第27話 執着×3



 僕はおとなしく巣から出ないようにし、眠りについてはエディがいなくなって、探し回った。

 だが、僕が屋敷から出ようとすると、エディは急いだ様子で帰ってきてくれるため、この生活も悪くない気がしていた。

 なにより、エディも僕を閉じ込めるのは好きなようで、満足げに僕の世話をする。

 そのためか、僕がエディを乱す計画は崩される一方で、エディは僕が誘うのを楽しみにしているらしい。



「エディ、今日はお仕事?」



「今日は違うよ。ルリュの眠りについて調べてもらっていたから、その結果報告だね。真ノ神が、珍しく直接説明してくれるらしい」



「僕も行きたい!エディ、この部屋から出てもいい?屋敷からは出ないから、お願い」



 僕も真ノ神に会ってみたいんだ。

 エリュシオンが許してくれたらいいけど……屋敷の中にいたら大丈夫だよね。



「エリュシオンの執着も落ち着いてきているし、大丈夫だと思うよ。俺がこの姿でいる限り、エリュシオンはルリュを見ているからね」



 そう言って、エディは獅子の耳を触り、尻尾を揺らす。

 一度、エディとエリュシオンは、なぜ違う生物なのかと訊いてみた事があった。

 エディは炎ノ神として、太陽のような獅子の姿となったようで、エディをエリュシオンという楽園から切り離す為には、エディがエリュシオンにいた頃の姿を手放す必要があったらしい。

 それでも完全に切り離す事はできないため、この庭はエリュシオンと同じになり、選定者は変わる事なくエディのままなのだそうだ。



「エリュシオンは、エディがいなくて寂しくない?僕に執着するのは、エリュシオンがエディを連れ戻したいからじゃないの?」



「それはないよ。俺とエリュシオンだけであれば、どんな時でも繋がっているけれど、エリュシオンがルリュの存在を感じる為には、俺の協力が必要というだけ」



「僕、エリュシオンにも愛されてる」



 エリュシオンのおかげで、エディは僕の所にすぐに戻ってきてくれるんだ。

 エディもたくさん僕を愛してくれて、発情期みたいにはならなくなったけど、優しく抱いてくれる。

 それが嬉しい。



「そうだね。次に会わせてしまったら、ルリュを楽園の一部にして、自分の体内に閉じ込めてしまうかもしれない」



「ピャッ!それは嫌だ!エディと離れたくない。エディ、エディ」



「大丈夫。エリュシオンがどうしようと、俺が帰ると言ったら離してくれるよ。もしくは気持ち良くして、ルリュを発情させてから俺に返してくれる」



 僕を発情させたら、エリュシオンには何かいい事があるの?僕はエディとしかしないのに。



 僕が首を傾げれば、エディは僕の耳を撫で、そのまま頬を撫でてきて口づけをしてくる。

 僕を発情させようとしているのは分かるが、発情した僕を満足げに眺めて終わろうとするエディに、僕は泣きそうになる。



「エディ……やだ。終わったらやだ」



「可愛い、ルリュ。その顔がたまらなく興奮する。泣いて俺に縋る姿が可愛くて、発情しているルリュは特別なんだよ。ツガイだけの特権だね。だから、エリュシオンもルリュを発情させたいと思うはずだよ。執着が凄いからね。自分の知らないルリュを見たいと思うのは当然だと思うな」



 そんな事よりも、早くエディが欲しかった僕は、エディに口づけをして首に抱きついた。

 それからは、エディも僕の誘いにのってくれ、熱のこもった瞳を向けながら、必死に腰を揺らすエディに、ますます発情が止まらなくなったのは仕方ないだろう。

 それほど、獣のようはエディは格好良く、久しぶりの必死な姿に嬉しく思ってしまうのだ。



「ルリュ……愛してる」



「ぼくも……エディ、エディ、だいすき」



 どれほど経ったか分からないが、僕が不死鳥の姿になってしまっても止まらないエディは、何度も僕の姿を戻してくれる。

 だが、本気の子づくり以上に、僕を抱き続けたエディは快楽で僕を縛り、僕が眠っても抱き続けていた。

 その結果、僕の深すぎる眠りが治ったのだ。



「――エディ、どうして分かったの?」



「俺がルリュを優先して、ここから離れなかったからか、それとも俺と顔を合わせる勇気が出なかったのか……それは分からないけれど、真ノ神が教えてくれたんだよ。ルリュが満足するまで抱き続けてあげてってね」



 どうやら、真ノ神はエディの脳に直接伝えたらしい。



「親に構ってほしくて問題を起こす子どもと同じだよ。ルリュは俺の気をひきたかったんじゃないかい?これは俺も悪かったと思っているよ。ルリュの依存を手に入れる為に、ルリュから離れていたんだからね」



「ピャッ、ピャッ!エディ、僕から離れるんだ。僕はエディとずっと一緒にいたいのに。でも、今は屋敷から出るとエディがすぐに来てくれる。エリュシオンが教えてくれるから、エディが戻ってきてくれるのが嬉しい」



「……それで最近は、眠る事が多かったんだね。ごめんね、ルリュ」



「僕だけのエディだもん。ずっと求愛してるのは僕だ。エディこそ、ここに閉じ込められたらいいのに」



 眠りに関しては無自覚だったが、エディへの想いをぶつけるように泣きながら噛み続ければ、エディは今までに見た事がないほど、うっとりとした表情で僕を見てきた。



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不死鳥ルリュは転生したら神のツガイ 翠雲花 @_NACHI_

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