第15話 ジーニクス社 ハル研修所

 ヴィンセントからのコメントが聞こえた。こちらの映像も見ていたようだ。

「ファイアーフライを一掃したな。なかなかだったぞ」

「ああ、あいつら頼もしいよ」

 クレイが答えた。そしてヴィンセントは何かつかんだようだ。

「誘拐犯は、そこから西に二十キロほど離れたところにある施設にいる可能性が高い」

「わかった。そこは何の施設だ?」

「言いにくいんだが、ジーニクスの研修所だ」

「何?」

 クレイが驚いた。その社長が今近くにいる。

「クロエと話す」

 クレイはまず警察に話して、トラッカードッグを3方向に分散させることにした。そして本隊は研修所の方向に向かうことを合意して決めた。次にクロエのところに行った。

「クロエ。ここから犯人たちは西に移動したらしい。これからそちらに向かう」

「ええ」

「その先にはジーニクスの研修所があるんだ」

 クレイの言葉にジーニクス社長のクロエは驚き、そして思い出した。

「確かに、そのあたりにハル研修所がある。なぜそんなところへ?」

「社員に連絡するなどして何か関連が無いか調べてくれないか?」

 クレイがクロエにお願いすると、クロエは少し青い顔になって答えた。

「わかったわ」


 捜査チームは西側に移動を始めた。しばらくしてからトラッカードッグの動きをモニターで監視していた捜査官が叫んだ。

「クレイさん、はぐれていたトラッカーがモニター上に現われました」

「何だって?」

「ばらばらの方角からハル研修所に向かっています」

 アレックスが驚いた。

「迷子じゃなかったんだ。どのルートからでも追跡できる優秀なやつらだ」

 エミーが言った。

「これでハル研修所に決まりね。犬達に謝らないと」

 犯人がハル研修所にいて、さらに誘拐されたフィルもそこいる!


 クロエが会社で調べた内容を話した。

「研修所はガイガーという上級役員が使っています。彼を呼び出していますが、つながりません」

「その役員について何か思い当たることはありますか?」

「一ヶ月前に、ガイガーは内容を明かさずにAEM開発を抑え込むと言っていました。この誘拐がそれなのかもしれません。まさかうちの社員が法に触れる事をするなんて思ってもみませんでした」

「ガイガー氏は政治家との関係はありましたか?」

「重要顧客に政治家も多いので、結構ありました」

「ファルコンのようなグループとの関係は?」

「それは全く知りません」

 クロエは知っていることを正直に全て話した。捜査官はクロエに感謝した。

「ありがとうございます。後はお任せください」

「お願いします。どうかフィルを解放してください」


 研修所に到着する前にエミーにエメラルドからコンタクトがあった。 

 エミーは周りに知られないようにエメラルドと話を始めた。

「エミー? 誘拐事件の状況は?」とエメラルド。

「今、ライアン教授の救出に向かっている所。サポートしてもらえる?」

「ええ、少しの間なら」

「ありがとう、そっちの状況は?」

 エメラルドが状況を説明した。

「……という訳で、管理センターのマークさんが対応してくれることになった」

「そう。無事地球を取り返してくれるといいわね」

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