第17話 地球の奪還  ヘブンにて

 ―― 惑星ヘブン ―― 


 管理センターからエメラルドの家にやってきたマーク・バーンズは、監視カメラを調べた。何者かが車から出て離れていった。

「こいつ、何も持たないで行ったぞ」

 マークは知り合いのブライアンに調査を求めたところ連絡が来た。彼はレスキューだ。

「車には誰もいないぞマーク。おそらく車はダミーで、飛行体で地球の入ったケースを吊るし上げて持ち去った様だ」

「わかった。ありがとう」

 マークはエメラルドと妹のサファイアに伝えた。

「エメラルドさん、犯人は上空に地球を持ち去ったことがわかりました。車は捜査を混乱させるためのダミーでした。特定したレスキュー隊員とこれから行動します」

 それを聞いていたサファイアが言った。

「お姉ちゃん、あのさ、表彰式の何日か後に地球を見に来た男の人……」

「スターバックさん?」

「そう、あの人怪しくない? しつこく見てたじゃん」

「そんな、ものを盗むような人には見えないけど」


 マークがスターバックに連絡を取ることにした。

「スターバックさんですか?」

 スターバックはジェイス、ハウザーと一緒にいて、容器から地球データの抜き出しをしているところだった。

「はい、そうですが」

「私管理センターのマーク・バーンズと言います。少しお話してもよろしいでしょうか?」

「何の用件ですか? 少し忙しいんですが」

「申し訳ありません、少しだけ。コールマンさんをご存じですね」

「はい。知っていますが」

「実は彼女が所持していた惑星『地球』が盗難にあったのですが、何かご存じありませんでしょうか?」

「ええ? そうなんですか? 私は何も知りませんが」

 スターバックは白々しく答えた。

「あのー、あなたは今どちらにいらっしゃいますか?」

「え? えーと今は所用で外出先です」

「お忙しいところ申し訳ないのですが、場所を教えていただけませんか? 少し確認したいことがありまして。すぐに伺いますので」

「いやそれは駄目だ」

「わかりました。忙しいところ対応して下さってありがとうございました」


 マークは通話を切った後、エメラルド達に告げた。

「彼は怪しいですね。おそらく惑星を持って、どこかにいるのでしょう。通信データと衛星画像から場所を特定します」

 そして数分後。

「位置が特定できました。行きましょう」

 サファイアが割り込んできた。

「私も行く!」

「サファイアさんでしたっけ? まあ、いいでしょう。用心はしてくださいね」

 マーク、エメラルド、サファイアの三人はマークの車でスターバックが居るところまで移動する間、少し話をした。

「マークさん、レスキューの人は?」エメラルドが聞く。

「現場に直行しています。私の知り合いでブライアンと言います」

「お知り合いなんですか?」

「はい」

 エメラルドに続いてサファイアが余計な質問をした。

「ブライアンさんって、格好いいですか?」

「サフィー! 遊びじゃないのよ」

 エメラルドがたしなめるとマークは笑いながら答えた。

「とても優秀なレスキューですよ。これから会うので、格好いいかどうかはその時見てください」


 やがて三人は現場に到着した。山間地域のあるシェルターだ。中に犯人のスターバックがいると思われる。ブライアンも到着し合流した。マークが紹介する。

「ブライアン、元気か? こちらは惑星盗難にあったエメラルド・コールマンさんと妹のサファイアさんだ」

「レスキューのブライアン・ギブソンです。よろしく」

「よろしくお願いします」

 エメラルドが言うとサファイアは思った。

(やばい。まじ格好いい)

 マークは携帯スピーカを使って呼びかけた。

「スターバックさん、聞こえますか? いらっしゃるんでしょう。 管理センターのバーンズです。出て来てもらえませんか?」

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