〜2章.3年振りの幼馴染〜
全員が自己紹介を済ませると今日は解散という流れになった。さてと…僕もそろそろ行きますかね、と教室をでた瞬間いきなり背中を叩かれた
「いった!…誰ですか…?」
少し苛立ちながら文句を言おうと後ろを振り向いた瞬間、視界に映るその女子に僕はどこか既視感を覚えた
…スタイリッシュな容姿に、茶髪の一つ結び………
……まさか!
「んだよぉお前かよ…」
「おひさー♪あんたこっち来たんだ……推薦とかじゃないよね?」
「んなわけあるかい。ちゃんと一般で来ましたわ」
「えぇ⁉︎マジでぇ…?」
「まじまじ」
「ここ倍率1.62ぐらいだったはずなのに?」
「おん」
「中学の頃の偏差値50ぐらいでここと天地の差があったのに?」
「…おん」
「何にも関心がなかったあんたg」
「だーかーらー…ちゃんと、勉強してぇ、入りました!」
「あはは!メンゴメンゴ。でも普通にすごいじゃん!」
背中を叩いてきたこいつは僕の幼馴染の青嶋紗希。小学校卒業と同時に別の県に引越し中学は別だったけどまさかのラブコメ的な運命の再会ときた
「それよりめっちゃ久々じゃんか。こっち戻ってきたんだ」
「うん、中学別だったけどやっぱこっちの所が色々良くってね。あっちの中学でここ来るの私だけだったから一人になんないか心配だったけど、あんたがいて良かったわ」
「そりゃどうも」
「このあとどうすんの?希望者は部活動見学出来るみたいだけど」
「ん〜…じゃ見学いこっかな。沙希はどこの部見る予定なの」
「バトミントン部。なんか才能あったみたいであっちで初めてやってみたんだけど県のベスト4に入ったんだよ。凄いでしょ♪」
「ほぉん………それさぁ、自分で言ってて恥ずかしくないの?」
「なんでよ⁉︎別いいじゃん!…まぁいいわ。あんたはどこの部見るつもり?」
「応援団部。このために勉強頑張ってここに入ったと言っても過言じゃないんだよね」
「そういやそんな部あったわね。確か今全国大会で5冠の強豪部って言うふうに学校説明会で聞いたわ」
「そ。だから絶対入るって決めてんの」
そう、香楼ヶ丘の応援団部は地方大会も然り、全国大会で5度優勝しているのだ。全国大会では毎年審査委員会から課題として出される演舞3つ、自分たちが選んだ演舞4つの七部構成の演舞を披露する。また前者の場合、審査委員会から同様に決められた時間以内に終わらせないと失格となる。その上、演舞中の移動や隊列などが採点される。こんな条件下でも香楼ヶ丘は逸脱した演舞をして周りの人を圧巻させられる。もちろん僕もその一人だ
何がやばいかって香楼橋はその五部構成の演舞をマジで完璧に仕上げて来るんだよね。全国大会までの練習期間の2ヶ月は香楼橋含めてどこも同じなのに
「へぇ、いいじゃない。じゃそろそろ私行くから。また明日ね」
「はーい」
他愛のない会話を済ませたあと、親に見学に行く旨を伝え僕は応援団部の部室へと向かった。この高校は県屈指のマンモス校なだけあって資金が潤沢にあるのか校舎は舗装されてて校舎とか体育館とか含めて構造がちょい複雑だった。
えっと、応援団部の部室はっと…体育館の横の校舎の2階で?…1階はプールなのか…………この多目的広場ってとこが応援団部の練習場所兼部室なんだ。にしてはトイレとか部室とかあって武道館の感じするけどもしや武道館の後身だったりするのか?
「……君もしかしてうちの見学に来た?」
そんな思考を巡らしていたら後ろから声をかけられた
「あ、はい、そうです。応援団部の部室はここですよね?」
「そうだけど、今日はもう部活終わりでさ、また来週来てくれない?来週だったらマシな練習風景見せられるからさ」
「わかりました……あの、終わるの早くありません?何かあったんですか?」
「えーとねぇ、予定だと今日はミーティングで終わりだったんだけど急遽別の高校と合同で演舞することに決まってさっき通し終わったからもう解散しちゃったんだよねぇ」
「そうなんですか。じゃあまた来週伺いますね」
「オッケー。いつでもおいで」
――――――――――――――夕方、翔太宅にて―――――――――――――――――
入学式から帰宅した後、僕は早速応援団部に入ることを伝えた
「お母さん、僕応援団部入るから」
「そう、じゃあ入部費を準備しないといけないわね。2000円ぐらい?」
「いや7000円ぐらい」
「7000円⁉︎たっかいわねぇ…何がそんなにかかるの?」
「自分専用の学ランとかの衣装とか扇子とか…じゃない?」
「そう…入部届けはもうもらったの?」
「まだ。来週に部活動紹介があってその後のSHRでもらうらしいからできれば早めに入部費用意して欲しいんだけど…」
「そうねぇ…早めにって言っても期日はまだ分からないんでしょ?それに7000円って値段はどこから出て来たのよ。もうちょっと詳しいことが知りたいからお金の用意はそれからね?だから待ってちょうだい」
「うん…わかったよ待つよ」
途中投げやりになりながら僕は自室に戻った。
入りたいとは言え流石にはやとちりが過ぎたかな……とりあえず入部費手に入るまでは見学で我慢するかぁ
ぱっしょん応援団 デオキシリボ拡散 @potatomapotato
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