ぱっしょん応援団

デオキシリボ拡散

〜1章.let's go 香楼ヶ丘高校〜

※この作品に登場する団体や人物はフィクションでございます※

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 くぁ……


 重たいまぶたを開き、あくびまじりに日の光のさすカーテンをあけた

 

「はー…きもちー朝だなぁ」

 

2階の自室の窓から歩道を見渡すと周りはすでに通勤、通学の人で溢れていた。当たり前だ。なんせ今日は入学式という晴れ舞台なのだから。もちろん僕もそんな晴れ舞台に参加する一人として例外じゃない


 僕———谷川翔太は今年春から香楼ヶ丘高校という高校に通う新一年だ。正直自分の学力からして合格出来るような学校じゃなかったけど、とある理由でどうしても入りたかったため受験期は猛勉強して晴れて合格したのだ


寝起きでまだ寝たいのを我慢しつつ、無理やり体を起こしベッドから出て親のいるリビングへと向かった。


「おはよう翔太」


 「おはようお母さん…あれ?お父さんどこいった?」


 「もう入学式の受付行ったわよ。あんた寝坊したでしょ、時間大丈夫なの?急がないと入学式始まるわよ。さっさとご飯食べちゃいなさい」


 「え?…うわっマジだ!やばい急がないと!」


 急いで支度を終わらせてなんとか入学式の会場に着くことができ、父親と合流して開会するまで待つことにした


 「——いや〜まさか本当にこの高校に合格するなんてなぁ」


「ほんと。去年と今頃は考えもしなかったわねぇ。受験勉強のときはまるで人が変わってみたいだったわ」


「うるさいなぁ…その話はやめろって言っただでしょ…」


 僕が入学するこの香楼ヶ丘高校は偏差値71の県の中でも頭のいい公立高校で、当時偏差値50だった中3の自分とは無縁の存在だった。だけどそんな自分が勉強を頑張りこの高校に入ったのにはある理由があった。そう、応援団だ。あまり物事に関心がなかった僕が唯一興味が沸き感動したのが応援団だった。息のあった演舞に、響き渡る太鼓の音、威厳を感じさせるあの堂々たる態度…そこに僕は惹かれに惹かれまくった。だから中学校三年間は応援団をやり続けて、進学先も"応援団部"のある香楼ヶ丘高校にした


 勉強クッッソ大変だったけど…ついに晴れてこの香楼橋高校に入学出来るのかぁ、っと余韻に浸ってるところに開会のアナウンスが流れ我に帰った。しばらく静かにしていると、


 「学生諸君、入学おめでとう。そしてようこそ、香楼ヶ丘高校へ!君たちは——」


 と、晴れ舞台である入学式にないわけがない校長のお話が始まった。あぁ〜めんどくせぇ…どうしてこう話が長いんだよ……と、3年前にも、なんなら9年前にも聞いたであろうその典型的かつ封建的な話に少し飽き飽きした


 それから程なくして一通り式が終わると、保護者と生徒のクラス別での顔合わせがあった。香楼ヶ丘は学年ごとに1クラス30人が16組ある……つまり1学年480人、全体で1440人在籍しているのだ。超BIGになっても仕方ない。そしてそのぶん校舎が大きくて迷子になりそうなんだけれどもね。


 しっかし僕のクラス運悪く最奥にある1ー16じゃねぇかよ……そう思いつつもクラスメイトはどんな感じかという一抹の不安を抱えながらクラスに行った


 クラスに到着して自分の席に着いた僕はあたりを見渡した。香楼ヶ丘に入った時から覚悟はしていたけど、なんか…やっぱり女子多いな…予想よりも遥かに多いぞ…


 香楼ヶ丘高校は3、4年前までは女子校でいわゆるお嬢様校だった。それが何を思ったのか当時の校長が共学校に変えたらしい…共学化直後と比べたら男子は増えた方らしいんだけど、それでもこのクラスに30人中9人は少ねぇよ…全体でも1440人中420人ぐらいだったぞ。こりゃ早いとこ友達作らんと周りから痛い目で見られてまう


 とりあえず自己紹介で舐められまいと爽やかイケメン(?)の雰囲気を出してやった

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