第34話 そっちからも告白⁉

『蓮馬はもう知ってるだろうけど、私がシてるって噂、男子の間でちょっとされてる話も聞いてるし……本当に資格なんて、ないよ』


『先輩がそんな噂気にすると思います?』


『……しないと、思うけど』


『なら未奈先輩がすることは一つだけですよ』


『明日にでも告白! 告白するの!』


『ふぇぇ⁉』


 未奈の震えあがる声と共に、ガタンっと机が揺れる音が聞こえる。

 俺がその、ふぇぇ⁉ って声を上げたいんですが⁉


 嘘だろ? 近々、ていうか明日にでも俺は未奈に告白されるのか?

 ……なんだろう、この複雑な感情は。


 嬉しい気持ちと困惑した気持ちが交差して、今めちゃくちゃ変な顔を浮かべている気がする。

 それに、俺のセフレが俺の幼馴染を応援するという謎展開。


 どんな風の吹き回しなんだ?

 いつもだったら絶対に阻止するくらいの勢いなのに。

 何もかもが謎のこの電話。


『覚悟を決めよう!』


『頑張ってください!』


『え、ちょっとまだ心の準備が――』


 先ほどより騒がしくなったところで、プツリと電話が切れる。

 告白という単語の余韻に浸りながら、暗くなった画面を見つめていると、また寧々から一件のメッセージが届く。


『あとで話がしたい、夜に私の家に来て』


 何となく察しがついたぞ。

 話したいじゃなくて、ヤりたいの間違いじゃないのか?

 結局、未奈の背中を押していたくせに、シたがりじゃんか。


 いや待てよ? 

 もしかして、こいつの俺に告白しようとしてるのか?

 未奈を油断させといて、強奪するというクソ卑怯な手を使おうとしてるのでは?

 まぁ、あくまで俺の推測なんだけど。


 もし寧々に告白されても、俺は断る以外の選択肢なんてない。

 未奈のことが好きな以上、体の関係以上に発展させたくない。というか、もう寧々ともシない。


 今日はそれをちゃんと伝えよう。


 まぁ? もし俺が振られたら? そのときは考えてあげてもいいけど?


 でも未奈は俺のことが好きなわけで? 両想いなわけだし? どちらから告白しても成功するんだけど?


 って、ドクズの考えはやめておこう。

 ただでさえこれまで未奈を知らない間に傷つけていたんだ。


 これからは健全に生きる以外の道はない。

 いや、未奈と付き合ったら付き合ったで、それはそれは不健全極まりなんだけど。


 ……そうだな。それはまた別の話だ。


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