-第四章- 行方不明者と帰還 -
潜入3日目、私は最悪の目覚めを迎えた。
シェアリーとシェイミーが急いで私の部屋に来た。「イェサー、起きてくれ」と言われ、私は慌てて起床した。イェサーは私の偽名だ。ドアを開け「どうしたんだ、こんな朝早くに」と尋ねると、「裏切り者がいるらしい。幹部が大会議室に集まれと言っている」と告げられた。その瞬間、私たちCrewの潜入がばれたのではないかと恐怖が走った。
急いで部屋を出て、大会議室へと向かった。
会議室に入ってしばらくすると、幹部が話し始めた。「諸君、よく集まってくれた。既に知っているかもしれないが、裏切り者が見つかった...新兵の中からだ」
その言葉に、私とシェイミー、シェアリー、ジューン... 私たち4人は固唾を呑んだ。幹部は続けた。「非常に残念だが、仕方ない。処分は死刑だ」その言葉に、私たちは背筋が凍る思いがした。
しかし、しばらくして処分対象の名前が発表された。「これより、処分対象者の名前を言う。ハワー・ルイード、トゥント・サワ、以上2名を処分対象とする。これにて解散」私たちは安堵のため息をついた。別の人物だったのだ。
その後、私たち4人は技術者の案内で、DNの技術研究室を見学した。
国際法で禁止されている、殺傷能力の高い"電磁レーザー機対戦車機"と"対人機"、透明化を実現する薬とその製造方法について詳しく説明を受けた。
技術研究室を後にしたすぐ後のことだった。突然、声をかけられた。「よう、新人か?」私たちは「はい」と答えた。「そうか...こっちに来い」と真剣な表情で言われた。
案内された先は、特定者専用会議室だった。幹部しか入れない場所だ。会議室に入ると、突然こう言われた。「お前ら、Crewだろ」私たちは「違います」と必死に否定した。すると相手は「そうか...実は僕はCrewの最高機密書類管理官なんだ」と明かした。私たちは驚愕した。「行方不明になっていた、最高機密書類管理官...ですか」と思わず口走った。
彼は自己紹介した。「僕は行方不明扱いになっているのか。それは良かった... 僕がなぜここにいるのか説明しよう。マークローバス、お前は僕のことを知っているはずだ。先に言っておく、名はブルート、ブルート・イナフだ」ブルートは、私が成人する数か月前に生まれた上司の子供だった。
ブルートは続けた。「2031年9月、最高機密書類管理官になった時、僕は上司にこの駐屯地への潜入を願い出た。
上司は危険すぎると反対したが、僕は行方不明という扱いにしてくれと頼み、Crewの本部を出た。戦場跡を通り、この場所にたどり着いた。DNの機密情報も収集してきたんだ。ところで、お前らは何しに来たんだ」
私たちが事情を説明すると、ブルートは「そうか、一緒に帰還しよう。もう、情報は集めきった」と言った。しかしその瞬間、ドアが開いた。「裏切り者め、その会話は録音した。幹部に提出させてもらう」と声がした。ブルートは「くそっ、お前ら、任務放棄のことは俺が説明する。今は逃げるぞ!」と叫び、私たちは急いでその場を離れた。
何とかCrewに帰還できた。ブルートは「大将軍に報告してくる。お前らは部屋に戻っていろ。DNの情報は俺が提供する」と言い、私たちと別れた。
部屋に戻った私は、ずっと気になっていたUSBの音声の最後の言葉を思い出していた。「そうだ。すまない。すまなかった、マークローバス」この意味を考えた。両親のことなのか、それともDNの人が言った「CREWにファリア・マークローバスなんて生き返らなきゃ、この戦いは終わっていたのに」という言葉に関係があるのか、理解できなかった。
そんな中、突然父との昔の会話が蘇った。
「ファリア、お前は本当は生まれてこないはずだったんだ」
「どういうこと?ファリアのこと嫌いってこと?」
「違う、言い方が悪かった。おかしいんだ、お前が生まれてから数か月たち、DeadNightがこの地を占拠した。お前を探しに」
「ん?なに、さっきからなにいってるの?ご飯冷めちゃうよ」
「わかった。お前を狙う理由。お前が死ねば、この戦いは終わる。そう感じるんだ。お前は、どう思う?」
「.............................................」
「そうだよな、意味はわからないか。お前がいると、戦いが起きる理由、それは、」
そこで記憶は途切れた。理由は今だにわからない。
なぜ、私がいなければ平和なのか...いつかわかるのだろうか。ここでの本当の私の役目はなんなのだろうと、その日の夜は考え続けた。
突如ドアがノックされた。手紙だった。
中を開け読むと、そこには「ファリア・マークローバス、突然の手紙を失礼する。統括官としての任期を近日中に終えそうだ。両親のもとに行く時が来た。聞きたいことを聞きに来い、第二中央病院にいる」と書かれていた。私は謝罪の理由を聞きに向かった。
病院で統括官と対面した。
「なんだ。マークローバス...なにを聞きに来た」
私はUSBを手に聞いた「このUSBに記録された音声の最後、あなたは私に謝罪をしました。どういう意味なんですか」
「そうか、そのことか。謝罪の理由はお前の予想通り、両親のことだ」
「そうですか。両親を助けられなかったことですか」私の両親は強盗に殺害されたと聞いていた。
「いや、違う。本当の真犯人が実はいる」
「そんなはずは」
「私だ」その言葉に、私は言葉を失った。
「なにを言っているのですか」
「私はあの時、君の父を憎んでいたんだ。当時、私を刃物で刺し、お前の父に襲われた。お前の復讐したかったんだ。子供が生まれたと聞き、さらに憎んだ。お前が4才の頃、私はお前の両親を殺害した。強盗殺人として、無実の人を巻き込んで、よくある話観たいだろ。すまなかった。本当に、反省してくるよ... 君の両親に」その告白に、私は怒りと混乱が込み上げた。
私はそのまま病院を出た。謝罪の理由、それは両親のことだった。もう、忘れようとしていたことだ。
その2日後、統括官ウォブラシーは約71年の生涯を終えた。だが、約700年生きたらしい。どうやら、ウォブラシー統括官もコールドスリープしていたらしい。
私は、最後にこう言いたかった。"そうでしたか、ありがとうございます。"と、
今後、どのようになるかは分からない。私が生き返った理由、この時代での役目、
私はそれを、探し続ける。
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