第37話 ストーカー
ショッピングモールの件から一週間。
そして、未奈と俺の秘密が明らかになってから一ヶ月半が経とうとしていた。
これまでの間、いつ告白されるかとか、俺もいつになった動き出せばいいのかとかを探っているうちに、気付けば時間だけが進んでいた。
……いや難しすぎるだろ恋愛って!
告白されることは確定だから、それを待てばいいのか。はたまた自分から行った方がいいのかとか、どれが正解か分からなすぎる!
正解がないのが恋愛だとか言ってる輩がいるけど、俺は正解が欲しいんだよ!
今日も朝からそのことばかり考えていて、ハッとしたときには放課後になってるし。
早く帰ればいいものの、今も誰も居ない教室で、机に突っ伏して考えてるわけだし。
「はぁ……帰ろ」
帰ってから考えよう。こんなところでいくら考えこんでもまとまらない。
まぁ、こんなことばかりしてるから前に進めないんだろうけど……時間が解決してくれるはずだ。
またまたそんなこと言ってるからいつまで経っても動き出せないんだけどな。これが負のループだ……。
重い体を気合で上げて、バッグを取ると教室を出ようとする俺。
そんなときだった。
「あ、やっぱいた!」
後ろ側の扉がバッと開くと、ものすごい剣幕でこちらに向かってくるのは未奈だった。
「まだ残ってたのかお前」
最近は登下校も自然と別々になっていたから、こうして直接会うのは気まずいが、平然を装う。
そんな俺とは裏腹に、
「蓮馬! とりあえず一緒に来て!」
何やら焦っている様子の未奈。
俺の手を引っ張り、どこかへと連れて行く。
「ちょ、どこ行くんだよ」
渋々引っ張られながらも、早歩きの未奈に聞く。
「家に決まってるでしょ」
「そんなに急いで帰る必要があるのか?」
「ない」
「ならなんで――」
「今の蓮馬はボディーガードだから!」
「ボ……今なんて?」
「私の護衛をして欲しいの!」
ん? 護衛?
未奈は誰かに命でも狙われてるのか?
「後で説明はするけど、今私ストーカーされてるの」
「え、誰に」
「まぁその……私と元仲良かった人」
「あ、あぁ~」
濁しながら言ったから、なんとなく誰かというのは理解できた。
多分、未奈とシた人の誰かが未奈を好きになってストーカーし始めたんだな。
セフレがストーカーになるなんてよくある話だ。
だから、妙に納得してしまう。
「だから逃げながら帰るよ! もし見つかったら……そのときはよろしく!」
後ろを振り返り、サムズアップする未奈。
なんのよろしくだよ。
俺に戦闘力があると思ってるのか?
喧嘩なんて人生で一度もしたことないぞ? 未奈もそれを分かってるよな?
「ここにはいない……ね」
行く先々の角から顔を出して、クリアリングしながら進む未奈。
まるでスパイ映画にでも入ったかのような臨場感だ。
実際後を追われてるんだから、俺は主人公の助手と行った立場だか。
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