第10話 幻のダンジョンの噂

真一、アルト、エリザの三人は、小さな村の酒場に腰を下ろしていた。冒険の合間のひと時を楽しむために、彼らは地元の料理とエールを味わっていた。


「ここのエールは本当に美味しいな。」アルトは大きなジョッキを掲げて笑った。「真一、もっと飲んだらどうだ?」


「いや、これ以上飲むと測量に支障が出るからね。」真一は控えめに微笑んで答えた。


エリザはメニューを見ながら、「それにしても、ここには珍しい料理が多いわね。ほら、この『幻のダンジョンバーガー』って何かしら?」と興味津々に聞いた。


その時、酒場のマスターが近づいてきた。「お客さん、それはうちの名物ですよ。幻のダンジョンの噂から名前を取ったんです。」


「幻のダンジョン?」真一が興味を示して尋ねた。


「ええ、そうなんです。この村には古くから伝わる話があって、特定の時間と条件でしか現れないダンジョンがあると言われているんです。」マスターは語り始めた。


アルトは目を輝かせて、「それは面白そうだ。もっと詳しく教えてくれないか?」と言った。


マスターは嬉しそうに笑って、「確かに面白い話です。幻のダンジョンは満月の夜にだけ現れると言われていて、その場所は毎回異なるんです。村の長老ならもっと詳しい話を知っているかもしれませんよ。」と答えた。


エリザは楽しそうに「それじゃあ、長老に会いに行ってみましょう!」と提案した。


三人は村の広場にある長老の家に向かった。長老は庭で植物の手入れをしていた。


「こんにちは、長老さん。幻のダンジョンの話を聞きたいんですが。」真一が礼儀正しく尋ねた。


長老はにこやかに微笑み、「おや、幻のダンジョンに興味があるのかね。さあ、こちらに座りなさい。」と招き入れた。


長老は話し始めた。「幻のダンジョンは、私が若い頃から噂されているものでね。満月の夜にだけ現れると言われている。場所は毎回異なるが、必ず村の周辺に現れるんだ。」


アルトは興奮気味に、「それで、どの場所に現れるかの手がかりはあるのか?」と聞いた。


長老はゆっくりと頷き、「そうだな、古代の文献にいくつかの手がかりが記されている。エリザさんなら解読できるかもしれないね。」と言った。


エリザは自信満々に答えた。「お任せください。古代の文献を解読するのは得意ですから。」


長老は古びた巻物を取り出し、「これがその文献だ。満月の夜に特定の星の配置を観察すれば、ダンジョンの出現場所が分かるかもしれない。」と説明した。


真一は巻物を慎重に受け取り、「ありがとうございます、長老さん。早速調べてみます。」と言った。


その夜、三人は星空の下で調査を始めた。エリザは巻物を読み解き、真一は天体望遠鏡を使って星の配置を確認した。アルトはジョッキを手に取りながら、楽しそうに見守っていた。


「見て、あの星の配置が巻物に書かれているものと一致しているわ。」エリザが興奮して指差した。


「確かに。この方向にダンジョンが現れるかもしれない。」真一が同意した。


アルトはジョッキを掲げて、「よし、満月の夜に備えてしっかり準備しようぜ!」と笑った。


三人は幻のダンジョンの出現に向けて、万全の準備を進めた。満月の夜が訪れるのを楽しみにしながら、彼らの冒険は新たな一歩を踏み出した。

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