第11話 情熱の昂ぶり ★
※注意書き
この話には性的描写があります。
露骨な表現は避けておりますが、気になる方はスキップいただけますと幸いです。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
金曜日の夜、美咲は緊張した面持ちで隼人のアパートの前に立っていた。隼人が別プロジェクトに異動してから初めての二人きりの時間。仕事の忙しさと周囲の目を気にして、なかなか会う機会が持てなかった。
深呼吸をして、美咲はインターホンを押した。
「はい」
隼人の声が響く。
「私よ」
「あ、美咲か。今開ける」
ドアが開き、隼人の姿が現れた。二人は一瞬、言葉を失った。
「おかえり」
隼人が柔らかく微笑んだ。
「ただいま」
美咲も自然と笑顔になる。
部屋に入ると、二人の間に甘い緊張感が漂った。どちらからともなく、強く抱きしめ合う。
「会社で顔を合わせてるんだけどね。会いたかったよ、美咲」
隼人が囁いた。
「私も」
美咲は隼人の胸に顔をうずめた。
離れていた時間が、二人の想いをさらに強くしていた。隼人は美咲の顔を両手で包み、ゆっくりと唇を重ねた。柔らかく、そして次第に情熱的になるキス。
「美咲……」
隼人の声が低く響く。
「隼人さん……」
美咲も息を荒げている。
二人の手が互いの体を探り始めた。服の上からでも伝わる体温に、心が高鳴る。
「いい?」
隼人が確認するように尋ねた。
美咲は頷いた。
「……うん」
ゆっくりと服を脱ぎ合う二人。肌と肌が触れ合うたびに、小さな吐息が漏れる。
隼人は美咲の体を優しく撫でた。首筋、肩、そして胸元へと。美咲は背中を弓なりに反らし、快感に身を委ねた。
「美しい……」
隼人のつぶやきに、美咲は頬を赤らめた。
美咲も隼人の体を探る。鍛えられた胸板、引き締まった腹部。そのたくましさに、美咲は心が震えた。
二人の体が重なり合う。ゆっくりと、そして確実に。
「あっ……」
美咲が小さく声を上げた。
「大丈夫?」
隼人が優しく尋ねる。
「うん……優しいね」
隼人は美咲の言葉に安心したように、さらに深く愛を注いだ。
部屋に二人の吐息と、時折漏れる甘い声が響く。汗ばんだ体が絡み合い、互いの名前を呼び合う。
それは激しくも優しい時間だった。二人の想いが、言葉以上に通じ合う瞬間。
やがて、二人は互いの腕の中で息を整えていた。
「美咲」
隼人が美咲の髪を優しく撫でながら呼んだ。
「なに?」
美咲は隼人の胸に頬を寄せたまま答えた。
「美咲が好きだ」
隼人の声に、確信が滲んでいた。
美咲は顔を上げ、隼人の目をまっすぐ見つめた。
「私も、隼人さんが好き」
二人は再び優しくキスを交わした。
しばらくの沈黙の後、隼人が静かに口を開いた。
「美咲、これからのこと、どう思う?」
美咲は少し考えてから答えた。
「正直、不安もあるわ。でも、隼人さんと一緒なら乗り越えられる気がする」
隼人は頷いた。
「僕もそう思う。今の状況は簡単じゃない。でも、君となら何でも乗り越えられる」
「仕事のことも、もっと頑張らなきゃね」
美咲が言った。
「ああ、互いのキャリアを尊重しながら、関係も大切にしていこう」
二人は真剣な表情で、今後について話し合った。仕事と恋愛の両立、周囲の目、そして将来の展望。
「いつか、みんなが応援してもらえるような関係になりたいな」
美咲が夢を語る。
「絶対になれるさ」
隼人が力強く答えた。
「俺たちの想いは本物だから」
話し合いの後、二人は再び抱き合った。今度は穏やかで、温かい抱擁。
「ねえ、隼人さん」
美咲が呼びかけた。
「なに?」
「幸せ」
隼人は美咲をさらに強く抱きしめた。
「僕も幸せだ」
窓の外では、夜空に星が輝いていた。二人の未来を祝福するかのように。
◇◇◇
翌朝、美咲は隼人の腕の中で目覚めた。朝日が部屋を優しく照らしている。
「おはよう」
隼人が微笑んだ。
「おはよう」
美咲も笑顔で返した。
二人は起き上がり、窓の外を眺めた。新しい一日の始まり。そして、二人の新たな一歩の始まり。
「今日から、また頑張ろう」
隼人が言った。
「うん、一緒に」
美咲が頷いた。
朝食を一緒に作りながら、二人は自然と笑い合った。日常のささやかな幸せを噛みしめる。
「美咲」
隼人が真剣な表情で呼びかけた。
「なに?」
「いつか必ず、君を幸せにする」
「私だけが幸せなのはいやよ」
「え?」
美咲は隼人の手を握った。
「私たち、一緒に幸せになろうね」
その言葉に、二人の心が温かくなった。困難はまだ続くかもしれない。でも、二人で乗り越えていく。そう誓い合った朝だった。
美咲が帰る時、玄関で二人は長く抱き合った。
「また会えるかな」
美咲が少し寂しそうに言った。
「もちろん。会おうと思えば会社で会えるしね」
隼人が力強く答えた。
「また二人きりで会えるときまで、頑張ろう」
別れ際のキスは、甘くて切ない味がした。でも、二人の心には希望が満ちていた。
美咲はアパートを後にしながら、昨日の出来事を思い返していた。隼人との時間、交わした言葉、そして誓い合った未来。胸が熱くなる。
一方、隼人も部屋で美咲のことを考えていた。彼女の笑顔、温もり、そして強さ。これからも大切にしていきたい、そう強く思った。
◇◇◇
月曜日、二人は新たな決意を胸に出社した。
「おはようございます」
「おはようございます」
普段通りの挨拶。でも、二人の目には特別な輝きがあった。
これからも困難は続くだろう。でも、美咲と隼人は互いを信じ、支え合いながら、一歩ずつ前に進んでいく。それが、二人の選んだ道。そして、その先には必ず幸せな未来が待っている。二人はそう信じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます