。
別に減るものではないので、良いだろう。
「赤いドラゴンを倒して入手しました!」
「そ、そうですか。よく倒せましたね」
「あー……実はここだけの話なんですけど、なんかあんまり強くなかったんですよね」
「強くなかった……?」
「はい。もしかして、同じ見た目で強いモンスターもいるのかもしれませんが、私の場合は剣を何発か当てたら倒せました」
「な、なるほど! そういうモンスターもいるのですね! 初めて聞きました! ありがとうございます! これからも探索者活動頑張ってください!」
「はい!」
こうして、無事に金銭を獲得できた。
次に向かうのは、オーダーメイドの装備が作れる装備屋だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます